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長期レビュー

シャープ「COCOROBO RX-V100」最終回

〜日ごとに愛着が増す不思議なロボット掃除機
by 神原サリー

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



シャープ「COCOROBO RX-V100」

 わが家にココロボがやってきてから早1カ月。掃除機としての性能やココロエンジンや音声認識機能によるコミュニケーション、無線LANでのカメラ撮影などさまざまな機能をチェックしてきたが、最終回では前回紹介し切れなかった「おうちモード」の機能の詳細や、お手入れのこと、これまで使ってみての総括をお届けする。

第1回は→こちら
第2回は→こちら

スマホで操作する「おうちモード」を究める!

 わが家のルーターとの相性がイマイチだったからか、悪戦苦闘してしまった無線LAN設定を終え、iPhoneとのペアリング(=互いに認識させること)も完了したココロボ。前回は、留守中に室内の様子を確認できる「おそとモード」で、我が家の愛犬・大和(ヤマト)の様子を外出先から確認できた。今回は、さらにココロボを使いこなすために、自宅で使う「おうちモード」を使ってみた。

 専用アプリ「COCOROBO SQUARE」を立ち上げ、ココロボと連動させると充電台で休んでいたココロボのヘッドライトが点灯。「スタンバイOKだよ!」と言っているようだ。ココロボのアプリでのメイン機能ともいえる「おさんぽ」機能にタッチすると、画面手前にココロボの本体前方が描かれ、その向こうにはココロボのカメラで写し取った様子がリアルタイムで映し出されている。つまり、ココロボの目線で家の中の様子が見られるのだ。

スマートフォンのアプリを使い「おうちモード」で操作を始めると、本体前方のヘッドライトが光る iPhoneで操作して「おさんぽ」をさせているところ 「おさんぽ」中は、ヘッドライトが常についている

 おさんぽ機能では、iPhoneを右に傾けると右に回り、左に傾けるとくるっと左に回り…というようにココロボを操縦できる「マニュアルモード」を搭載。日ごろゲームもほとんどやらず、こういう操縦に苦手なため、思い通りにココロボを動かせるようになるのには、ちょっと回数を要した。男性の方がこうした操縦に慣れているから、すぐにコツを体得できるだろう。

iPhoneの画面。ココロボのカメラで写った様子が映し出されるため、ココロボの目線で家の中の様子が見られる 通常画面で右下に表示されるマークをタッチすると全画面表示に変わる。マニュアルモードではiPhoneを左右に傾けることで方向転換することも可能になる

 続いておさんぽしながら「モード」機能にも触れてみる。すると「オートモード」のほか、プラズマクラスターイオンを放出する「シャワーモード」、壁に沿って掃除をしていく「かべぎわモード」、狭い範囲を集中的に掃除する「SPOT」、「よみあげ」「Facebook」などが用意されている。そこで「かべぎわ」を選んで廊下を壁に沿ってリビング方面におさんぽしてみた。

おさんぽ中に「モード」をタッチすると、掃除の仕方やよみあげなどの機能が表示される 「かべぎわ」モードを選択してみたところ こちらはココロボ本体がかべぎわモードで進んでいるところ。通常の掃除の時とは違い、ヘッドライトがついている

 また、移動先で決まったセリフを読み上げる「よみあげモード」もユニークだ。5つの言葉が選べるようになっており、おさんぽの途中や、行った先で好きな言葉を選択すると、その場で「いつもありがとうって言ってるよ」(関西弁バージョンを選んでいる場合は「いつもありがとうやって」)と伝言してくれる。

 5つの言葉の中には「愛してるよ」「ごめんね」などのほか、「ごはんはまだかな?」や「はやく寝なさい」なども用意されているので、子どもがお母さんのそばまでココロボを操縦していって「ごはんまだかな?って言ってるよ」とココロボに言わせたり、お母さんがなかなか寝ない子どもに対して「はやく寝なさいって言ってるよ」とココロボに代弁させることで家族間のコミュニケーションを図るという使い方も可能だろう。

