シャープ、会話ができるロボット掃除機「COCOROBO」

人に寄り添い、安心できる「ロボット家電」

 シャープは、コミュニケーション機能を搭載したロボット掃除機「COCOROBO(ココロボ) RX-V100」を6月上旬より発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は13万円前後。

 センサーで室内を検知し、自動で掃除するロボット掃除機。単身世帯や共働き世帯の増加などを背景として、近年市場拡大傾向にある製品で、シャープから発売するのは今回が初めてとなる。

「COCOROBO(ココロボ) RX-V100」製品本体本体裏側
健康・環境システム事業本部 ランドリーシステム事業部長 阪本実雄氏

 製品開発にあたっては、徹底的なユーザー調査を実施した。一生懸命働いている姿がかわいいと感じるなど、愛玩家事道具として捉えている人が多い一方、吸引力の弱さやバッテリー交換の手間などの弱点もあがった。ココロボでは、日本の住環境にあった吸塵力を備えながら、ユーザーとのコミュニケーションができる製品を目指したという。

 シャープの健康・環境システム事業本部 ランドリーシステム事業部長の阪本実雄氏はココロボの開発に当たって「これまでの製品のように、ただ家事の低減・代行をするだけでなく、人に寄り添い、安心感のある暮らしを提供する製品を目指した。家電の中に心を持たせるという意味を込めて『こころを持ったロボット家電』ココロボというネーミングとした」と語った。

ロボット掃除機の市場は年々拡大傾向にあるシャープが行なった調査によると、ロボット掃除機にかわいらしさを感じている人が多かったが、掃除能力には不満も出た

そのときの状況で「気分」が変わる

 コミュニケーション機能では、独自開発した人工知能「ココロエンジン」と、音声認識機能を搭載する。

 本体に呼びかけることで、操作できるほか、ココロボ本体がユーザーに返事をする機能も備える。ココロボの応答は、本体の気分によって異なる。これは、ユーザーの使用状況や部屋の温度、充電量などに応じて3段階で変わるもので、気分に応じて、音声での返答やライト点滅、ダンシングなどのアクションを行なう。ココロボの気分が変化することで、ユーザーが愛着を感じたり、毎日の変化を楽しみに感じたりするとしている。

ココロボに呼びかけることで、操作できる操作だけでなく「調子はどう?」などという言葉にも反応するので、会話を楽しむことができる本体側面にはスピーカーも備えられている

 音声認識は、日本の標準語、関西弁、英語、中国語の4カ国で、認識言語数は各30語ほど。ココロボ本体には約50種類の台詞が登録されている。


ココロボはそのときによって気分が変わる。気分の変化によって応答の仕方も変わる対応言語は標準語、関西弁、英語、中国語の4種類

スマートフォン連携機能も充実

 スマートフォンとの連携機能も充実している。本体には無線LANとカメラを搭載し、室内の様子を外出先から確認できる機能、スマートフォンで室内の様子を確認しながら操作できる機能などを備える。本体カメラは130万画素で、左右55度、上下50度まで調節可能。

スマートフォンとの連携機能も充実している本体前方に備えられたカメラココロボのカメラ映像を確認しながら、本体操作できる機能

 また、指定した時刻にココロボがメッセージを読み上げる「よみあげ&でんごん」機能も搭載する。これは、あらかじめ設定されたメッセージあるいは自分で録音したメッセージをココロボが再生するというもので、メッセージを再生する時刻と場所を操作できるというもの。本体にはあらかじめ「おつかれさま」「愛してる」「ごめんね」などのメッセージが登録されており、「夫婦ケンカの和解のきっかけとしても使えるし、家族間のコミュニケーション不足を補える」(阪本氏)としている。


愛しているなどのメッセージを伝える機能室内の様子を静止画4枚で確認できる機能

 対応スマートフォンはAndroid OS 2.3/4.0以降、iOS 5以降のiPhone4、iPhone4S、iPad2、iPad(第3世代)、iPod touch(第4世代)。専用のアプリケーションは、指定ホームページでダウンロードする。

