藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

突然の雨でも靴を濡れさせない「シリコンシューズカバー」

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です
滑りにくいシリコンシューズカバー

その日、筆者は通気の良いスニーカーを履いて出かけていた。履いていても蒸れにくい、土踏まずのあたりがメッシュ構造の靴だ。

そうして、まんまと外出先で雨にやられた。ただ大した降りではなく、まあまあ夕立に毛が生えた程度ではあった。しかし足は路上の水分であっさり濡れた。さすがメッシュ……。

それにしても、思う。夏の夕立というのは、昔はもう少しこう……エモかった。

分かっている。齢50も近づいてくれば、その述懐する「昔」なんてものはさんざん記憶補正されているものであると。それでも近年の爆弾のような、あの「ゲリラ豪雨」みたいに季節感もへったくれもない暴力的な雨とは趣の違うものだったハズだ。

靴が濡れる度、すごく悲しく情けない思いになるのはなぜだろう。予報で予期できる限りは、足元の通気性とトレードオフで、雨に強い合皮や革のショートブーツで外出することが実際は多いのに。

でもその日は負けた。筆者はガブガブと嫌な音を立てる濡れた靴で歩みを進めながら、何か方策を練らねばと考えていた。

というところで、探し購入したのが今回紹介するアイディア商品的「シリコンシューズカバー」である。ネットショップで一足分、1,000円程度とごく安価なので駄目元で買った。ブヨブヨベタベタした半透明のクラゲみたいなものが届き、ちょっぴり驚く。大丈夫なのコレ。

半透明のカバー

そして、そうかこれが活躍する機会というのは、「今日の天気は帰る時までセーフだと踏んで風通しの良いスニーカーを履いて出かけつつも荷物になるのを呑んでこの靴カバーを敢えて持参、その上でまさかの雨に降られてしまった! 今!」というレアな状況なのだと気付き、若干気が削げた。

が、活用の場は案外来るのではないかとも思った。そしてわりとすぐにその機は訪れた。

ちょっと空模様は怪しいけれど、いいやあ行っちゃえと近所のジムに行ったとき、案の定帰りに降られたのだ。靴カバーは荷物の中に無造作に放り込んであった。

ようし、今こそコレをスニーカーの上から履こう。靴の上から靴下を履くみたいで、変な感じだけど……。ガボッ。ベタ、ベタ、ベタ。……。

うーん、すごく歩きやすいわけではないけれど、それは普通に長靴を履く時にも同じな気がする。そしてあのメッシュが道路の雨水を靴下にスルーさせることなく、なんと無事に家にたどり着くことができた。これはなかなか、意義深い。

汚れたカバーは風呂場で食器用洗剤を使って洗い、洗面所に干しておいたら程なく乾いた。干すとき風船状にシリコン靴型を開いて空気をよく含ませるのがコツのようだ。

使用するごとに、上も下も地面と靴底で汚れるため、つねに綺麗な状態にしておかないと持ち歩きはしにくく感じる点がやや負担ではあるにせよ、とにかく靴を濡らしたくないニーズにはしっかり応える。

普通の長靴の方が存在としては味がありはるかにエモいけど、普段から履きなれた靴で雨の日も過ごしたい、年を取ってきて靴をデザインだけでは買えなくなった、靴の良し悪しで体調にも影響が出るお年頃にはなかなかそれは切実な願いだ。そんなところにもこれなら対応できるだろう。

もう若くはない。転んだり滑ったり足を冷やしたりしないよう、気をつけて雨の日を過ごそう。

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして21年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、大1、中3、小5の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。