バルミューダ、毎分1万リットルの強力な風を送る空気清浄機「JetClean」

~国内大手製品の12倍の花粉捕集力
JetClean(ジェットクリーン) EJT-1000-WK

 バルミューダは、ダブルのファンを搭載することで、室内の空気を強力に循環する空気清浄機「JetClean(ジェットクリーン) EJT-1000-WK」を、11月上旬より発売する。希望小売価格は46,800円。同社オンラインストアでは現在予約を受け付けている。


風量強化の理由は「従来製品の風量が弱い」「マイナスイオン技術」

プレゼンテーションに登壇する、バルミューダの寺尾玄代表取締役社長

 自然な空気を送る扇風機「GreenFan」シリーズで知られる家電メーカー・バルミューダが手がけた初の空気清浄機。一般的な空気清浄機と異なり、ダブルのファンで強力な風を作り出すことで、空気を循環しながら空気をキレイにすることをメインテーマとしている。

 バルミューダの寺尾玄代表取締役社長は、JetCleanの製作に至った理由について、現在市場に出ている空気清浄機の吸引・送風能力が足りない点、マイナスイオンなどイオン技術の効果が不明な点を挙げた。

寺尾社長によると、従来の空気清浄機に採用されているシロッコファンは、送風量や吸引力が弱いなどの欠点があったという

 「世の中の空気清浄機を見回してみた時、いくつかの疑問が浮かびました。多くの空気清浄機は、何枚かのフィルターと、吸引と送風を担当する1個のシロッコファンで構成されています。

 このシロッコファンは、吸引・送風ともバランスが取れているとされていますが、吸引力ではターボファンに、送風量では軸流ファンに劣ります。また、吸引方向と送風方向もチグハグです。GreenFanを作ってきた私達から見た場合、従来の空気清浄機の風で、部屋中の空気がキレイにできるのか。

 もう1つが、マイナスイオン技術です。私達も今回興味を持って(イオン技術の研究に)取り組みましたが、開発期間の中では、確かな効果は確認できませんでした。日本の大手企業があれだけ力を入れている技術ですので、効かないことはないでしょう。でも効いたとして、浮遊している細菌を無効化したあとの残骸はどこへ行くのか。結局は、フィルターで取ることで、空気中から除去されることになる。最初からフィルターで取ればいいが、従来の空気清浄機では風が弱くてできない。だったら、それを可能とする気流を生み出せば良いじゃないか」(寺尾社長)

毎分10,000Lの風を天井に送り、360度のフィルターで循環

JetCleanの内部構造

 そこで本製品では、強力な空気を吹き出す「Wファン構造」と、循環した空気を濾過する「360°フィルター」という機構を、本体内に採用した。

 「Wファン構造」は、上下2つのファンを本体内に備えたもの。本体中央部の独自開発の「ターボファン」で、周囲の空気を強力に吸い込んでフィルターに通し、毎分6,000Lの空気を上に押し上げる。そして本体上部に設置された、同社の扇風機と同じ形状の送風ファン「グリーンファン」によって、側面からの空気も取り込みながら、天井に風を送る。これにより、最大で毎分10,000L(リットル)の空気が送風できるという。

 天井に送られた空気は、部屋の隅々まで広がり、再びターボファンの吸引に導かれて、JetCleanのフィルター部から吸い込まれる。こうして、JetCleanを中心とした空気の循環が行なわれる。

ターボファンが毎分6,000Lの空気を吸引する吸引した空気は、本体上部のグリーンファンから天井に向かって放たれる。側面から採り入れた空気も送るため、毎分10,000Lが送風されるという本体上部のファン「グリーンファン」。同社の扇風機と同じ形状をしている。これはバルミューダの特許技術という

 本体内のフィルターには、円柱形の「360°フィルター」を採用。長さ8mのHEPAフィルターを折り畳んだもので、ウイルスなど0.3μmほどの微細な粒子もキャッチするという。また360°フィルターの内部には、同じく円柱形の脱臭ユニットも設置できる。脱臭ユニットには活性炭とゼオライトによる2層構造で、生活のさまざまなニオイを取り除くという。なお、集塵フィルター単体でも使用可能で、脱臭ユニットと併用した場合よりも集塵能力はアップする。

 「高性能のフィルターを用意して、そこに部屋中の空気を通過してキレイにする、とてもシンプルですが最も効果的な方法です」(寺尾社長)

写真右が360°フィルター。普段は本体内に収納されている長さ8mのHEPAフィルターが折りたたまれている360°フィルターの中には、脱臭ユニットも収納されている。これを取り外し、360°フィルターのみの運転も可能

JetCleanが空気を吸い込む際のようす。レーザーで粒子をわかりやすくしている。JetCleanを中心に、空気が吸い込まれているのが分かる国内大手メーカーの空気清浄機。あまり上手に空気を吸い込んでいない
JetCleanが天井に向けて空気を送風していることをアピールするデモ。紙風船が浮いている。なお、運転は弱めにしているという風量を最大にしたところ。長さ3mのタスキがすべて舞い上がっている


