家電製品ミニレビュー

ちょっと変わった操作方法のコンパクトなDCサーキュレーター扇風機

小径羽根のサーキュレーター兼用機

オークセール「siroca DCサーキュレーター扇風機 SCS-301」

 今回はオークセールの「siroca DCサーキュレーター扇風機 SCS-301」を紹介する。サーキュレーター兼用という、今年のトレンドに沿った扇風機だ。

 写真で見ると、普通の扇風機のように見えるが、羽根の直径が20cmと小さく、全体もコンパクトだ。

 サーキュレーター兼用で、小径の羽根といえば、先週紹介した「東芝 SIENTμ(サイエント ミュー) F-DPS20」と同じジャンルに入るが、実際に使い比べてみると、使用感は相当に異なる製品だった。

 他の製品にはない、尖ったところのある面白い製品なのだ。

メーカーオークセール
製品名siroca DCサーキュレーター扇風機 SCS-301
購入場所Amazon.co.jp
購入価格8,618円

消費電力は小さく、電源はACアダプター

 SCS-301のパッケージは、扇風機としては小さく、手提げでぎりぎり持てるぐらいの大きさだ。本体は組み立て済みで、箱から出したらすぐに使える。

完成状態で箱に入っている
取扱説明書の補足。リモコンホルダーの位置と首振り角度についての注意

 取り出してみると、コンパクトさというか背の低さに驚く。ベースの丸い部分の直径が26cm、支柱を短くした状態の高さが50cmなので、卓上に置けるぐらいの大きさだ。支柱を伸ばした状態でも高さは64.5cmなので、リビングルーム用のイスの座面ぐらいしか高さがない。重さも、実測で2.1kgしかないので、片手でヒョイと持ち上げられる。

支柱を一杯に伸ばした状態でも高さはイスの座面ぐらい
右は一般的なリビング扇。だいぶ大きさが違う
ACアダプターは比較的大きめ、テーブルタップでは隣の口をふさぎやすい

 SCS-301はDCモーターを搭載しており、消費電力は最大でも16Wに抑えられている。電源は24VのACアダプターを使う。このACアダプターはプラグが直に生えているタイプで、本体もやや大きめだ。テーブルタップではとなりのコンセントを塞いでしまうことがあった。また、ACアダプターから扇風機部分へのコードが細くて、ちょっと頼りない感じがする。

オリジナリティの高い操作パネル

 では、実際に使ってみよう。真っ先に触る操作パネルはSCS-301の一番の特徴だ。左右に扇風機とサーキュレーターの機能が振り分けられているのだ。操作パネルの左側は扇風機の機能、右側はサーキュレーターの機能なのだ。

本体の操作パネル。左右に「扇風機」と「サーキュレーター」の機能が分かれている

 驚いたことに、扇風機とサーキュレーターでは、電源スイッチまで別々になっている。電源スイッチの色は、扇風機が「青」、サーキュレーターが「緑」だ。

 左側の扇風機の方には「リズム」や「おやすみ」モードを選ぶ「モード切替ボタン」、左右の首振りのON/OFFをする「首振りボタン」がある。右のサーキュレーターのほうには、「首振りボタン」と、羽根を反転運転させる「反転ボタン」がある。

 中央部分には、左右共通の機能として、0.5~7.5時間の切タイマーと、1~8までの8段階の風量調整ボタンがある。

 とりあえず、扇風機スイッチをONにしてみる。前回に指定した風量設定は覚えておらず、必ず一番弱い「1」から運転が始まる。

 扇風機モードで「1」の時の風は、ちゃんと弱い微風になっていて、扇風機っぽい。長い時間、扇風機として使っていても、そんなに不満は感じない。微風と首振りの組み合わせで、うまく扇風機として機能している感じだ。扇風機専用モードを用意しているだけのことはある。

