老師オグチの家電カンフー

第15回

ワンダーコアを買ってわかった、健康器具はめざわりな存在であるべき理由

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 スタイリー、スタイリー、スタイリー、スタイリー♪

 このフレーズがわかる人は40代以上でしょうね。スタイリーとは1975年ごろテレビCMが話題となった健康器具です。真ん中から折れ曲がる簡易ベッドのような構造になっており、寝転びながら運動ができるとヒットしたのでした(詳しくはスタイリーで検索!)。

スタイリー。テレビショッピングと健康器具の相性を最初に実証した商品だろう

 そして1978年、ぶら下がり健康器が爆発的なブームになります。わが家にもありました、ぶら下がり健康器。そして多くの家庭と同じように、ハンガー掛けとして使われ、数年後には粗大ゴミとして処分されたのでした。

ぶら下がり健康器。実は今でも販売されている

 CMを見てテンションが高まり勢いで買うものの、それほど継続せず、気がついたら部屋のオブジェとなり果てるのが、多くの一般家庭における健康器具の運命です。そんな事は100も承知でしたが、先日ショップジャパンの「ワンダーコア2」を購入しました。

 小学6年生の息子から誕生日プレゼントとしてリクエストされ、「子供の要望なら、使わなくなっても言い訳にできるな」という判断も働いた結果です。

 詳しい説明は不要かと思いますが、ワンダーコアは腹筋を鍛えるマシンです。背もたれが付いており、後ろに倒れるアクションから腹筋をスタート。背もたれがバネの力によって押し返されるため、無駄な力を入れずに腹筋を鍛えられるしくみです。足はバーで固定するため、誰かに足を押さえてもらう必要もありません。

 新製品の「ワンダーコア2」には、さらに上半身を鍛えるためのバンドが付いており、いかにも中学生男子が好きそうなマルチなマシンになっております。

「ワンダーコア2」と息子。公式サイトの価格は本体19,800円(税抜)

 さて、購入してから1カ月ほど経ちますが、ほぼ毎日10回から30回ほどの腹筋運動をするに至っています。ワンダーコアシリーズには、より省スペースな「ワンダーコアスマート」もあります。座椅子のような形状で、折りたたんで簡単に収納できるのが特長なのですが、「ワンダーコア2」のほうを購入したのが正解だと思います。というのも、この手のマシンは1回収納してしまうと2度と使わなくなりがちだからです。

 常に部屋に存在し目にすることで、「今日はまだ腹筋してなかったな」と気づく。そもそもモチベーションが高ければテレビショッピングで売られているような器具に頼らずとも、運動の習慣が身についているはずですから、こうした器具は「めざわり」なぐらいがちょうど良いですね。

 一応、「ワンダーコア2」もパイプイスのように折りたたんで収納できますが、運動を習慣化するなら出しっ放しがおすすめです。

 モチベーションの欠ける人間が使う健康器具は、運動部の鬼コーチや目障りな先輩のような存在であるべきです。ま、そのうち引退するとは思いますけどね。

ローイングバンドシステムを搭載し、肩や腕の筋肉、三角筋を鍛えることができる(モデルは筋肉がないので筋肉プリントのTシャツにて撮影)

小口 覺

1969年兵庫県にて製造。ライターとして、雑誌、Webメディア、単行本の企画・執筆、マンガ原作を手がける。取材・関心領域は、PC、インターネット、スマートフォン、家電、料理、各種ライフハックなど。

Webページ「有限会社ヌル/小口覺事務所」
http://nulloguchi.wix.com/nulloguchi