藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

懐かしの「レモンせっけん」サッパリ気持ち良く頭・顔・身体を洗える
2025年9月1日 08:05
多分、今年(2025年)から遡るに3~4年前からだと思う。
書店の「暮らし」の棚のラインナップに、主に70歳以上の年齢層を対象にした暮らしの内容を扱った書籍が並びだし、またたく間に類書が増殖した。かなり売れている様子だった。
パラパラ眺めるにその多くが、わずかな国民年金だけでもいかに豊かに暮らせるかといった内容で、さまざまなくふうや各々の暮らしぶりが綴られ、およそ20年前に界隈を席巻した「シンプルライフ」系の暮らし情報の20年後がこれか、と筆者は静かに慄いた。
そして、かつては「北欧の木のおもちゃ」だとか「リトアニアリネン」だとかに惹かれていた筆者自身求めている情報も、「100円ショップで手に入る健康器具」だとか「一反のサラシをどう使いこなすか」とかいう、“こちら側”なのだということを、明確に認識したのだった。
実のところ、いずれ子育てが終わったら小さく暮らしたいという希いが、筆者にはある。
亡親の遺した家の荷物を数年がかりで何トンも処分し、いまだ終わりの見えぬその作業を続けている身にしてみれば、我が子に親(自分)のモノを処分させるのは忍びない。願わくば自分は、始末よく行きたい。
とはいえ10〜20代の子供たちとの今現在の暮らしは、だいぶんモノ的にマキシマムだ。たとえば浴室におけるシャンプーボトルは5人家族で5種類ずつあったピークこそ超えたものの、リンスも入れればまだ5~6本はずらり居並んでいる有り様。もう、シンプルライフのかけらも無い。
もちろん親の強権を発動して1種類のみを家族に強要するという方策もあろう。でもそれは私好みではないので致し方ないのだ。ただ筆者の興味関心、生活実験テーマとしては「倹しい風呂周り」というのがあるため、しばらく前からひとり実行しているのが「レモンせっけんのみで頭から顔から身体まで全部洗う生活」というものなのだった。
カネヨ石鹸のレモンせっけん。読者諸兄はご存知だろうか。おそらく、ご存知なのではないだろうか。
そう、小学校や中学校の水道のところにみかんネットに入れられぶら下がっていた、黄色い、あれだ。あのレモン石鹸がちゃんとした(!)「浴用」だったということを知ったのは結構最近のことで、調べれば素材はごくシンプル、レモンの香りもレモンオイルによる意外な自然派で、それなのにものすごく安い。
当初はおっかなびっくり、しかし結論からいえば五十路のおばさんの皮膚、毛髪に対してたいした問題なく使える。泡立ちも非常に良く、特に夏のベタつく身体のサッパリ洗い上がりっぷりといったら! とても気持ちいい。そして仄かに伴う、爽やかなレモンオイルの香気……。
だのに1袋8個入り492円なので1個あたり62円弱。毎日使ってもなかなかなくならないうえ、1袋買ったら全身に使ってすら1年近く持ってしまうのではないか? 倹しい。倹しすぎる。
知命を越えた。年金暮らしの年齢も照準に入った。いずれ来る「その日々」の友として。レモンせっけん。強力に、候補に、推したい。



