長期レビュー

ダイキン工業「うるおい光クリエール MCK75L」 その2

~空気清浄機を止めたらカゼを引いてしまった!
by 正藤 慶一

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



ダイキン「うるおい光クリエール MCK75L」

 ダイキンの空気清浄機「うるおい光クリエール」についてお届けしているこの連載。第2回目では、導入のポイントとなった空気清浄機能にスポットを絞って紹介しよう。「空気清浄機はどこでも一緒」と思っている人も中にはいるだろうが、これをご覧いただければ、ダイキンの空気清浄機は非常に個性的である点がわかっていただけるだろう。

 また、「空気清浄機って本当に効いてるの?」と疑問のお持ちの方のために、2週間ほど運転をストップして、その変化を体験してみた。結果だけを言うと、あるとないとでは全然違う! オーバーな表現だが、もうこれなしでは生きていけない、といった感じだ。

[第1回目はこちら]

やたらと多い本体内の空気清浄機能

 さて、ダイキンの空気清浄機の仕組みを紹介するまえに、そもそも空気清浄機がなぜ空気をキレイにするか、という根本的な話をしよう。

 空気清浄機とは、空気を本体内に吸い込んで、その中に搭載されているフィルターで空気を漉し取ることで、花粉やダニといった微細な汚れを取り去る構造になっている。掃除機で例えるならば、ゴミを集める紙パックやサイクロン構造が、空気清浄機ではフィルターに当たるわけだ。

 これは、どのメーカーの空気清浄機も同じ。だいたいが、ペットの毛など大きめのゴミを取る「プレフィルター」と、プレフィルターでは取れない花粉やダニを取る「集塵フィルター」、そして、ニオイを取り去る「脱臭フィルター」、という3つの構造になっている。

 では、ダイキンと他のメーカーがどれほど違うかというと、この内部構造の機構がやたらと多い点にある。各社の空気清浄機における本体内部の装置を比較してても、やはりダイキンの空気清浄機の機能は多い。特に、先に挙げたプレフィルター、空気清浄用フィルター、脱臭フィルターに加え、「プラズマイオン化部」「光速ストリーマ」という、他社にはない機能を搭載している点が特徴だ。

 それでは、他社にはないこの2つの機能について、以下に紹介しよう。

MCK75Lの内部構造。細かく分けると、本体内部に6つの機構を採用している
MCK75Lの内部構造。最初にあるのは、加湿用の水タンク。これについては、次回解説するタンクを取ると、大きなゴミを取るプレフィルターが待ちかまえる。写真は使い始めて3~4週間ほどだが、さっそくホコリが付いている。掃除機で簡単に取れるその次にあるのが、この後説明するプラズマイオン化部。簡単にいえば、細かいホコリをフィルターでキャッチしやすくするための装置だ
その裏側には、空清用の「集塵プリーツフィルター」がある。まだ使い始めなので、そこまで汚れていないそのうしろには脱臭フィルターがある予備用のフィルターの横にあるのが「光速ストリーマ」。除菌・脱臭効果のある高速電子を発生する

【空気清浄機本体内の機能一覧】
メーカー品番プレフィルター集塵フィルター脱臭フィルターその他
パナソニックF-VXF70--
シャープKC-Z80-
日立EP-EV65-
東芝CAF-KM22X--
三洋ABC-VWK71C--
ダイキンMCK75Lプラズマイオン化部
光速ストリーマ


小さなホコリも電気の力でキャッチ「プラズマイオン化部」

プラズマイオン化部には、細い「イオン化線」が通っており、ここに電流が流れて小さなホコリを帯電させ、次のフィルターでキャッチしやすい仕組みだ

 まずは、「プラズマイオン化部」という機構にスポットを当てよう。“プラズマ”に“イオン”という、どちらもインチキ臭そうな名前をしているため、最初は「こんな怪しそうなもん役に立つわけないだろう」と疑っていたのだが、使っているうちに、どうやらそのようなことではないようだ。

 プラズマイオン化部の仕事を一言で説明すると、ホコリや花粉といった小さなものを取りやすくするためにある。プラズマイオン化部には電気が通る細い線が用意されており、ホコリや花粉にプラスの電気を帯電させる。これだけならホコリや花粉は取れないが、次に待ちかまえる静電集塵フィルターはマイナスに帯電されているため、プラスとマイナスでそれぞれ引き合う仕組みになっているわけだ。


「対向極板」という金属部分には、たくさんのホコリが付いている。掃除は面倒だが、それだけホコリを取ってくれているということだ

 その証拠に、しばらく使った後のプラズマイオン化部を開けると、「対向極板」という金属部分に、たくさんのホコリが付いている。ちょっと昔に、電気の力でパネルにホコリを付けて空気清浄をするという製品が、深夜番組の通販で流行ったことがあるが、それと同じことが、このMCK75Lの中でも起こっていることになる。ただしMCK75Lでは、あくまで小さなホコリや花粉をフィルターで取りやすくするために、プラズマイオン化部という装置を使っている点が特徴だ。

 この対向極板についたホコリは、後々掃除しなければならないので手間ではあるが、それだけ細かいホコリが取れているという証拠でもある。きちんと仕事をしてくれているのだ。

