藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

心配性の災害対策グッズその13「メリット DAY+ ドライシャンプーシート」

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
花王「メリット DAY+ ドライシャンプーシート」

お盆のある8月、しばしば亡父のことを思い出す。胃に潰瘍を作ってがん化してしまう程度にストレスフルな仕事をしていたのに、子供や家族にそのイライラをぶつけないようにくふうしている人だった。子供の筆者は長年それを当たり前と受け止めてしまっていたけれど、それは本当のところとても「有難い」ことだった。

身近な人へはとかく甘えが生じ、むき出しの不安や苛立ちをぶつけやすいものだ。自分に余裕がなくなればなおのこと。いまだ人間のできていない筆者などは夏、気温や湿気が上がるだけでもストレスが大きく、むやみにイラ~っとしたりムワ~っと不快になる。そんなとき家でのんびりしている家族に無駄に声を荒げそうになっては「ンガクク」と飲み込んだり、「ワシャー」と髪を掻き回したりしている。

蒸し暑かった先日、気散じに出かけたドラッグストアで花王の「メリット DAY+ ドライシャンプーシート」を初めて目にした。よくあるウエットシートっぽいけど、頭を拭く専用品らしい。

へえ、いまどきは、こんなものがあるんだ。直感的に「なんか気持ち良さそうな気がする」と思い、フラッと購入してしまった。

気温は30℃少しではあるものの、湿度が90%近かったその日は何をしているわけでなくてもジワジワ汗ばむ嫌な天気だった。仕事場に戻ってきても気が乗らず、ボーッとしてきたので買ってきたばかりのウエットシートを手に取り、戯れにパッケージを開ける。うーん、なんてことはない濡れふきんだ。これで、頭を拭くのか。

ウエットシート状の製品

いまいちピンとこないまま利き手にシートを開き、汗ばんでいるショートカットの襟足に当ててゴシゴシしてみる。冷やっとしたあと、フワッと漂う柑橘みのある香り。うん? ちょっといいかも知れない。

そのまま後頭部から側頭部、頭頂部に向けて指先で地肌を拭いていく。蒸れた髪の間にスーッと清涼感が通り、次第に心なし頭が軽くなっていく。拭きながら頭皮マッサージをしているようなものだからだろう。

その1枚のシートがヨレヨレになる頃、髪の間に指を挟んでにおいを嗅いでみると、わかりやすく汗臭さが減っていた。それに「気持ちが良かった」。単純に清々しくなっていた。なるほどこう不快なとき「頭」にアプローチするのって、かなり、いろいろ「早道」なのかも知れない。

シートを手に広げて頭皮を拭いていく

ところで筆者はライフワークの一つとして、少し長いスパンで家の災害対策グッズの見直しをしている。ずっと災害イコール地震としか考えていなかった筆者だったのだが、ここ数年で大雨による内水氾濫で都市部でも水害に見舞われかねないことがわかるなど、災害観が更新されつつある。それに合わせて、必要なもののリストアップの基準が少し変わりつつある。

食料品については、近年とくに長期保存品頼りではない「ローリングストック」の考え方が広がりつつあるけれど、筆者は生活雑貨のローリングストックも存外大事なのではないかと思っている。なんであれ特別ではなく使い慣れた、しかし便のいいもの。そういったものの「これだ」というリストアップが、喫緊、必要なのではないか。

そもそも「もしも」のときなど、ストレスの負荷も高く、自分の心にも身体にもいつにもまして余裕がなくなっているだろうと見越しておかなければいけない。そんなときの自分に対して、少しでも気持ち良くなれるもの、イライラを解消できるものを準備しておくことは、自分のためでもあるけれど、きっと身近な、何より大事な家族のためになるのだ。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして21年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、大1、中3、小5の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。