藤原千秋の使ってわかった! 便利家事アイテム

【年明けからの大掃除その1】排水溝と排水口のカビとヌメリを一掃! 「カビキラー」「強力カビハイター」

家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です

 我が家には小学生から中学生にかけての娘が3人いる。1人を除いてロングヘアではないのだけれど、浴室の排水口には毎日、髪の毛がごっそり溜まってしまう。

 これら、こまめに取り除くようにはしているが、その抜けた髪の毛には身体を洗った後の石鹸かすが引っかかり、繊維クズが引っかかり、ちょっと気をぬくと容易にヌメリが発生し、詰まるまではいかないまでも排水溝内に汚水が溜まりがちになる。となるとその周辺、排水口周りのゴム的な部分にあれよあれよという間に黒茶色い汚れが蔓延してしまう。「汚れ」というか、これは「細菌の塊」や「カビ」である。

 我が家の浴室自体はいわゆる「ユニットバス」で、プラスチックの箱のような作りなので、いわゆる「タイル目地のカビ」に悩まされたことはない。ただ、鏡の設置面や浴槽と箱の継ぎ目のあたりに挿されている「コーキング(シリコン)」には容易にカビが生えてしまい、閉口する。

 この浴室に多いゴムやシリコンといった弾力のある素材に生えるカビほど扱いの面倒なものはないのだが、「黒カビ」などという大雑把な呼び名で捉えられるほど単純な生き物ではない。

 「フォーマ」という名を聞いたことがあるだろうか。「フォーマ」は野山に当たり前に存在しているありふれたカビなのだが、なぜか私たちの住まいの中に入り込み隆盛を誇ってしまっている。とりわけ浴室の「ゴム」「シリコン」、それから「洗濯機の中」などからよく検出される「黒カビ」として、10年くらい前から認識されるようになった。

 「フォーマ」は、丸いツボ状の子実体(キノコのようなもの)の中に無数の胞子を内蔵するという変わった形状をしているのだが、この菌糸は柔らかいシリコン樹脂に入り込み、その内部で堅牢な子実体を形成してしまう。

 こうなるともう、上から擦ろうが洗おうがカビには手が届かなくなる。このカビとシリコンとの相性が、人間にとって都合の悪いことに大変良いがため、「フォーマはユニットバスに適応したカビ」と、カビの専門家をして言われているほどなのだ。

 とはいえ我が家の浴室をみすみすフォーマ風情に乗っ取らせるわけにはいかない。ではどうするか。液体状で強力な酸化力を持ち、カビのタンパクを破壊する力を持つ「次亜塩素酸」の作用が期待できる、市販のカビ取り剤を使用するに限る。

 身近な商品でいえばジョンソンの「カビキラー」、花王の「強力カビハイター」。成分を比べてみる限り両者ほとんど差異はない。「次亜塩素酸塩、水酸化ナトリウム0.5%、アルキルアミンオキシドという界面活性剤、安定化剤」。液性はアルカリ性だ。

(左)ジョンソン「カビキラー」、(右)花王「強力カビハイター」
メーカー名ジョンソン花王
製品名カビキラー 400g強力カビハイター 400ml
価格(編集部調べ)398円261円

 フォーマに侵されたゴムやシリコン部に、これを使用上の注意に則ってスプレーし、5分から最大30分置いた後に、成分を残さないようしっかりと濯ぐ。まぁ実際の掃除作業としてはこれだけではある。

 人力で何かをしてゴムやシリコンの奥深くに薬液を送り込むこともできないので(食品用のラップフィルムで覆う方法はあるが、これは送り込むというより乾燥を避ける方法である)、ひどい場合には、このスプレー作業を何回かリピートする(同日でも、数日後でも)という方法でフォーマには対峙している。1回の掃除の負荷をあげるよりも、軽く何度も、が鍵だ。

 実際のところカビ取りは、取っては生え、生えては取りのイタチごっこである。やっていて時々虚しい気持ちになることもある。でもここは私(たち)の生活の場である。まだ自然の分解者であるカビたちに明け渡すわけにはいかないのである……。

カビ取り剤をスプレーし、5分から30分ほど放置して洗い流す。カビ対策はこれを繰り返すほかにない

藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして17年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は家事サービス、商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、中3、小5、小1の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。