家電製品ミニレビュー

床に逆風!? 羽根を逆回転できる革新的なサーキュレーター!

 この発想はなかった! 何の変哲もない、フツーの扇風機に見えるコレ。見た目どおり、フツーの扇風機としても使える。でも実は羽が逆回転して、背面から風も出せるというモノなのだ。

 「なんだよそれ? 意味あるのかよ?」と思うヒトも多いだろう。実際、筆者もそうだったし(笑)。でも使ってみると、コレが凄い! なんだか分からないんだが、すごく自然な風なのだ。そのしくみは後述するが、普通の扇風機とはまったく違う涼が取れる。

sirocaのDCサーキュレーター扇風機「SCS-401」
メーカー名siroca
型番DCサーキュレーター扇風機 SCS-401
価格12,055円 (Amazon)

一般的な扇風機とはちがう、ワンランク上のナチュラルで品のある風

 扇風機としての使い方は後回しにして、まずサーキュレーターとしての機能を見ていこう。次の写真は、扇風機の上下角を変えたところだ。やや下向きから真上まで、5段階の切り替えがOK。左右は自動首振り(90度ぐらい)可能だが、上下角は固定されたままとなる。

水平から徐々にヘッド部を上げていく
ヘッドを真上に向けたところ

 一般的な扇風機ではスイッチをONにすれば、前から風が出てくる。しかしこの扇風機は「逆回転」ボタンを搭載。押すと、前から空気を吸い込んで後ろから風が出るようになる。

フツーは前から風がでる
一番右の「逆回転」スイッチを押すと……
逆から風が出てくる〜! おもしれ〜!

 つまり普通の扇風機やサーキュレーターは、扇風機を真上に向けると床の空気を吸い込んで、天井に押し上げる。しかしこの扇風機は、羽を逆回転させることで上の空気を吸い込んで、床に押し付けることで空気を循環させるのだ。

 実際にやってみると、逆回転が実に良い感じで空気を攪拌してくれる。吸い込んだ空気を床に当てて、四方に空気を分散させるので、風の具合が非常にナチュラル。床に座っていると、足元をそよそよと風が抜けるので、夏にエアコンを併用して使うと、新しい涼しさが感じられる。

扇風機が逆回転するのは非常に不自然なのだが、送られる風は非常に自然という不思議な扇風機

 ホテルや新幹線、飛行機など高級感を演出するために良く利用される間接照明というものがある。リビングの照明機器のように照明の光を直接投射するのではなく、壁などに反射させると自然な光になって落ち着きや高級感が出るというものだ。この扇風機も原理は同じで、“光”と“風”が違うだけ。床に反射した風が自然になって、ワンランク上のそよ風っぽく感じる。

 エンジニアが狙って作ったというより「DCモーターだから逆回転もできるんじゃね?」(普通の扇風機のACモーターは逆回転できない)と面白半分に作ったところ、予想外に自然な風になった、というのがホンネではなかろうか?(笑い)。

中央のフタを回転して空けると、フェルトが貼ってありアロマディフューザーとしても使える

 しかも扇風機本体には、アロマを染み込ませるフェルトが付いているので、部屋全体に香を届けるアロマディフューザーとしても機能する。ワンランク上の自然な風とアロマディフューザーは、女性から高い支持を得そうだ。

逆回転サーキュレーターは自然に部屋全体の空気を循環

リビングでサーキュレーターの効果を検証

 さてここで疑問に思ったのは、扇風機の羽の高さより下の空気しか循環できないのでは? ということだ。だが、天井のほうの空気まで循環できなければ、サーキュレーターといえないし、室温を下げられないから電気代の節約にもならない。そこで逆回転させた時に、どれだけ空気を循環させられるか、その機能性も調べてみた。

 実験は、締め切ったリビングで、カセットガスコンロを何台か使って部屋の温度を上昇させる。この間サーキュレーターは使わないので、部屋の天井付近の空気だけどんどん暑くなるというわけだ。

 そして天井から20cmほどのところに温度センサー、床から20cmほどのところにも温度センサーをセットし、温度の変化を測定してみた。しばらくコンロの火をつけ、部屋の床と天井で大きな気温差ができたところで、サーキュレーターをつけて部屋の温度が均一化される様子を調べてみた。