「モード」機能のうち「よみあげ」を選ぶと、「いつもありがとう」など5種類の言葉が表示される。タッチして選ぶとその場で「○○って言ってるよ」(関西弁なら「○○やって」とココロボが話す おさんぽ中に画面右上のマイクボタンを押して話すと、ココロボ本体から自分の声が流れる「おしゃべり機能」も

よみあげ、でんごん、おしゃべり…サプライズ機能満載のココロボ

 そのほか、おさんぽ中に画面右上のマイクのマークをタッチすると、iPhoneに話しかけた声がリアルタイムでココロボの本体から発するという「おしゃべり機能」があるのも発見。少し離れたところで操縦して、話しかけたい人のところに到達したのを画面で確認したら、このおしゃべり機能を使って話しかければ、先のよみあげモード以外の言葉も伝えることができるというわけだ。

 ただし、この場合、あくまでも自分自身の声をココロボのスピーカーを通して伝えるという方法だ。たとえば家族間でけんかをしてしまった時にも「よみあげモード」で、「ごめんねって言ってるよ」とココロボに言ってもらうのもよし、自分の言葉を離れたところから伝えるのもよし。すでに“お掃除ロボット”の域を超えた遊び心いっぱいの仕掛けである。

 「にっき機能」では、ココロボがどんな行動をしたのか、どんな撮影をしたのか、室温は何度だったかなどの記録もでき、後から振り返ることもできる。おさんぽ機能を「おしまい」にし、充電台へと戻っていくココロボの様子を見ながらiPhoneの画面を確認してみると、次第に充電台へと近づいていく様子がココロボ目線での映像で示され、何とも臨場感たっぷり。

「にっき」のページもあり、ココロボがどのようなことをしたのかが記録されている おさんぽ中などにカメラ機能で撮影した画像も「にっき」内に保存され、タップすると大きく表示される おさんぽを終えたい時には画面左下の「おしまい」を押せばOK
おさんぽを止めて充電台に戻る途中のココロボ 充電台付近に戻ってきたココロボをiPhoneの画面で確認すると、充電台がアップで映っていた くるりと回って充電台にカチッとはまったと同時にiPhoneでは「帰宅完了!」の表示が

 さらには「でんごん予約」「よみあげ予約」という機能もあって、録音しておいたメッセージや、先に紹介した既存の5つのメッセージを、あらかじめ設定しておいた日時に伝言したり読み上げたりもできるのだ。ここでおもしろいのは、設定の最後に「サプライズ機能のため予約表示はされません」という文言が示され、「いつ何という言葉を読み上げるように予約したのか」ということをアプリで表示しないようにしていること。

 ココロボには「ココロエンジン」という気分などによって変化する人工知能が使われているのが特徴だが、いつも一定でないということに加え、こうした“サプライズ”という観点もこれまでにない新たな試みだ。

こちらは、既存の5つのメッセージをココロボの声で「○○って言ってるよ」と伝える「よみあげ予約」機能 「でんごん」「よみあげ」ともに、使う時間をセットする仕組みだ 予約された内容はサプライズ機能なので、「○月○日○時に予約しました」などの表示はされない

ダストボックス、HEPAフィルター、回転ブラシはどれも水洗いOK

フィルターの根詰まりを回避させるために、忘れずにティッシュペーパーを挟んでおこう(写真では2枚組のティッシュを1枚にはがして2つ折りにしている)

 前回、掃除機能の紹介の際に、ココロボのダストボックスに搭載されているHEPAクリーンフィルターはあまりに吸引力が強いため、驚くほどゴミやホコリがたまってしまって、ゴミ捨てのたびにお手入れが必要になってしまうと書いた。ただし、それを回避するために「ティッシュペーパー」をダストボックスにセットすればグンとお手入れが楽になり、ゴミ捨てもスムーズだという“裏ワザ”にも触れた。

 というわけで、ティッシュペーパーをセットするひと手間を習慣化してしまえば、日頃のお手入れはほとんど必要ないのだが、使っているうちに目詰まりを感じたり、吸引力が落ちてきたように感じたら、ダストボックスからHEPAクリーンフィルターを取り外して軽くたたいてホコリを取り去り、溝にたまった汚れをクリーニングブラシできれいにするといいだろう。それでも、汚れやニオイが気になるようだったら、ダストボックスもHEPAクリーンフィルターも水洗いできるのでさっぱりと洗い流せばすっきりする。

