老師オグチの家電カンフー
第14回
ボウジキ(スティッククリーナー)は家電における刀でござるか
2016年7月20日 07:00
人気のスティッククリーナーは、その形状だけでなく名前も長い。ス・テ・ィ・ッ・ク・ク・リ・ー・ナ・ーって10文字もある。7文字以上は略されがちですが「スティクリ」ってのも言いにくいし、もう棒状の掃除機=ボウジキでいいんじゃないですかね。ボウジキ(正直)ダサいですが、ダサいぐらいの方が普及しそうだし。
意外と家電用語もわかりにくいんですよ。掃除機だと従来からの引っ張るタイプはキャニスター式と呼ばれていますが、これコロコロ回るキャスター(車輪)じゃない。
キャニスターって紅茶やコーヒーを保存するフタ付きの容器のことです。今じゃ業務用掃除機にしか、その面影はありませんけど。
キャニスター掃除機にくらべるとボウジキは男性からのウケが良いらしいですね。まぁ、男には棒状のモノを振り回したくなる習性がありますから。小学校の掃除の時間、ほうきでチャンバラしませんでした? まじめに掃除してないからダメじゃんですが、ほうきこそが元祖ボウジキ。
掃除用具が棒状なのには歴史的正当性があるんです。男が棒を振り回すのには別の理由もあるかもですが(シモネタ自粛)。女子も小さい頃は魔法のスティックにあこがれますか。自分は何もせずにキレイになる魔法は、ロボット掃除機で実現しています。
前に聞いた話ですが、夫婦でスーパーマーケットに行ったとき、妻は夫にカートを押させるといいみたいです。男の運転したがる性質を利用することで、手持ち無沙汰になったり、喧嘩になったりが防げるとか。同じように、ボウジキを与えておくと、男は勝手に掃除し始めるかもしれません。
ここにきてボウジキが売れ出したのは、次に挙げる点が改良されたからでしょう。
パワー(吸引力)、取り回しやすさ(軽さなど)、持続時間(バッテリー)の3つ。
刀になぞらえるなら、パワーは切れ味、取り回しやすさがなければ戦えず、たくさんの敵を相手にするなら刃こぼれしない持続性も重要です。
このまま性能が向上すれば、キャニスター式から置き換わる日が来るかもしれません。若い世代からは「えーっ、昔の掃除機って引きずってたの?」と驚かれたり。
今のところボウジキには、高級感やデザインのおしゃれ感がある製品が多いのですが、これがなくなったときに完全に普及したと言えるかもしれません。ボウジキみたいなダサいネーミングで呼ばれるのもボウジキ(もうじき)です。