 しかし、なんでダイキンは、他社のように非常に目の細かいHEPAフィルターを使わず、このプラズマイオン化部という装置を使っているのだろうか。これについて以前ダイキンに問い合わせたところ、HEPAフィルターは確かに高性能のフィルターであるが、それゆえ、目詰まりが起こりやすく、風量や空気清浄能力に劣化が起こりやすいというのだ。そのため、このプラズマイオン化部を搭載することで、HEPAフィルターを使わなくても、細かいホコリもキャッチできる機構にしているようだ。

 

各種ウイルスに効果の「光速ストリーマ」には、脱臭フィルターの再生効果も

「光速ストリーマ」ユニット

 もうひとつ、ダイキンの空気清浄機で特徴的なのが、「光速ストリーマ」という機能である。

 光速ストリーマは、昨年大流行したインフルエンザなどのウイルスや、細菌やカビ、シックハウスの原因となるホルムアルデヒドなどを除去できる「高速電子」を、本体内部に放出する技術。その放出経路に空気を通すことで、空気に含まれるウイルスなどが除菌できるというわけだ。昨年コマーシャルなどで「インフルエンザウイルスを100%抑制」などと、派手に効果を謳われていたことを記憶している人も多いだろう。

 とはいっても、こうしたウイルスの除去効果を謳う技術は、他社の「~イオン」でも多く搭載されており、特に珍しいものではない。では、なぜストリーマ放電が特徴的かというと、他社のイオン機能は空気中にイオンを放出し、ウイルスや花粉などを除去するというものだが、光速ストリーマは本体内に発生し、除菌するというものだ。大げさに言えば、光速ストリーマという“フィルター”を通すということになる。

 まあ、どっちがインフルエンザに効くか、というのは素人にはまったく分からないし、そもそも実験で効果があっただけで、本当の生活環境で効くかどうかは不明。「こっちはインフルエンザを99%除菌するけど、こっちは100%だから買おう」なんていうのは、商品の選び方としてはあまり賢いとはいえない。

 といっておきながら、この光速ストリーマ、効果があるように感じている。光速ストリーマの効果を見るために、集塵フィルターを取り外して運転してみたのだが、空気中の微細なホコリをキャッチする集塵フィルターがないというのに、空気がキレイになったように感じるのだ。これはまったく個人の感覚でしかないのだが、光速ストリーマ付きの空気清浄機を持っている人は、一度フィルターなし、ストリーマのみの運転をしてみていただきたい。

光速ストリーマユニットのアップ写真。ここで生まれた高速電子が、ウイルスや花粉、ニオイを除去してくれるわけだ

 この光速ストリーマは、本体内に放出することで、空気清浄に関してもう1つ効果がある。脱臭フィルターの効果を再生できるのだ。

 脱臭フィルターは、部屋のニオイをフィルターが捕らえ、取り去るしくみだが、ニオイが吸収しきれなくなるまで使うと、脱臭効果は当然なくなってしまう。そうなると、後は水洗いで能力を再生させるか、交換するしかない。しかし光速ストリーマは、前述の高速電子を本体内に放出するため、脱臭フィルターがキャッチしたニオイ成分を分解し、脱臭能力を自動で再生できるというのだ。

 この脱臭フィルターの自動再生能力を持っている機器は、ダイキンのほかは富士通ゼネラルの脱臭機「PLAZION(プラズィオン)」のみ。PLAZIONは空気清浄機ではなく脱臭機なので、空気清浄機では唯一ということになる。ニオイを気にすると言う人には、見逃せない機能ではないだろうか。

 ちなみに、イオンを放出するタイプの空気清浄機にもメリットはある。それが、衣類や家具の脱臭効果だったり、美肌効果など、イオンを放出→付着することによるさまざまな効果だ。光速ストリーマは本体内にしか放出しないため、そういった効果は一切謳われていない。


空気清浄機を使わなかったら風邪を引いてしまった!

 さて、空気清浄機を使用している方の疑問のひとつに「本当に効いているの?」と疑問を持つ人も多いだろう。そこで、9月中旬からずーっと運転し続けたMCK75Lを、10月上旬から2週間ほど運転をストップしてみた。

 結果は、なんとこの週末にカゼを引いてしまった! できすぎた話だが、本当にそうなのだ。この文章も、鼻水をズーズーと言わせながら、冷えピタをおでこに貼り、のど飴をナメながら執筆している。

 原因としては、ノドが乾燥したこと、運転を止めたことによってホコリっぽかったことが考えられる。このところは昼間は暑いが、夜はしっかり冷え込んでおり、湿度もかなり落ちている。また、衣替えでタンスにしまっておいた服を取り出したため、部屋の中がホコリでいっぱいになっている。そんな中で運転を停止したことで、ノドや鼻が荒れてしまったのだろう。

 もちろん、空気清浄機を止めたことが、風邪をひいた原因そのものとは思わないが、悪い環境のなかで、最後のひと押しになったのではないか。

 カゼ以外にも、困ったことがあった。部屋がなにやら匂うし、空気が新鮮に感じられない。これは我が家のリビングに窓がなく、空気が入れ換えにくいことも影響しているだろう。

 というわけで、やっぱりMCK75Lを使うことによる効果は確かにあることが感じられた。風邪を予防したい方、部屋に窓がなく空気が入れかえにくいという人は、確実にお勧めである。少なくとも、私はもはや空気清浄機なしでは生きていけない、と感じている。

 さて、最終回となる来週は、加湿機能について見ていきたい。



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2010年10月19日 00:00