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家電製品レビュー

ルンバとスマーボ本当に使えるのはどっち?

〜自宅で徹底比較してみました
by 阿部 夏子
左からルンバ780、スマーボ VC-RB100

 家電業界でこの夏大きな話題となった製品の1つに、東芝が発表したロボット掃除機「スマーボ VC-RB100」がある。高速処理技術を搭載したハイテク製品で、センサーとカメラで室内を検知、自動で掃除してくれるという製品だ。

 ロボット掃除機自体が近年、注目を集めているところに、国内大手メーカーが正式に新製品を投入してきたということで、業界内外で話題を集めた。掃除ロボットといえば、これまで米国のアイロボットが開発した「ルンバ」がよく知られており、これまで国内の市場をほぼ独占してきた。そこに、国内メーカーが真っ向勝負を仕掛けたということも話題を集めた理由の1つだ。そのような背景があるため、この2製品は、発売当初から「どちらがいいのか」「どっちのほうがすごいのか」など、比較されることが多かった。

 今回は、10月に発売されたばかりの新型の「ルンバ780」とスマーボを自宅で実際に使ってみて、その違いをご紹介していこうと思う。なお、今回比較するスマーボとルンバについてのより詳細なレビューは既に掲載している。それぞれの製品について、より理解を深めたい方はまずそちらをご確認いただきたい。

ルンバ780のレビューは→こちら

スマーボのレビューは→こちら


メーカー 東芝 アイロボット
製品名 スマーボ VC-RB100 ルンバ780
希望小売価格 オープンプライス オープンプライス
実売価格 85,600円 79,800円


そもそもロボット掃除機って何?

 実際の比較に入る前に「ロボット掃除機」という製品について簡単に説明していこう。ロボット掃除機は、数十のセンサーを使って室内を検知、自動で掃除を行なうというものだ。一般的な掃除機のように人が直接作業をする必要がないため、家事時間を短縮したり、留守中に掃除をするなど、これまでにない使い方ができる。

 日本ではそれほど製品の数は多くないが、サムスンやLGなど大手海外メーカーが積極的に開発に取り組んでいる注目の製品分野でもある。

 従来の掃除機と一番違うのはその形だろう。今回紹介する両製品はいずれも円盤のような形をしており、本体に搭載しているセンサーで得る情報を基に自在に室内を動き回る。今回のレビューでは、2つの製品の形、掃除時間、運転音、掃除能力、お手入れ性について検証してみた。

形はそっくり!

 まずは本体の形から見ていこう。形が似ているなとは思っていたが、実際に並べてみると、本体の直径や厚み、構造まで本当によく似ている。


製品名 スマーボ ルンバ780
本体サイズ 355×355×93mm(幅×奥行き×高さ) 直径35cm(公表値)
重量 3.7kg 3.8kg

 赤外線を使って本体の動きをコントロールする付属品や充電台が付いてくる点も同じ、基本的には充電台で、充電しながら収納し、掃除後は自分で充電台に戻ってくるという構造も一緒だ。

スマーボ本体と付属品。フリーリングマットが付属する ルンバ本体と付属品 横から見たところ。高さもほとんど同じ
スマーボを充電台にセットしたところ ルンバを充電台にセットしたところ
赤外線で本体の動きを制御する付属品。左の2つがスマーボのもの、右の2つがルンバのもの 左がスマーボの充電台、右がルンバの充電台 本体上部がタッチパネル式になっている点も2機種に共通した

 操作方法も同じだ。本体の操作は、本体上部の操作パネルか、付属のリモコンで行い、いずれの製品も、本体上部の操作はタッチパネル式となっている。

 ただ、本体を裏返すと、ブラシの形状が少し違っているのがわかる。ルンバのブラシはラバーブラシと、毛ブラシが別々に設けられているのに対して、スマーボの製品はラバーブラシと毛ブラシが一体になっている。また、本体からはみ出ている壁際を掃除するための「エッジブラシ」の数もスマーボが2つ付いているのに対して、ルンバは1つだけだ。

本体を裏返したところ。左からルンバ、スマーボ ルンバのブラシは2つ搭載されている スマーボのブラシ部分
付属のリモコン。左からルンバ、スマーボ。スマーボの方が圧倒的にボタンが多い

