あってよかった

スリコで買える、“スポンジじゃない”洗い物グッズが役立つ!

くらしを快適にしてくれるアイテム探しに余念がない住生活ジャーナリスト・ライターの藤原千秋が、注目のショップで買って使ってよかったお気に入りを紹介するコーナーです (店頭では予告なく販売終了となることもあります)
シリコーンブラシ手袋

正直、もう20年くらい前から「食洗機というのは良いものなんだろうな……」と思いながら所持しないまま暮らしている。というか、ボチボチ今の住まいに引っ越してきて20年なのだが、その前に住んでいた家にはキッチンの湯沸かしすらなかった。なぜか風呂だけは住んでいる間に(当時最新の)自動給湯になったのだが……あの頃は真冬の洗い物も、冷たい水で行なっていた。

筆者はなぜかゴム手袋をあまり好まない人間である。ゆえに水温が一桁台の冬の水道水にも素手で挑み日々震え上がっていた。さすがにギトギト油の洗い物には、ほうれん草などの茹で汁で対処するか風呂場で沸かしたお湯を鍋にて台所に運び込み「溜めすすぎ」を行なうなどの工夫を講じてはいた。その頃は掃除機などの家電製品も所持していなかったので、「無いなら無いでなんとかなる」という暮らしの修業にはなった気はするが、一種の若さゆえの酔狂であったような気もしないわけではない。

今はもう五十路も近づいている身。強がらず食器は手洗いしつつも、すすぎはしっかり給湯器のお世話になっている。しかし相変わらずの手作業での「洗い物」に際し、使う道具類はいまだベストグッズが定まらず試行錯誤の日々にある。

さて、今回はそんな今冬の筆者的ニューフェイスである、以下3つの「スリコ(3COINS/スリーコインズ)」グッズをご紹介しよう。「シリコーンブラシ手袋」「シリコーンたわし」「隅まで洗えるコップブラシ」である。

いずれも「シリコンゴム(シリコーンゴム)」ないし「熱可塑性(ねつかそせい)エラストマー」といった樹脂系の材質であるという共通項を持つ。ゴム手袋を厭いつつゴムっぽい道具を手に取る仄かな矛盾には目を瞑っていただければ幸いである。

手でそのまま洗ってしまえる「シリコーンブラシ手袋」

ともあれ、まずとにかく見た目のインパクト最大であるのが「シリコーンブラシ手袋」だろう。パッケージからすでにうかがえる奇態な見た目の……ゴム手袋(のようなもの)。

本体もシリコンゴムだが、毛状のシリコンゴムが手袋片面、手のひらから指先までにビッシリ生えているので初見はぎょっとする。いかにもコストがかさんでいるせいか、スリコでありながら550円の値付けの商品だったりする。

シリコーンブラシ手袋の使用例

これは果たしてゴム手袋なのかそうでないのか? 正直初めはどう使っていいのか戸惑ってしまった。しかし数回の経験のち、これは「洗い桶」の併用、そして「あえて湯は使わない」という強気さ(食器用洗剤は使う)とのタッグをもって最適化する道具だと筆者は合点した。使う者のエコ哲学を試される一品だ。

少しの洗剤でも使いやすい「シリコーンたわし」

一方「シリコーンたわし」のほうは、わりあいノーマルな道具に思える。その名の通りシリコンゴムでできた「たわし」で、食器洗いといえば「スポンジ」という固定観念がある場合のみ、そこをかるく揺さぶってくる商品である。価格は330円。

シリコーンたわし

筆者は円形2個セットのタイプを購入したのだが、数パターンの形状で売られているのでお好みでチョイスするといい。

これまたシリコンゴムの毛がその円形の両面に生えており、食器洗いにかかる洗剤の併用は無か少量で可能であるという。道具自体の使用後のすすぎが容易で、スポンジにくらべ衛生的に保管ができるというのが大きなメリットだ。

両面にシリコンゴムの突起

果たして通常の食器を洗いやすいかどうかというところでいうと体感的に「慣れ」が要るようには思うが、比較的デリケートな素材の食器にも傷をつけず、的確に汚れを落とすことができる。

そう、シリコンゴムはその柔らかさにより食器に傷をつける心配がほとんどないというのが美点だ。またシリコンゴムの毛はザルなどの網状、ないし凹凸のある調理器具の洗浄との相性もすこぶるいい点も評価したい。

使用例

マグボトル洗浄にも活躍「隅まで洗えるコップブラシ」

もうひとつ。「隅まで洗えるコップブラシ」は、コップ洗い用を謳ってはいる商品だが筆者は飲み口の直径の狭いタイプのマグボトル洗い用として活用している。価格は330円。

隅まで洗えるコップブラシ

実は筆者宅では子供たちが長じるにつれ、いわゆる1L、2Lサイズの「水筒」を卒業。そのまま母の愛用するマグボトルを横取り、困った母は母でまた新たなマグボトルを購入するもののデザイン重視が裏目に出て飲み口が細すぎ、従来愛用してきたボトル洗いでは対応しきれなくなったという家庭事情がある。

水筒もマグボトルも同じであるが、とにかくこの類のボトル洗浄をサボると非常に不愉快かつ不衛生な状況に容易に陥ってしまう。こまめに面倒臭がらず洗える自らによる工夫、「お膳立て」が必要不可欠なのだ。

この「熱可塑性エラストマー」でできたブラシ部分はゴムともプラスチックともいえない独特なテクスチャーなのだが、何がいいって「水切れがとても早い」。チャッと洗ってピャッと水が切れる。使用後でれでれと水分が垂れ続けず、すぐに乾く。

このメリットに気づき、日常的に享受する人は、深い感動を覚えないわけにいかないであろう。

人生における食器洗いの時間とは。およそただの無駄のようにも思え、しかしある意味、瞑想のようにも思えなくもない。

まあ、こんな風に道具に凝りつつ、懲りず手で洗い続ける。これも一種の酔狂なのかもしれない……。

マグボトルや細いタンブラーなどの奥まで届く
藤原 千秋

主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして21年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、大1、中3、小5の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー‼』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。