国内メーカーの空気清浄機よりも12倍花粉を吸い込む

 JetCleanは従来の空気清浄機と比べ、花粉の除去にも効果があるという。

 同社が16畳のクリーンルームで、10gの石松子(花粉の擬似物質)の除去能力を試す実験では、大手メーカーのハイエンド空気清浄機がキャッチしたのが0.3g(全体の3%)だったのに対し、JetCleanでは、3.8g(全体の38%)だったという。この結果から同社では、他社のハイエンド空気清浄機よりも約12倍の花粉捕集力があるとしている。

 「花粉の除去率を明確なデータとしている空気清浄機メーカーはない。正直に申し上げると、空気清浄機で花粉を除去することは非常に困難。場合によってはほとんどできず、除去には掃除機が必要です。なぜかというと、花粉という粒子は浮遊物の中ではとても大きくて重い粒子です。部屋に入ってきても、すぐに落ちてしまうため、引き寄せられません。重いものが落ちようとしているときに、それを引き寄せるには、相当な気流が必要になります」(寺田社長)

バルミューダが行なった、花粉の吸込み量の調査。10gの擬似花粉を実験ルームに入れ、空気清浄機がどれだけ吸い込んだかを試す結果、JetCleanは38%を捕集した。同社では国内大手メーカーの空気清浄機よりも、12倍の花粉捕集力があるとしている

 このほか、16畳の空間で0.3μmの粒子を散布し、その除去率を測定したところ、国内大手3社の製品よりも20%高い数値が出たという(360°フィルターのみの場合)。

 なお適用畳数は、国内大手メーカーの空気清浄機の最大値と同じ36畳となっている。

16畳の空間で0.3μmの粒子を散布し、その除去率を算出した結果、国内大手メーカーよりも高い除去率が出たというJetCleanの適用畳数は36畳このほか、ホルムアルデヒド、アンモニア、ウイルスなどに対する除去能力データも出ている

設置面積はA4程度。掃除をしたら急速運転の「ジェットクリーニングモード」に

 運転モードには、最大能力で運転し、部屋中の浮遊物を素早く集めて、空気がキレイになると徐々に風量を下げて直前の運転モードに戻る「ジェットクリーニングモード」を採用。特に、ホコリが舞い上がりやすい掃除の時にお勧めのモードという。ボタンのアイコンには、飛行機のマークが採用されており、押すごとに10/20/30分と時間が選択できる。

 このほかにも3種類のモードが用意される。センサーが部屋のニオイやホコリ、明るさなどを判断して自動で運転する「オートモード」、風量を弱・中・強から選んで連続運転する「マニュアルモード」、5Wという最小消費電力で運転する「セーブエナジーモード」がある。マニュアルモードは、冷暖房の効率を上げるサーキュレーターとしても利用できる。

ジェットクリーニングモードは、10/20/30分単位で、最大能力で運転を行うモード。ホコリの舞い上がりが気になるシーンに向いているという寺尾社長は掃除の際にジェットクリーニングモードを使用することを推奨した
運転ボタンは本体上部に3つのみ用意される本体には運転モードを知らせるランプが点灯する

 本体の小型化にも取り組んでおり、設置面積は「A4程度」という250×250mm。体積については、一般的な空気清浄機の約70%になるという。

 デザインは“部屋にすんなりと置けて主張をしすぎず、それでもなお美しい”をコンセプトとし、カラーには白を採用。寺尾社長は「この世で最も美しい空気清浄機」と評している。

 なお、360°フィルター交換については、メーカーでは1年に1回を推奨している。交換用フィルターの希望小売価格は6,800円。

 「国内製の空気清浄機では、10年間フィルターを交換しなくて良いというモデルがありますが、それはどうなのかなと。このJetCleanを10年間部屋の空気を使い続けたら、どれくらいのゴミがフィルターに溜まっているのか。というか、その前に吸引力が大きく落ちて、使い物にならなくなっています。バルミューダでは、1年に1回の交換を推奨します」(寺尾社長)

設置面積はA4用紙程度360°フィルターは1年に1回交換することが推奨されている

 JetCleanの本体サイズは250×250×700mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約8kg。消費電力は4W~72W。コード長さはAC側が0.5m、DC側が1.8m。運転音はジェットクリーニングモード時で60dB、セーブエナジーモード時で15dB。加湿機能はない。

 寺尾社長はプレゼンテーションの最後に「今日の製品発表という形で、ひとつの“旅”が終わりました。こうしている今も、素晴らしい製品を作ろうとして、別の開発チームが新しい“旅路”を急いでいるところです。まだまだこれから面白い“旅”をさらに続けていきたいと思います」と話し、新製品へのさらなる意欲を示した。


本体側面部の空気吸い込み口。この奥に360°フィルターがセットされている空気の吹出口側面。グリーンファンが空気を送り出す際には、側面からも空気を取り込む本体背面の黒い部分は、フィルターをセットするための扉





(正藤 慶一)

2012年10月19日 00:00