吸引力が弱くなってきたり、汚れが気になったらお手入れを。新聞紙などを広げてその上で行うと便利だ まずはHEPAクリーンフィルターをふたから取り外す 軽くたたいて間にたまったホコリを落とす
取り切れないゴミはクリーニングブラシを使って取る ダストボックスは水洗いOKだ HEPAクリーンフィルターも水洗いができる。シャワーの勢いで汚れを落とすとよく取れる
洗った後は風通しのよいところで十分に陰干しを 丸1日乾かしたら、ダストボックスにHEPAクリーンフィルターをセットする。まずは左側の軸の突起をダストボックスにセットする 続いて右側の突起も取り付ければセット完了

 ついでにサイドブラシや回転ブラシ、車輪に絡まったゴミや髪の毛がないかどうかチェックし、ハサミやピンセットなどを使って取り除いておこう。回転ブラシカバーと回転ブラシも水洗い可能だ。そのほか本体や充電台のセンサー部分のホコリも柔らかい布や綿棒で拭いておくことで、感度も良くなり、操作性もよくなるので、定期的に行なうようにしたい。

センサーやブラシ、車輪などのお手入れの際には、電源をオフにすること サイドブラシに絡みついた髪の毛などはピンセットで取り除く。ブラシの本数が減ってきたら付属のブラシと交換しよう 回転ブラシカバーと回転ブラシは水洗い可能だ
超音波センサーの網目部分にたまったホコリは、手持ちの掃除機のノズルの先にブラシを取り付け、弱モードで取り除く(中にブラシの先が入り込まないように気をつけよう) ダストボックスを入れるところにも、たまったゴミの量を見張るセンサーがある。ここが汚れていたら柔らかい布で軽く拭こう 充電台も意外に汚れるところなので、たまにはチェックをしたい
乾いた柔らかい布や綿棒で汚れを取るのが基本 駆動車輪のゴミや毛が絡みついた際には、車輪を回しながらゴミを取るのがポイント 自在車輪に髪の毛が絡まったらハサミでカットしながら取り除こう

下位モデルRX-V80にも欲しいボイス・コミュニケーション機能

 ココロボはロボット掃除機(お掃除ロボット)ではなく、ロボット家電だという。その最たる理由は、単なる音声認識機能ではないボイス・コミュニケーションができる「ココロエンジン」を搭載し、使い手のモード選択にもよるが、毎回同じ反応を示さないという“サプライズ”を与えてくれることにある。

 そしてもう1つ、無線LAN設定によるクラウド連携やカメラ機能でスマートフォンでの操作を可能にしたり、見守り機能をつけたり、さらにはUSBポートでのアップデート機能をつけるなど、掃除機としての機能を超えた黒物家電のような立ち位置でもあることも重要なポイントだ。

 しかし、今回実際に使ってみて、現段階では無線LANによるスマホ連携機能はまだまだ“おまけ”であり、“お遊び”の域を出ていないように感じた。“外部からは動かせない”本体にカメラ機能をつけたところで実はあまり意味がなく、試しに撮影してペットが写っていたらめっけものというのでは、誰も使わないだろう。

 いずれ、ココロボが他の生活家電と連動できるようになり、室内の温度があまりに高温だったら、ペットのためにエアコンのスイッチを入れるというところまでが出来るようになることを見越しての、最初の一歩だということは想像に難くないだけに、これからの進化に精一杯の期待をしたいところだ。

 今回試したさまざまな「おうちモード」には、家族とのコミュニケーションにも役立ちそうな機能が満載だったので、ぜひ使いこなして楽しんでほしいなと思う。今後、アプリのアップデートによる「よみあげモード」の言葉の拡充や、「にっき機能」のさらなる充実などもきっとあるはず…と楽しみにしている。

