藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

モバイルバッテリーにもなる充電式カイロが冷え性のお供に

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
ETSHiP 充電式 電気カイロ ハンドウォーマー

ノートPCにしろタブレットにしろスマホにしろ、バッテリーが「発熱」していていいことなどひとつもないと思っていた。

モバ充(モバイルバッテリー)だって熱を持っているとアツイというほどでなくても、「ちょっとまずいんじゃないの」と思う。思うんだけど、そんな感覚を逆手に取ったかのようなグッズが近年出てきて正直ビックリした。「充電式カイロ」「電気式カイロ」「電子カイロ」と呼ばれる一連の商品群だ。

カイロといえば、筆者は子供の頃から使い捨てカイロ一択だった。ベンジンだかオイルだかを使ったものも見たことはあるのだが、死んだおばあちゃんが愛用していたもので、子供心にどこか怖く、触ったことは多分一度もない。

この使い捨てカイロ、冬になれば毎年各種常備必須、家族全員大愛用の大活躍である。

筆者の場合、真冬になれば貼らないやつをコートのポケットに、貼るやつを腰の仙骨あたりに、足の裏に貼るやつをつま先に入れる。この3点セットが基本で、出先の寒さの塩梅によって、その個数や位置を調整しているのだ。

だから使い捨てカイロにかけるコストも例年まあまあなものだと思う。でも、冷えは万病のもとなので、背に腹は代えられない。

そんな中、家族の電車通勤通学している勢が「モバ充にもなるらしい」という理由で、この「充電式カイロ」を導入。絶賛するのだった。

「超すぐあったまる」「むしろ熱いくらい熱い」などと言うので、言葉だけ聞いている方としては不安になり、「爆発しないの?」などと愚かな質問をする有様である。

「だいぶ怪訝」という態度で「充電式カイロ」に相対していた筆者だったが、実際に使ってみてまず驚いたのは「使わない時はカイロの熱をオフできる!」ということだった。

文字だけで見るとアホみたいだが、長年使い捨てカイロに慣れた身としては、一旦温まり出したらノンストップが基本である。「温かい部屋では発熱をオフできる」という機能は、文字通り目から鱗だった。

さて「充電式カイロ」とは、そもそもの充電方法を含め、いろんな商品が出ていて一長一短でありはするのだが(我が家にも数種類ある)、予算と機能等から筆者が導入した「ETSHiP」の充電式カイロの場合は、ポケットに入れておくと若干重量を感じるきらいがある(300g弱)。

でも手が寒い時、ポケットの中などでスイッチを入れて手をしっかり温め、必要でなくなったらオフしてバッグの中にでもしまってしまえば邪魔になるわけでもない。そしてスイッチを入れずに(発熱させずに)携帯しておく分には、普通にスマホのモバイルバッテリーだと思えばいい。

10,000mAhと大容量

「低温」「中温」「高温」と3つのモードの切り替えができ、各々設定温度と持続時間が異なるのだが(35~42℃で約14時間、40~48℃で約11時間、48~55℃で約7時間)、トイレなどでドボンと落としたりしかねないし、低温やけどのおそれもあるので、服の上からにしろ「貼るカイロ」のような常時密着させておくような使い方は想定されていないのだろうと思う。

しかし、冷えた時や寒い時に一時的にお腹や腰に押し当てたり、靴を脱いで足先や足裏を温めたりするのには「高温」など心強いまでの発熱ぶりで、寒がりや冷え性のお供にするには上出来である。冬場は携行防災用品にしてもいいかもしれない。

ちなみにカイロはカタカナで書きがちなのでオランダあたりの外国語由来だと疑いもせず思っていたのだがどうやら「懐炉」だった。懐の炉かぁ! そしてその源は平安時代にも遡る、火鉢などで温めた石(温石)で、トイレの遺構などからも発掘されているのだという……。

令和の民におかれましても、くれぐれもドボンはしないように気をつけられたし。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして20年以上活動。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、10~20代の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。