藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

こすらないトイレ掃除! 5分放置だけの花王泡パック

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
花王「トイレマジックリン こすらずスッキリ泡パック」

「トイレ掃除を素手でやると金運が良くなるんだって!」

という情報を筆者が初めて得たのは、新米ママコミュニティからだった。まだ世の中にTwitterもLINEも無かった、ジオシティーズがあった頃の話だ。

多少ITに詳しい当時のイケてるママたちは「メーリングリスト」などを活用し、最新の育児情報などを交換し合っていた。

そのコミュニティのボス的ママが言うには「その時、密教の真言を唱えると効果が増す」らしく、カタカナで書かれた呪文? も伝授してくれたのである。やさしい。

それにしても「素手でトイレ掃除……」テラ・インコグニタ。当時、何より衝撃的だったのは、床や便座のみならず「便器の水溜りの奥」まで手を突っ込むことが「素手」の意図するところだったことだ。ナチュラルにすごい抵抗を感じる。

しかしボス曰く、これを実践しているという某芸能人の八面六臂の活躍の源泉こそこの素手トイレ掃除にあるのだといい、なんとなく説得力がありすぎたためか、これは非常にその後コミュニティ内で流行ったのである。もしかしたら今でも続けている人もいるのかも、とっくに億り人になっているのかも。

とはいえ現況、世のニーズはその真反対にある。触りたくないよね、便器の中なんて。汚いもんやっぱり。という塩梅だ。

そんな「触らず便器掃除」の優秀なバディは長い間「トイレブラシ」だった。清潔な棒を持って、先っちょでゴシゴシする。便利。便利なのだがこの「トイレブラシ」という存在の嫌われようといったら悲しくなってくるほどだ。

曰く「意外とフチの裏側とかが落ちない」。曰く「ビチョビチョ垂れる」。曰く「気付くとケースの中でカビている」。ゆえにブラシは、使いたくない!

そこで使い捨てブラシなどが出てきた方向と、もうひとつ、洗剤をカタめた「泡」にするという方にトイレ掃除はゆるく分化する。「泡」状に発泡した洗剤を汚れにピンポイントにぶつけ、固着させ、そこで泡が弾ける中、洗剤成分を行き渡らせて汚れを溶かしてやろうという、この泡に着目・活用した洗剤自体も、実のところ特に珍しくもないというか、ひとつの確かな掃除の潮流となりつつある。

さて、半世紀に迫ろうかという「トイレマジックリン」というブランドから昨年満を持して登場した「トイレマジックリン こすらずスッキリ泡パック」も、このイマドキの「ブラシ使いたくない」の文脈に則っている。

便器内、いわゆる「フチ裏」各所や、たまり水の喫水線のあたり、もちろん便器のその他の面について「シュッ!」とプッシュ、スプレーするだけで泡がとどまる、「5分放置」するだけでトイレ掃除が済む、という簡便さを謳う。

「5分放置でピカピカ」になる「トイレマジックリン こすらずスッキリ泡パック」

花王の商品あるあるなのだが、スプレーボトルが頑丈でよくできているので、スプレーを逆さに持っても、泡がしっかり出るのはノーストレスだ。

トイレには便器以外の要素も多いが(便座や床など)、こと便器内部の掃除については、ちょいちょいこのスプレーを飛び散りの蓄積しそうな箇所に噴射して「泡っぽく」しておくだけで相応の感触を得られる。

用足しの直後に家族がトイレを使う際「フチ裏」や「喫水線」に数プッシュしておくと汚れ対策にもニオイ対策にもなる一石二鳥感も、家族の数が多いとありがたい。

便器内部の掃除のみに使用可能

個人的には「サボン&シトラス」「ホワイトフローラル」のようなオシャレな香りづけより、キリッとしたただのミントの方が清涼感があって好みなのだが、この辺は香りをどの程度重視するかによるところだろう。

トイレ掃除が金運に及ぼす影響は神のみぞ知るだが、「汚れに可能な限り手を触れない」振る舞いは、排泄物由来の感染症対策にはなる。かく人生は何事も優先順位次第なのである。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして20年以上活動。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、10~20代の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。