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歩きながら筋トレ、健康寿命を伸ばすパナソニックの「ひざトレーナー」

筋力トレーニング機器「ひざトレーナー」

 パナソニックは、筋力トレーニング機器「ひざトレーナー」の説明会を開催した。8月21日の発売を予定しており、希望小売価格は14万8,000円(税抜)。

 ひざ周りに巻きつけて歩き、電気刺激を与えることで効率よく筋力アップできるトレーニング機器。脚力低下によりひざ周りに不安を抱える人や、転倒・転落しやすい高齢者に向けて開発された。歩行しながら使用することを想定しており、ウォーキング中などに無理なく効率的にトレーニングできる。

 同製品は、久留米大学医学部・志波直人主任教授を中心としたグループが研究を進めている「ハイブリッド・トレーニング」と、パナソニックのセンシング技術が融合されている。

 ハイブリッド・トレーニングとは、人間の動作と電気刺激を融合させたトレーニング方法のこと。JAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同研究し、長期宇宙滞在における筋量低下への対処手法として実証実験も行なわれた。結果、宇宙の微小重力における、筋肉萎縮の予防効果が期待できることも確かめられたという。

本体
ひざ周りに巻きつけて使用する
人間の動作と電気刺激を融合させた「ハイブリッド・トレーニング」を採用

膝周りの筋肉を鍛えて、年齢にとらわれず自由な生活を

筋力の低下などにより歩行困難を引き起こす可能性がある

 製品の開発背景には、平均寿命と健康寿命に差があることを挙げている。厚生労働省の発表によると、2010年時点での日本人の平均寿命は女性が86.4歳、男性が76.6歳なのに対し、健康寿命(健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間)は女性が73.6歳、男性が70.4歳だという。男女ともに平均寿命と健康寿命に約10歳も差があり、人生の1/10以上を自立した生活ができない状態になるとしている。

 また、加齢により、筋力が低下したり骨粗しょう症などを発症すると、転倒や転落の恐れも増え、車椅子生活が余儀なくされることもあるという。こうした事態を防ぐために、ひざ周りの筋肉を鍛えることで快適な自立歩行へと導き、年齢にとらわれず自由な生活が送れることに役立つとしている。

独自のセンシング技術で筋肉に効率よく刺激を掛ける

 「ひざトレーナー」は、歩行時に効率よく筋力トレーニングできる点が特徴。独自のセンシング技術で、脚の動きをモーションセンサーが正確にとらえ、筋肉が伸びているときに電気刺激が掛かる仕組みとなっている。これにより、伸びる筋肉、縮む筋肉どちらにも負荷を与えられ、通常歩行よりも効果的に鍛えられるという。

 同社の調査によると、1回約30分の使用を週3回することで、約3カ月で効果が現れるとしている。実際に使用したモニターからは、「脚の上がりが軽く感じる」「筋肉がついた」などの声があったという。

 運転コースは、ひざに不安のある人や初心者でも使いやすい「いきいき歩くコース」、ウォーキングに慣れている人向けの「歩いて筋トレコース」、無理せずに使える「座って刺激コース」、スクワット用の「スクワットコース」など、計6コースを用意する。コースの選択などは付属の操作器から行なう。

ひざトレーナーを装着して歩くと効率よく筋力アップできる
装着した状態。操作器が付属する
6コースを用意
LEDを付けたデモ機。電気刺激が掛かると光る
筋肉が伸びた状態のときに電気刺激が掛かる

スーツの下でも装着できるフィット感

 また、普段の歩行時に無理なくトレーニングできるよう、装着時のフィット感などにも配慮している。センサーは、本体左右に1つずつのみ搭載し、小さなセンサーでも歩行動作を正確に判定できるという。サポーターは、歩行動作中にずれないよう設計されている。

 1サイズでさまざまな脚の形に対応できるよう、脚に巻き付けるカバー部分には伸縮素材を採用。電極部は伸縮しない素材で、脚にしっかり密着するようになっている。

 久留米大学医学部・志波直人教授は、「実は今、スーツの下にひざトレーナーを装着しています。タックのないズボンでも目立たず着けられるので、日常生活を送りながら筋力トレーニングができます。推奨している使い方ではありませんが、仕事中にひざトレーナーの電源を入れておけば、会議中でも眠くなりません(笑)」と話した。

歩行中にずれないよう設計
センサーは左右1つずつだが、歩行動作を正確に判定する
1サイズでさまざまな脚の形に対応
サポーターには「S/M/L」表示がある
巻きつける部分は伸びる生地で、電極部は伸びない生地を採用
久留米大学医学部・志波直人教授。スーツの下にひざトレーナーを装着している

 サポーターのサイズは、約565×325mm(幅×高さ)で、対応サイズは太ももの周径41~61cm。重量は、電極ユニットが約145g、サポーターが約170g、操作器が約130g。バッテリーはリチウムイオン電池を採用。充電時間は約2時間。

地域密着型で、アフターフォローなども注力

 販売チャネルは、全国のパナソニックショップを中心に展開する。研修を受けた認定店のみが販売でき、正しい使い方や手入れ方法、アフターフォローなどもしっかり行なう。地域に密着し、困ったときにすぐに相談ができるという。

 認定店は現在約4,800店に上り、8月21日の発売日の時点で約6,000台の受注見込みがあるとしている。

 今後は、9月21日の敬老の日を皮切りに、全国の合同展示会や健康フェアに出展して認知度をアップしていくという。

西村 夢音