藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム
レノア「すすぎ消臭剤」は臭いも匂いも抑える?
2024年3月19日 08:05
着色された白黒の写真や映像が、SNS伝いにしばしばシェアされてくる。明治、大正、昭和……。白黒ではなく、色味があることで異様にリアルに感じられ、想像力も掻き立てられるものなのだが、写真や映像から決定的にわからないままなのは、その場の「ニオイ」なんだよなあ、といつも思う。
嗅いでみたい気もするけど、きっと今の感覚からいったら、とんでもなく臭いんだろうなあ。町も家も人も。
問答無用に強烈な臭いを発していただろう排泄物の処理が高度化し、掃除洗濯の頻度が高まることで、衛生状態が良くなるに連れ、臭いは減っていく。そうして場のニオイに増して、現代に近づくにつれ忌避されつつあるのが「人のニオイ」だ。
私たちは自分が「におう」こと、他人から「臭い」と言われることをものすごく恐れている。気がする。
「臭い」自分であることは、なんなら人権を剥奪されかねない、とんでもない悪行のよう。なんでか。だから衣類のニオイ込みで体臭を消すのは当然として、より良い香りを振りまく自分にならなければならないような気さえしている。
ところでどんな衣類が臭くなるかって。汗をかいて乾いて、そこに汗をまたかいて、それが乾いたままに着続けてまた汗をかく……のを繰り返した衣類だ。
生地には皮膚が接し、その毛穴に溜まった古い角質やら余分な皮脂やらが汗と一緒に浮き出したものが放っておいても付着する(汚れる)。汗以外の体液も出るし、排泄物も付く(汚れる)。もちろん外側からも、泥や何やで汚れる。
それら汚れ自体が酸化しても臭うし、汗の水分と相まって細菌が増えればその代謝物でも臭う(酸っぱいニオイ)。細菌だけで済めばいいが、さらに時が経てばここにカビまで生えてくる。そのカビも臭う(ツンとする刺激的な墨汁っぽいニオイ)。ニオイは混じり合い、ますます臭くなる。
ただ多分、世の中の皆がそんな感じであるならば、そこまで臭い」とは感じないんだと思う。でも今はそうではない。人から出るニオイは減り続けている。だから難しい。大変だ。
「より良い香りを振りまく自分」であろうとしすぎたって、今度は歩く「香害」になりかねない。
そこにレノアから「すすぎ消臭剤」という、これまでになかった商品が出てきた。洗剤でも柔軟剤でもない新たな存在だ。
おそらく現代の皆が普通に洗濯機で洗濯をしていても行き届かない種類の「ニオイ」がある。いやむしろ現代の皆が普通に洗濯機で洗濯をしているからこそ発してしまう類の、今の「ニオイ」なんだろう。それをより強く打ち消したいニーズだ。
すすぎ消臭剤の使い方は柔軟剤と同じだ。洗濯機の柔軟剤入れに入れて、すすぎのタイミングで自動投入させるだけ、「つけ置き」などの手間はない。
洗濯オタクの筆者宅では、基本的に普段の衣類は「無臭」を目指しているので、そもそも臭わず試用に適さないのだが、一軍を退いたボロめのバスタオル類がまあまあ臭かったので、それを洗濯するのと、やや臭うボクシング用のポリエステル衣類を洗濯するのに使った。
結果的にポリエステルには著効し、木綿のバスタオルには濡れている状態ではさほど効いた感はなかった。が、乾いたら、なるほど無臭になった。繊維との相性もあるかもしれないが、洗い上がりの匂いは確かに「清涼」で、これはすすぎ消臭剤に含まれる香料の関係としても、残った柑橘の気配は嫌な印象ではなかった。
注意点としては、柔軟剤とは併用できない。加えて、クエン酸が配合されているため、塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)との併用は超絶厳禁(塩素ガスが発生する)である点だ。
しかし、そもそも今どき普通の洗濯に塩素系漂白剤を使う人なんかいるんだろうか、と疑念を呈したら、「逆に塩素系漂白剤と酸素系漂白剤の区別がハッキリついているような人の方が珍しいのではないか」という意見を身近から頂いた。
だとしたら他人から「臭い」と言われるどころでなく自分の命が非常にまずいので、どうか気をつけてください。