温度センサーを天井から20cm程度のシーリングファンの羽と、床から20cm上程度のイスの足に取り付けた
ウチにある火力をかき集めて、天井付近の空気を温める(笑い)
結果をまとめたグラフ

 最初は天井と床で6℃の温度差があったがサーキュレーターをつけると空気の循環がはじまり、天井付近の気温がどんどん下がっていくのが分かる。結果、10分ほどで温度差は3℃と半分ほどになり、20分で1℃差になった。このように逆回転させて床に空気を当てると、その空気が部屋の四隅に回り込み、部屋全体の空気を循環するようだ。

 イスではなく床に座るライフスタイルで、サーキュレーターとしても使いたいが、風も浴びたいという人にオススメするのが逆回転。風を浴びたくない場合は、正回転にすれば床の空気を天井に押し上げる通常のサーキュレーターのようにも使える。

微妙な風が調節できるDCモーター扇風機としても

 普通の扇風機の強さは、強・中・弱のほぼ3段階でしか調節できない。だから雑誌を読んだり、勉強しているとき、しきりにページがめくれないように手で押さえなくてはいけない、なんて経験をしているだろう。

 対して、この扇風機はDCモーター扇風機だ。DCモーター扇風機は細かく風量を調節できるのが特徴で、涼しい風を浴びつつもページがめくれない程度の風量にとどめる、という微妙な調整ができる。

左はホームセンターなどで買える5000円ぐらいの普通の扇風機。右が本機。普通の扇風機に比べると、ふた回りほど小さい
羽の枚数も4枚とイマドキの扇風機にしては少ない方

 なお本機は8段階の調節が可能になっている。その微妙な風の違いを調べるために、風速計で風の速度を測ってみた。

0.66m/s(最弱)
1.47 m/s
1.56 m/s
2.11 m/s
2.58 m/s
3.47 m/s
3.94 m/s
4.11 m/s(最強)

 DCモーターを採用した本機は、微妙なそよ風から強い風まで細かく風の強さを調節できる。一方で、まだまだ一般的なACモーター採用の扇風機の場合は、下の通り、強・中・弱ぐらいしか選べず、風量調節が難しいことが分かる。

2.05m/s(弱)
2.76 m/s(中)
3.29 m/s(強)

 このようにDCモーター扇風機の本機は、普通の扇風機よりも優しい風から、さらに強い風まで送れる。暑い日の夜、窓を開けて「良い風が入ってくるね〜」と思わず言ってしまうのが、だいたい風速1〜2m/s。その風速を3段階に切り替えられるので、心地よさもひときわというのが分かるだろう。

 風呂上りにエアコンと併用するときは、最高まで上げれば風速4m/sの強い風。自転車で河原のサイクリングコースを走っている(およそ15km/h)ときに受けるような風まで起こせるというわけだ。

どんな部屋にも合うシンプルなデザイン

 円筒形の部品を組み合わせたデザインは、ホワイト一色で統一されシンプル。電源ONすると、風量や各種モードランプが緑色に光るようになっていて、電源を消している間はパネルもホワイト一色になる。

タッチ式のスイッチで電源が入っているときのみランプが光る。就寝時に光が気になる場合は、「おやすみ」モードに切り替えるとランプが暗くなる
逆回転を含む操作が、付属のカード型リモコンで可能
またリモコンは本体に収納できるようになっている

 スイッチは押し込むボタンではなく、スマホのようにタッチ式となっているため凸凹もない。カードサイズのリモコンも添付されていて、ほとんどの操作がリモコンからもできるようになっている。またリモコンは、本体横に収納でき、オフシーズンを越して、どこに行った?! と探すこともないだろう。

色んな形の円筒を組み合わせたデザイン
高さは57cm(ちょっと小さめ)〜68cm(だいたいテーブルの高さぐらい)まで調節も可能

 この夏、電気代の節約のためにエアコンと扇風機やサーキュレーターを併用しようと考えている人には、本機をぜひオススメしたい。DCモーターなので、一番弱い風で1日8時間サーキュレーションしても電気代は、1カ月でたったの9円だ。また心地よい風のDCモーター扇風機がほしいという人にも是非オススメの製品だ。

藤山 哲人