 もう1つ、大きな違いは運転モードの数。付属のリモコンや操作パネルをみると、その差は一目了然だ。ルンバでは運転モードは自動、スポットモード(半径約60cm範囲を中心に掃除するモード)、手動モード(リモコンでルンバの動きをコントロールしながら掃除するモード)の3つなのに対して、スマーボでは6つ。自動、手動モードのほかに、念入りモードやターボモード、壁際モードなど、状況に合わせてモードが用意されている。

 スマーボのモードの多さを見て、いかにも日本向けの製品だなと感じた。例えば一般的な掃除機でも、英国ダイソンの製品は、オン/オフスイッチ1つしかないのに対して、国内メーカーの掃除機には、センサーが搭載されていて、ヘッドをあげると運転が止まるなど「節電モード」など様々なモードが用意されている。これは、海外の家電製品と日本の家電製品の大きな違いだろう。

掃除時間はルンバが約5倍

 それでは実際に使ってみよう。まずは、掃除にかかる時間を比べてみた。今回は自宅のリビングで運転を開始し、掃除終了までにかかる時間を計測した。リビングの広さは12畳だが、隣の寝室や廊下へのドアは明け放ったままにして電源を入れた。結果は下の表のとおり、ルンバの掃除時間は、スマーボ(念入りモード)の2倍以上になった。


製品名 スマーボ ルンバ780
自動モード 約15分 約72分
念入りモード 約34分 -


今回掃除したリビング キッチンと廊下がつながっている

 ちょっと不満に感じたのは、スマーボの自動モード。わずか13分で掃除を終えるその速さは評価できるものの、壁際やテーブルの下などゴミがかなり残っている。また、リビングと繋がっている廊下やキッチンにはまったく向かおうとしなかった。たとえていうなら「四角い部屋を丸く掃除している感じ」。壁際モードや念入りモードなど、専用モードを用意しているのはわかるが、室内でほこりがたまりやすいのは壁際や部屋の隅というのはわかりきっている事実なのだから、自動モードも、もう少し充実させるべきだろう。

 念入りモードを選択して、改めて掃除を再開すると、今度はリビングだけでなく、廊下やキッチンまで掃除に向かった。

マットなどは問題なく掃除出来た 部屋と部屋の間の少々の段差は乗り越えられる 念入りモードにしたら廊下の方も掃除し始めた

 一方、ルンバはというと、自動モードでかかった時間は約72分。スマーボの自動モードに比べると5倍近くも時間がかかったことになる。

 両機種の一番の差は、掃除する時のスピードにある。意外かもしれないが、スマーボは遅くて、ルンバは早いのだ。スマーボは、一か所をじっくり掃除するのに対して、ルンバはどんどん先に進む。これは、掃除を終了するまでのプロセスの違いが大きい。基本的にスマーボは一回掃除した場所に戻ることはないが、ルンバは一か所を3回掃除する。ルンバの場合、廊下を掃除し終えて、リビングに戻ったと思ったら、再び廊下に戻っている。スマーボが効率重視なのに対して、ルンバは回数重視という感じだ。

ルンバはとにかく、1か所をしつこく掃除するという印象。椅子の脚周りだけでも10分くらいかけて掃除していた ソファーの下にもすいすい入っていくのはロボット掃除機ならでは

ゴミがとれるのはどっち?

テーブルや椅子を片付けた状態のリビングにコーヒー粉を約400g撒いて、どれくらい掃除できるかを実験した

 掃除にかかる時間を見たところで、次は実際にゴミがどれくらいとれるのかを見ていこう。今回は。テーブルや椅子を片付けた状態のリビングに、コーヒーの粉をそれぞれ400g撒いて、本体の動きやゴミがどれくらいとれるかを実験した。

 まずは、スマーボから。スマーボは両サイドにあるエッジブラシで周りのゴミをかき出すようにして、ゴミを集めていくようだ。スマーボが通った後はコーヒーの粉が独特の模様を描きだしている。

