藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

服にスプレーするだけで涼しさ続く!? ひんやりグッズが侮れない
2025年9月22日 08:05
夏風邪かと思ったら熱中症で、数日点滴に通ったことがある。以降めっきり暑さ自体に弱くなってしまった。勘定してみたら、そのひどい夏からはもう干支がひと回りしているのだが、いまだ「夏恐怖症」気味だ。
おかげで毎年、GW明けごろから戦々恐々としていた。とはいえ熱中症に対し何も対策を講じていないわけではなく、体力づくりを試みたり、養生したり、ネッククーラーやハンディファンなど比較的新奇的な暑さ対策グッズの導入をしたりもしてきた。それでも猛暑のさなかに出かけるのは、いつもストレスだ。
そんなあまたのグッズの中で、正直、眉唾もの扱いしてきたのが「涼感スプレー」の類で、長年食指が伸びずにいた。これは実際に身体を冷やす効果があるわけではなく、ただミント的な効果で涼しさを錯覚させるだけなのではないかと、危ぶんでいたせいだ。
大昔、筆者がまだランドセルを背負っていたころ、夜な夜な「成長痛」といわれる脚の痛みにのたうち回って泣き喚いていた時期があった。ある日、ほとほと困った父が筆者の脚に自分の肩こり用に買ってあったいわゆる外用鎮痛消炎剤を塗ってくれたのだが、その範囲がうっかり広すぎ今度はあまりの「寒さ」にガタガタ震えてえらいことになった。
いま当該商品の添付文書PDFをダウンロードして確認してみればわかる、成分の2番目に記載されているメントール……こいつのしわざだろう。メントール……侮れぬ。物理的に冷たいわけではなくても感覚は完全にバグる。涼感を感じることは物理的に冷えることとイコールではない。がしかし……「寒い」ことは「寒い」のだ。
あまりの猛暑に、昨年もうバグでもいい、涼しくなれるなら騙されてもいいと思って購入した「涼感スプレー」は、吹き付ければちゃんと寒かった。おかげで、少しでも外気が涼しくなり始めると、もう使い切れなかった。それが消炎鎮痛剤同様、直接素肌に吹き付けるタイプのものだったせいでもある。
しかし懲りずに今年は衣類に吹き付けるタイプの商品を買ってみたのだ。直接素肌に吹き付けるタイプのものは確かに即効性はあったものの、じつは持続力はさほどでなく、さらにやや身体にベタつくというデメリットがあった。
さて、服にかけるタイプのもの、持続力や効果はいかほどのものか? この、ときわ商会「ひんやりシャツシャワー ストロング ミントの香り」は、衣類用の涼感スプレーで、ミント系の香りと除菌・消臭効果を備えている。筆者が使用したのは500mlのボトル。持続時間はおよそ30分〜1時間ほどと記載されている。
ある最高気温38℃の日、満を持してお出かけ前のワンピースの背中にタップリとスプレーし着用、外界に筆者は躍り出た。
すると……(モワ〜〜〜)熱風が、あ……暑いんだけど、背中が、ひ……冷〜〜〜っ……。
涼しい、ちゃんと、涼しい!! でも、これは気化熱? どうせすぐ蒸発して、ひんやりするのは一瞬だけなのでは?
やや危ぶみつつ、いつもの駅までの徒歩、灼熱の下、ほんのり背中に涼感をまとい続けるのを自覚。そこからムンムン蓄熱された駅舎を経て、熱風とともに滑り込んできた電車に乗り、座る。
そこはかとなく温度のあるシートと服と背中。湧き出た汗と触れ合って、再びヒヤリ。冷感は、まだ続いている。続いている……続いている。
結局、片道1時間ほどの行程の間、冷たさを感じることができた。
いささか、感動した。
そうしてしばらく使い続けて、気づいた。この確たる「ひんやり感」のおかげで、更年期の暴れ馬のような自律神経が、だいぶ落ち着いていることに。要は「暑さパニック」のようなものを起こしにくくなっている。
実際に冷えているかどうか別にして、この「涼感」というもの自体、相当、侮れないものなのではないか?
また別の外出時、背中だけではなく脇の下あたりにもしっかりスプレーして出かけたところ、さらなる「ひんやり感」を覚え、かつ、衣類自体の異臭までかなり抑えられていることに気づくのだった。なるほど「除菌・消臭」効果も商品には記載されていた。ちゃんとその効果はあったということだ。
一点。あまりに気に入って友人らにもこの商品の素晴らしさを吹聴していたところ、愛用者である一人から「くれぐれもお腹部分にはスプレーしないように」と注意を受けた。どうやら出先でえらい目に遭ったことがあるらしい。皆までは訊かなかったが、想像するに余りある。
果たしてこれが熱中症対策や予防になるかというと正直よくわからない。しかし昨今の暴力的な暑さに自分の「心を折れさせない」大きな一助にはなると思う。
けだし、メントール。侮れぬ。でも、早くこれが要らなくなってほしい。暑さには、もう飽きた。


