老師オグチの家電カンフー

第23回

ピザは家電ブランドグローバル化の先輩です!

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 デザインのグローバル化って言うんですかね、最近は家電でも車でも、一目でどこの国のメーカーかわからないことが増えてきました。デザインがヨーロッパっぽいなと思ったら日本のメーカーだったり、中国メーカーの製品にアメリカっぽさを感じたり。インターネットで情報が高速に伝わり、デザイナー自身も国を跨いで活動しているため、デザインにおいて国籍や地域のしばりは、どんどんなくなっています。

 逆に、ブランド名にはいまだ国籍を感じることがあります。プジョーはフランスっぽいし、フェラーリはイタリアっぽい、ホンダは日本。もともと人の名前ですからね。

 しかし、これもくせ者で思い込みに過ぎないことも。有名なのは、アイスクリームのハーゲンダッツでしょうか。言葉の響きはドイツ語やデンマーク語のようですが、アメリカのメーカーがそれっぽいイメージを付けるために作った名前で、とくに意味はないそうです。

ワッフルメーカーなどを展開するビタントニオ(Vitantonio)

 そんな国籍を感じさせる家電ブランドが「ビタントニオ(Vitantonio)」です。ワッフルメーカーやピザ用オーブンを作っていることから、てっきりイタリアのメーカーだと思い込んでいましたが、れっきとした日本メーカー(株式会社mhエンタープライズ)です。

 日本のメーカーですから、日本の環境に適合させるのはもちろん、収納性や使い勝手などを重視して開発・製造しているとのことです。

 最後に製品紹介となりますが、石材のプレートを備え、石窯で焼いた様なピザが味わえるのが、「グルメオーブン」です。ピザオーブンとか、そりゃイタリアメーカーだと思いますわ。

ビタントニオ「グルメオーブン VGO-55」実勢価格約12,000円。イタリア車を思わせる紅! 使用しない時は本体を立てて収納できる
ヒーターはプレートの上下に設けられている
蓄熱性に優れる石材を使ったピザプレート
温度調節は約160℃/250℃/300℃/400℃の4段階

 しかし、ピザ(ピッツァでなく)というのは、もはやワールドワイドな食べ物です。アメリカ人が好んでいるのはもちろん、日本でも宅配ピザを頼んだことのない家庭の方が少ないんじゃないでしょうか。

 さらに、トッピングされる具材も、テリヤキだのカニ、タラコ、プルコギだの、国籍関係なくなっています。何を乗せても許容する力がピザにはありますし、逆にピザまんやピザ味のお菓子など、別の文化の食べ物に溶け込んでもいます。

 家電製品も、多くの人がどこの国のメーカー、ブランドか気にせずに使う時代になってきています。つまり、ピザ化しているということです。自分でも思わずヒザ(ピザ)を打ってしまいましたよ。

食材を準備。プレートを予熱しておくと、チルドのピザでもパリッと焼ける
小窓から中の様子をうかがえる
シンプルにサラミとオリーブ
こちらは、冷凍ピザにチーズとトッピングを追加
デザートもピザで。マシュマロとチョコレートを乗せて焼く
しらすピザ。サクサクで和のテイスト。大葉や刻んだ青ネギを入れても美味らしい
付属のディッシュプレートを使用すればパエリアや肉料理、餃子なども焼ける

小口 覺

雑誌、Webメディア、単行本の企画・執筆、マンガ原作、企業サイトのコンテンツ制作を手がけるライター。日経MJの発表した「2016年上期ヒット商品番付」では、命名した「ドヤ家電(自慢したくなる家電)」が前頭に選定された。

Webページ「有限会社ヌル/小口覺事務所」
http://nulloguchi.wix.com/nulloguchi