 スマーボとルンバでは運転時間が大幅に違うので、今回スマーボは念入りモードと、自動+壁際モードの2回運転を行なった。2回の合計の運転時間は約35分。部屋の中央部分に、大きなコーヒー粉の塊を残してのフィニッシュとなった。

 特に気になったのは、壁と家具の間の角部分。今回意図的にコーヒーの粉を大目に播いた箇所だ。壁際モードを選択したので、壁際は念入りに掃除を行なっていたようだが、家具と壁の隅の部分までは掃除することができなかった。

 評価できたのは、カーペット部分の掃除。中まで入り込んでいた細かいコーヒーの粉をしっかり取り除いていた。

スマーボは両サイドのエッジブラシを使ってゴミをかき集める方式のようだ スマーボが通った後はコーヒー粉が不思議な形になっていた
壁と家具の角の部分にコーヒーを集中させた 掃除終了後。一応は立ち寄ったものの、角の隅まで掃除することはできなかった 部屋の中央部分にもコーヒーの塊が残っていた

 次に、ルンバの結果を見てこう。掃除時間は自動モードで約50分。1回しか運転していないのに、スマーボよりもずっと長い時間運転していた。とにかく、まんべんなく、同じ箇所を何度も掃除するスタイルのルンバは、今回のような実験向きの製品だったようだ。スマーボのように大きな塊を残すこともなく、問題の角部分も大方のコーヒー粉を取り除いた。

 掃除スタイルは、スマーボとは全く違う。ルンバでは、本体が通ったあとがくっきりと線になって残る。エッジブラシでかき集めてというよりは本体下のブラシで吸い取るスタイルのようだ。とにかく、どんどん進んで、何度も往復するので、ゴミの取り残しも少なかった。

 気になったのは、ラグの境目などにコーヒー粉が詰まってしまっていたこと。ゴミを本体先端で押してしまっているのかもしれない。これは、スマーボにはなかった傾向だ。

ルンバが通った後はコーヒーの粉がきれいになくなっていた 問題の角部分もほとんどきれいになっていた ラグの境目部分にコーヒーの粉が溜まってしまっていた
掃除終了後のダストボックスの中。左がスマーボ、右がルンバ

 今回の実験では、ルンバのほうがゴミがとれていた。運転時間も長く、部屋を何度も往復するスタイルの製品なので、当然の結果といえるだろう。

運転音はスマーボが圧勝

 運転音に関しては、スマーボのほうが圧倒的に小さい。運転音は約52dBで、スマーボを動かしながらテレビを見ていてもそれほど気にならないし、電話で話していても、相手の人にスマーボの運転音が聞こえるということはほとんどないだろう。

 一方のルンバの運転音は、テレビを見たり、電話をしながら使うのは厳しい。しかも、その運転音が40分以上も続くのだ。以前ルンバをレビューした時にも感じたことだが、ルンバはやはり、自宅にいない時に使うのが正解だ。

お手入れ面は両機とも今後に期待

ダストボックスを取り外したところ。左からルンバ、スマーボ

 最後に気になるお手入れについて見ていこう。日常的なお手入れとしては、毎掃除後のゴミ捨て。さらに一定期間使用したあとは、ブラシやセンサー部分も手入れする必要がある。ダストボックスの構造などは両機とも、ほとんど同じで、ダストボックスを横から引き出して、ゴミを捨てる点も一緒だ。

 ただし、スマーボにはもう1つ仕掛けが施されている。ダストボックス上にゴミ吸込み口が設けられていて、ほかの掃除機を使って中のゴミを吸い取れるというものだ。

 これまで、ロボット掃除機のゴミ捨てがかなりアナログである点に不満を抱いていたので、個人的にかなり期待していた機能だ。

【訂正】初出時、ダストボックスからゴミを吸い取る際にハンディクリーナーを使用し、「中のゴミが取れなかった」と記載いたしましたが、メーカーではハンディクリーナーではなく一般的な掃除機の使用を推奨しております。お詫びして訂正いたします。

