藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム
お風呂場の“黒い汚れ”を落とす「ウルトラハードクリーナー プロ推奨 バス用防カビプラス」
2020年6月26日 07:00
コロナ禍で、できなくなってしまった仕事に「読者のお宅訪問」系のいろいろがある。テーマに沿ったお住いの各所をお掃除してビフォー・アフターの絵を撮るものだ。
この際、結構頻繁に言われる言葉があり、なかなか滋味深いと感じていた。それは、こちらから見れば明らかな汚れであっても、住まい手の方曰く「模様だと思っていた!」というものである。
模様!!!
この連載で触れたことがあるかも知れない。以前、子供が黒いクレヨンで壁に落書きしてしまったものを、あの名だたる「カビキラー」で落とそうとした知人がいた。
しかしまるで落ちず、なぜか筆者の携帯に電話がかかってきた。どうして落ちないかと訊かれたので、「クレヨンはカビではないから」と答えると「おかしくない? 同じ“黒い汚れ”でしょ?」と言われた。
同じ、黒!!!
そのとき筆者は激しい衝撃を受けたのである。住まい各所を汚す原因には一切こだわらず、その「色」のみに注目するという発想がまるでなかったからだ。
果たして、今回とりあげるこの洗剤なのだが、やはり「黒い」汚れを落とすために役立つ品ではある。
先日のことだ。リモート打ち合わせの際、何気なく「お風呂場床の黒ずみってどうしたらいいですかね?」と相談された。
この手の汚れ。案外、見覚えのある人も少なくないのではと思う。これは概ね、薄黒く、ややねちっこく付着しているタイプの汚れだ。
しかし少なからず、「お風呂場で黒といえば黒カビ!」とばかりに、初手から「カビキラー」を使われたりする。けれども……落ちない! ……という苦情(?)が、年に何度となく筆者のところに来たりする。
ヒアリングしてみると、たいていそれは黒カビではない。主にプラスチック製の洗い場に、少しずつ溜まってしまった、「ボディーソープの石鹸カスと身体に付着した煤煙(排気ガス)的な汚れのハイブリッド」と思しい。
また、このタイプの汚れに見舞われるライフスタイルにはちょっとしたパターンがあって、「浴槽にお湯を溜める頻度が少なく」「シャワー入浴が主」な人が「いつも立っている」まさにその位置が、「黒」くなるようなのだ。
およそ皮脂系の汚れと見込んで、酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)を使ったマイルドめなアルカリでの掃除を施すことを勧める。すると、この汚れは概ね落とせる。
しかし汚れにある程度の年季が入っていたり、入浴頻度その他の事情で、どうにも落としきれないことがあった。今回相談してきた人の家でも落ちず、当人が購入したこの商品でなら落ちたというので、筆者も買い求めたのである。
「プロ推奨」とあるこの洗剤の液性はアルカリ性。一般的なお風呂用洗剤は中性なので、これは「強い」。その液性をもって、界面活性剤と溶剤が添加されている。なるほど、とにかく脂性の汚れを溶かして浮き上がらせ、ズルズルにして剥がし取るゾという意思が伝わって来る成分表示である。
ただ、「効く」というのはいつも危険と隣り合わせである。きっちり換気してメガネで目をガード。アルカリを粘膜に飛ばすと良くない。ゴム手袋にマスクもしたい。
そのうえで、自分ではさほど汚れていないと思っていた我が家の浴室洗い場に噴霧して、スポンジでなでつけ、広げ、その後5分ほどボーッとしてからシャワーで流してみたのである。
すると……我が家のグレーの洗い場床がワントーン明るい色になった。おわかりだろうか……。
「住まい手にとっては、汚れを自覚しにくい」というテーゼは、えらそうな筆者においても、また同じだったのである!