超音波で窓ガラスもしっかり検知

高速回転ターボファン搭載の「強力吸塵システム」を採用

 掃除機能では、障害物検知のために超音波を採用した。一般的なロボット掃除機では、障害物検知に赤外線を採用しているが、赤外線は光を検知して物を捕らえるため、透明な窓ガラスや黒い物体などを検知するのが難しかった。一方、ココロボでは、イルカの障害物認識メカニズムである超音波を採用することで、これらの物体にぶつかることがないという。このほか、段差を感知する「落下防止センサー」を本体裏面3カ所に搭載する。

 吸塵システムは、大風量の高速回転ターボファン搭載の「強力吸塵システム」を採用。本体前面のサイドブラシと、回転ブラシにより、フローリングの目地に詰まった細かいゴミまで取り除くという。ダストボックスは、水洗い可能で本体上部から取り出す仕組み。

 排気対策としては、0.3μm以上のホコリを99.9%捕集するHEPAクリーンフィルターを搭載するほか、高濃度プラズマクラスター7000ユニットを搭載。HEPAフィルターを通過したきれいな空気とともに、除菌・脱臭効果のあるプラズマクラスターイオンを放出することで、掃除しながら、室内の空気をきれいにするという。

ダストボックスを取り出す時は本体上部のパネルを押すダストボックスを取り出すところダストボックスは水洗いにも対応する
ダストボックス内部のフィルター部シャープ独自のプラズマクラスター放出機能も搭載するカットモデル

寿命3年の長寿命バッテリーを採用

 バッテリーには、充電回数約1,200回のリン酸鉄系リチウムイオン電池を採用。充電時間は約4時間で、約60分の連続運転が可能。従来のロボット掃除機に多く採用されていたニッケル水素電池に比べて充電回数が多く、寿命も約3年(1日1回自動モードで使用した場合)と長いため、交換の手間がすくなく、ランニングコストも抑えられる。掃除範囲は最大20畳程度。14~16畳を約25分ほどで1回掃除し、そのあとはバッテリーが少なくなるまで、何度も掃除する(自動掃除モード選択の場合)。

 運転モードは、自動で掃除する「自動掃除モード」、直径1m範囲を集中的に掃除する「スポット(1m)モード」、直径2m、3m、4mの範囲で掃除エリアを指定できる「スポット(2~4m)モード」、壁際を集中的に掃除する「壁際掃除モード」、曜日ごとに1日1回のタイマー運転を設定できる「タイマー運転モード」、停止状態でプラズマクラスターイオンを放出する「プラズマクラスターシャワーモード」の全6モードを備える。

 掃除終了後や電池残量が少なくなると自動で充電台に戻る「自動帰還」機能も搭載する。

操作パネル付属のリモコン充電している様子

 本体サイズは346×96mm(直径×高さ)で、重量は3.3kg。本体カラーはパールホワイト。

 下位機種として無線LAN、カメラ、ボイスコミュニケーション機能などを省略した「RX-V80」も同時発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は9万円前後。本体カラーはシルバー。

RX-V80本体サイズはRX-V100と同等だが、スマートフォン連携機能などが省略される

日本メーカーが本気で作った「ロボット家電」

 阪本氏は、ココロボについて「日本の環境を知り尽くしたシャープだからこそ、海外メーカーではカバーできない使い勝手や、吸塵力を実現している」と自信を見せた。また、今回の製品はスタートに過ぎないということも強調。ココロボには、USBポートを搭載するが、これは今後のバージョンアップに備えたものだという。

 詳細は未定としながらも、ココロボの音声を変更するなどソフト面のバージョンアップや、テレビやエアコンなどのリモコンとしても使用できるハード面のバージョンアップの可能性を示唆した。

 また、会場からは13万円という値段について、高額過ぎるのではないかという質問も出た。これについて阪本氏はメインターゲットはペットを飼っている人と話した。「私も含めてそうですが、ペットを可愛がっている人は多い。外出先から自宅の様子を確認できたり、室内でのカメラ機能はペットを飼っている人にとっては嬉しい機能。また、最近では10万円以上するペットを飼っている人も少なくない。ペットを大切に思う人ならこれくらいの価格はそれほど高くないだろう」と語った。

 また、5年前に発売した米アイロボットのルンバも当初は高額であったことも指摘。「シャープとしてロボット掃除機を出すのは今回が初めてなので、まずはこの価格で様子を見る」とした。






(阿部 夏子)

2012年5月8日 15:15