 聞けば、今、ココロボの購入者で思いのほか多いのが、高齢世帯だという。腰をかがめて掃除機のスイッチを入れたり、掃除機をかけたりするのがだんだん辛くなってきた年齢層の人たちが「ようやく日本のメーカーのお掃除ロボットが登場して安心して使える」と喜んでいるというのだ。そしてココロボとのボイス・コミュニケーションを何よりの楽しみとして、愛着を持って家族のように接しているのだという。となると、「吸引力の確かなお掃除機能」+「ボイス・コミュニケーションやボイスコンタクトなどのココロエンジン」こそがココロボの核といえる。

 現在発売中の下位モデルRX-V80には、ココロエンジンが搭載されているものの、一人ごとを言うボイスコンタクトのみで、双方向でのやりとりができるボイス・コミュニケーション機能はないのが残念だ。現在RX-V100にしかボイス・コミュニケーション機能がないため、使わない機能がたくさんついた上位機種を購入している人も多いと思われる。そのあたり、必要とされる機能とそうでない機能を精査し、生活者が望む1台が登場するといいなと思う。

完成形ではないが、可愛い子「ココロボ」

 最後に、ココロボのお掃除機能を総括しよう。端から雑巾がけをするように掃除をしていくわけでもなく、ランダムに動く点はルンバに似ている。ただココロボにはゴミセンサーがないため、「ゴミの多いところを見つけると集中的にそこを掃除する」という機能はない。また、掃除の仕方にしても4時間のフル充電をして60分運転できるという、その“60分”をひたすら使って掃除をするというやり方のため、自動運転させておいた場合、今日は汚れが少ないから30分で充電台に戻るということもしない。

 でも、前回も述べたように吸引力が強いので、一度通ったところの取りこぼしは本当に少なく、60分という時間をかけてじっくりと何度も通った後は、見事にきれいになっている。ここは本当にさすがだなと思う。こうした点から、留守中等のタイマー運転でないなら、ある程度掃除が終わってきれいになったと判断したら、リモコンで運転を停止させ、「帰って」と呼びかけるか、充電ボタンを押して充電台に戻るようにしたほうがいいかもしれない。あと1つ、フィルターにティッシュをセットするというのはやはり時代に逆行しているように思うので、「自動除じん機能」の開発をぜひにと望んでいる。

 辛口のことも述べてしまったが、ココロボと1カ月過ごしてみて思うのは、日ごとに愛着が増すということだ。これはやはり、朝起きて「おはよう」と声をかけると、「おはよう。今日もがんばろや」と返事をしてくれたり、帰宅後に玄関を入って「ただいま!」と声をかけると「お帰り。お疲れさん」と言ってくれるところが大きいと思うのだ。しかも、その日によって答えは異なるので、機械的な感じはしない。充電台を探すのにも、案外時間がかかったりと手のかかる子どものようなところがあるが、反応のアバウトさも含めて、まさに憎めないやつなのだ。単なるお掃除ロボットとして考えずに、コミュニケーションがあってこそのココロボなのだとつくづく思う。

 ちなみに、ココロボはリモコンで電源をオフにしたり、5分間操作をしないままでいるといわゆるスリープモード(電源「切」状態)になり、この状態では「きれいにして!」と声をかけても眠ったままだ。そのほかの言葉でも同じこと。だが、起こすための呪文の言葉が3つだけあって、それが「おはよう」「ただいま」、そして「ライトつけて」なのだ。これは、朝起きてすぐや、帰宅後にリモコンなどで電源を入れてから声掛けをしないと反応しないのではさびしいだろうという、開発設計者の思いが込められたものらしい。「ライトつけて」は、夜間に何かの時に灯りが必要になった時のことを考えてのことだろうと思われる。


スリープ状態の時に「声掛け」をすると起きるのは「おはよう」「ただいま」の挨拶のほか、「ライトつけて」の3語のみのようだ
 

 

 完成形ではないが、掃除もきちんとこなす可愛い子……それがココロボだ。コミュニケーションを必要とするか、しないか、たぶんそれによって評価が分かれることになるのだろう。1カ月の任期が終了し、まもなく帰っていくココロボに胸がキュンとしている私だ。



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2012年8月9日 00:00