スマーボは、ほかの掃除機を使って中のゴミを吸い取る構造を採用 ダストボックスの中にゴミが溜まっている様子

 ルンバもスマーボも、ゴミ捨ての手順自体はごく簡単なのだが、ホコリは舞い上がるし、ゴミ捨てをした後は必ず手を洗わなければいけない。というのも、ルンバ、スマーボ共に本体はかなりほこりだらけになっているからだ。ベッドやソファーの下まで入り込んで掃除するので、当然といえば当然ではあるが、一般的な掃除機とは比較にならないくらい、本体自体にホコリが付着している。

 ゴミ捨てに関しては今後の進歩に期待したいところだ。

スマーボのダストボックス ブラシを外したところ
ルンバのダストボックス内にセットされているフィルター フィルターは2つセットされている

ロボット掃除機 ここに注意

ロボット掃除機を使うための“片づけ”がマストになる

 さて、まとめに入る前にロボット掃除機を使う上での注意を2つお知らせしたい。

 1つはロボット掃除機を使う場合は、まず室内をある程度片づける必要があるということ。床の上に散らばっているコードや、チラシや書類の類、普段使っているバッグなども全て床の上から移動させなければいけない。そのままにしておくと、エラー運転の原因になったり、場合によってはコードが絡まってしまったりもする。床の上に物が散らばっているという人にはロボット掃除機は向かないのだ。

 もう1つ、あまり知られていないことだが、ロボット掃除機は定期的な部品の買い替えが必要な製品だ。ブラシなどの消耗品はもちろんだが、一番大きいのはバッテリーを定期的に交換しなければならない。ルンバのバッテリー寿命は約1年半で交換用バッテリーの価格10,500円、スマーボのバッテリー寿命は約1年で価格は6,825円する。購入の際はこれら、ランニングコストのことも頭に入れておいて欲しい。

在宅時ならスマーボ、留守時に使うならルンバ

 スマーボとルンバを使い比べてみての印象は「似て異なるもの」。運転をコントロールするスマーボと、時間をかけて何度も往復するスマーボでは性格が全く異なる。

 そのため、一概にどちらが良い、悪いとはいえないのだが、使ってみた結果としては在宅時ならスマーボ、留守時に使うならルンバというところだろうか。たとえば、子供がいたり、両親や祖父母など常に自宅に誰かいる場合、掃除時間が長く、運転音もそれなりにするルンバは向かない。

 実は、ルンバを買っても、使いこなせていないという人は多い。運転音が気になるとか、やっぱり掃除は自分でコントロールしたいという人だ。ルンバならではの自動掃除機能がうまく当てはまらないというのだ。そういう人には、モードが選べて、運転音が小さいスマーボがお勧めだ。

 たとえば食器を洗っている間に掃除して欲しい、自分がお茶を飲んでいる間に廊下の掃除をしてほしい、という人にはスマーボが良いだろう。

 共働きで、平日は夫婦ともほとんど家にいない我が家の場合でいうと、ルンバに軍配が上がる。家に人がいないので、長い掃除時間も、運転音も全くマイナスにならない。それよりはむしろ、掃除能力を評価したい。

家に在宅している人がいる場合は、運転音が小さく、掃除時間が短いスマーボがおすすめ 自宅にいる時間が短い私の場合、ガシガシ掃除してくれルンバの方が合っていた

 今回コーヒーの粉の実験をしてみて改めて思ったのは、「やっぱりロボット掃除機1台では無理だな」ということ。ルンバが時間をかけて掃除してくれた後でも、やっぱり多少の吸い残しは残っていたし、カーペットの隅にはコーヒーの粉がたまってしまっていた。ロボット自体の研究は当然進化しているのだろうし、やっぱり5万円以上の掃除機を買って、でももう1台ほかの掃除機も必要ですよ、といわれると購入意欲も下がってしまうだろう。これは今後に期待したいところだ。

 日本国内においては、ほぼアイロボットの独占だったロボット掃除機も、東芝のような国内大手メーカーが参入したことで、今後、市場が活性化し、さらなる新機能を持った製品が登場するだろう。私のような共働き夫婦にとっては歓迎すべき傾向だ。今後どんな新製品が出てくるのか、引き続き注目していきたい。

【お詫びと訂正】いくつかの写真のキャプションで、左右を取り違えていたので修正させていただきました。お詫びいたします。






2011年11月9日 00:00