藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

カインズで大発見! トイレのニオイにペット用「お掃除シート」が効いた

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
お掃除シート デザインバケツ 本体 130枚

氷河期世代の筆者が28年前、新卒で就職したのは住宅メーカーで、最初に仮配属された営業所で割り当てられた朝の掃除箇所は、男女兼用のトイレだった。

黒いゴムのようなデコボコした独特の質感の床材を、今でも鮮明に思い出すことができる。正直なところ、なかなか手強い条件下にあるトイレで、筆者にこの掃除場所を引き継ぎ掃除法を指導してくれた先輩の何か労るような、心配するような微妙な目つきなど、なんともいえないものがあった。

しかしまあ、筆者は若く、存外素直で、やる気に満ちていた。「いっそここを私めが営業所の皆があっと驚く美トイレにしてやろう」などという大それた野望とともに掃除に勤しむ日々が始まった。そんなことより家を売れ、という感じではあるが、いやいや。この掃除から学べたことは少なくない。その一つに「トイレ掃除は床が命」ということがある。

窓のない半地下のような場所にあったこのトイレには換気扇こそあれど、先輩から教わった方法を踏襲し、どんなに見た目を綺麗にしたところで、後に仄かな尿臭が残った。筆者はそれが、どうしても嫌でならなかった。

つまるところ、教わったやり方のままでは解決できないため、独自に掃除法を研究する必要があった。とはいえ毎朝の掃除時間はせいぜい10分程度しかなく、できることには限りがある。

筆者は仄かな臭いの発生源を鼻でたどり、どうも便器そのものではないとあたりをつけた。しかし便器の近くではある。床、きっと床だ。

そこで柄のついた床掃除用道具を使うのをやめることにし、そこからは這って便器周辺の床掃除に注力するようにした。トイレといえば便器掃除がメインになるところを、床に時間配分の多くを割くことにしたのである。

結果は明らかで、著効した。掃除後の臭いは消え、筆者はほかの部分へもさまざまな工夫を講じる余裕を得たのだった。

……という学びがあるがゆえに、筆者はトイレの床掃除には一家言ある。そこで今までもさまざまな道具を試してきたものだが、今年の1月にカインズでひょっこり見つけたこの「お掃除シート デザインバケツ 本体 130枚」が、たいへん良かったのである。

実のところ、人間のトイレ用ではなくこれはペット用なのだが、ペットのトイレ周りなどの掃除に使える安全性、確実な消臭力、そしてたっぷり130枚という大ボリューム(しかし半円のバケツ型で案外邪魔にならない)に惹かれて使い始めた。

半円のバケツ型で、邪魔にならない
実はペット用の商品

130枚もあると、とにかくなくならない。ケチケチ使わないで済む。

毎回、壁と床で1枚、便座便器で1枚使った。洗浄剤がひたひたに染み込んでいるので1枚でもいけるのかもしれなかったが、筆者はしっかりと床を拭き切りたかったので、豪勢に壁床だけで1枚使うことにした。

そうして1カ月、2カ月と経ち……結局なんだかんだ1個で4カ月ほど持った。そして、ペーパー自体は無香だが、トイレも無香空間であり続けた。快適。もう、リピート購入決定だ。

過日。仮配属先への出勤最終日、私は営業所長に呼びとめられ「頑張りましたね、トイレ掃除」とねぎらわれた。


「はっ、ありがとうございます!」

「ときに、あなたは“便所掃除”という詩を知っていますか?」

「小学校の時に担任の先生に教えてもらったので知っています」

「そうでしたか。きっとあなたは……」

そのとき言祝がれた言葉を、今までもこれからも、生涯忘れることはないだろう。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして20年以上活動。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、10~20代の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。