藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

ラフ&パワフルでお馴染み「ケルヒャー」初のスティッククリーナーは大人しい?

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
スティック掃除機「VCS 3」

個人的な日記というか、日報のようなものを書き始めて40年近く経つ。人生の時期によって箇条書きだったり殴り書きだったり、逆に異様に日々長文だったりと波はあるものの、1年も過ぎるとまるで記憶していない内容ばかりで、読み返すと他人事のようで存外純粋に楽しめてしまう。

先日久しぶりにそれらを読み返していたところ、3~4年前から「世の中では安直な正解が求められ過ぎているのではないか」という記述が当惑とともにしばしば綴られていた。この流れは今でも続いている。そのことに対し、いささか思うところがあった。

“間違える”ということと“恐怖”が紐付き過ぎている気がしてならない。今、子供たちを育てていても、情報の洪水に晒されている世代である彼女らの発言から、それが頻繁に垣間見え、あやうく感じられる。

誤ってしまう恐怖によって、自分で考えることを忌避しようとする傾向がある。それを“よくない”と思えど、翻ってマーケティング的に見ればそうさせるのは一種の勝ち筋だ。

さてケルヒャーの製品といえば「高圧洗浄機」「スチームクリーナー」「乾湿両用クリーナー」などが有名で、これまでのこういったラインナップに通底する印象はとにかく“ヘビーデューティー、かつラフ、パワフル!”というものだった。

これらの色は他の製品と明らかに一線を画し、どちらかというと性質がラフな筆者にはそこはかとなくマッチし、長年愛用してきたものだが、そこに今年初めてスティッククリーナーかつジャパンモデル「スティッククリーナー VCS 3」が投入された。

ケルヒャー初のスティッククリーナー(ジャパンモデル)
ファブリック用のヘッドなど必要なアクセサリーが揃っており、スタイリッシュで、専用スタンドはミニマム。日本の暮らし・住まい向け

この商品の特徴やディティールについては他記事に譲りたい。が、諸々“コスパがいい”というのは筆者も感じたことで、というのもここ10年ばかりの掃除機(クリーナー)全般の高額化、全体物価上昇傾向な中、31,800円(税別)と流れにブレーキを踏むかのような価格設定にかなり驚かされたからだ。

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「買って正解な掃除機」「絶対買いの掃除機」というのを正直、人様に対して挙げることは難しい。家(床)の広さ、床材、生活リズム、衛生への感受性、使う人の握力、床以外の何に掃除機がけをしたいのかといったニーズ、収入の多寡(金銭感覚、予算感)、デザインやブランドへのこだわり。各々のバックグラウンドや価値観が異なる以上、唯一解となる商品などない。

ただ時代の流れで“(スティック)クリーナーならこの機能があって欲しい”と期待される期待値は上がりこそすれ下がることはなく、“せっかく買うのであれば”買う前と後とでの暮らしにある程度ドラスティックな変化が生じることをも期待してしまうのは、まあ致し方のないことだと思う。

「スティッククリーナー VCS 3」はちゃんと持ちやすく、よく吸い、取り回しは軽く、ゴミは捨てやすく、排気はクリーンで、ファブリック用のヘッドなど必要なアクセサリーは揃っており、スタイリッシュで、専用スタンドはミニマム。今どきの期待値はきちんと超えてくれている。日本の暮らし、住まいをよく解像してそこに寄せている。

初めてスティッククリーナーを使う人にも、もう幾台めかのスティッククリーナーとなる人にも、文字通り「過不足」なく使える道具なのではないか。よくいえば聡明、悪くいうなら無難な一台で、元の“ヘビーデューティー、かつラフ、パワフル!”といったイメージからはやや遠い。“家の中”に入って大人しくなったよう。

おそらく“正解の一台”として呈するのは正直なところ「違う」と思う。が、この洗練されてしまった元ラフな少年、のようなスティッククリーナーは、今の筆者の暮らしには、間違いではなかった。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして20年以上活動。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、10~20代の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。