サーキュレーターモードでは、羽根を真上に向けて使っていることが多かった。部屋の空気がよく循環する

 扇風機モードで動いているときに、「サーキュレーター」側の電源ボタンを押せば、サーキュレーターモードに切り替わる。すぐに分かる違いは風量で、サーキュレーターモードでは「1」でも、扇風機モードの「6」か「7」ぐらいに相当する強い風が吹く。サーキュレーターモードで「8」にすると、とても強い風がゴーという風切り音と共に発生する。

 扇風機とサーキュレーターに分けられた操作パネルで、もっとも不思議なのは「首振りボタン」だ。扇風機とサーキュレーターの2つのモードのそれぞれに専用の「首振りボタン」がある。しかし、扇風機モードの時と、サーキュレーターモードの時で、首振りの角度や、首を振る速度は変わらないようだ。

 一番スゴイのは、切タイマーの設定方法だ。パネルを見ると、0.5/1/2/4時間のLEDがあるので、この4種類の時間設定ができるように見えるが、そうではない。

 まず、タイマーボタンを押すと、「0.5」時間のLEDが点灯する。もう1回押すと「1」時間のLEDが点灯する。さらに1回押すと「2」時間のLEDが点灯するかと思ったのだが、そうではなかった。「0.5」時間と「1」時間の2つのLEDが点灯して、1.5時間に設定されるのだ。こういう手順で、タイマーボタンを1回押すごとに0.5時間ずつ設定時間が伸びるのだ。

 たとえば、3.5時間に設定されているときは「0.5」「1」「2」の3つのLEDが点灯する。7.5時間だと「0.5」「1」「2」「4」が点灯するのだ。頭の中で足し算をしないと、今の設定時間が分からない。

 このタイマーの操作方法に興味のある方は、ぜひ動画を見てほしい。

タイマー設定の様子。タイマーボタンを1回押すごとに、設定時間が30分ずつ伸びる。LEDの点灯する位置に注意

 SCS-301を使っていると、なぜそうなっているのか戸惑うことが多い。例えば、いまの操作方法を変えて、電源スイッチは1つにし、風量の調整幅を広く取るだけで、扇風機とサーキュレーターの両方の機能を活かすことは十分にできると思う。

 たぶん、SCS-301では、2つの機能を分かりやすく選択できるようにしようという、最初のアイデアが何より優先されているのだ。それが本当に使いやすい結果になっているかどうかは別にして、全く異なった思考をする人と出会う面白さを感じる。特に、タイマー設定の方法は、実際に使ってみるまで分からないと思う。

謎を深めるリモコン

リモコン。左右の首振りやタイマーも操作できる

 今度はリモコンを使ってみることにする。

 リモコンでは、本体の操作パネルとは逆に、左側がサーキュレーターの機能、右側が扇風機の機能になっている。電源スイッチの色は、本体と同じで、扇風機が「青」、サーキュレーターが「緑」で本体の操作パネルと同じなのだが、左右逆の配置になっているので、何度も押し間違えてしまう。

本体とリモコンでは、「サーキュレーター」と「扇風機」の位置が左右逆になっている

 ちなみに、扇風機モードのときに、電源をOFFにしようとして、間違えてサーキュレーターの電源スイッチを押すと、電源がONのままサーキュレーターモードに切り替わる。もう一度、サーキュレーターの電源スイッチを押せばOFFにできる。つまり電源ボタンを1回押して、電源がOFFにならないときは、もう1回電源ボタンを押せば良い。長くリモコンを使っていると、その動作が身に付いてしまった。

 また、リモコンでは「首振りボタン」は、サーキュレーターと扇風機で共通になっている。やっぱり、首振りの機能はどちらでも同じなのだろうか。

高いオリジナリティに、異文化と出会う感触

 SCS-301の羽根の直径は20cmと小さめだ。羽根は、中央部分が深くひねり、周辺が浅くひねった形をしている。風の質はサーキュレーターっぽくて、柔らかい風ではない。現状ではアームが付いていて、前を向くサーキュレーターと考えた方が実像に近い。

前面ガードを外した状態。特異な羽の形が分かる
羽根は3枚で、中央と周辺でねじれ具合が異なる

 しかし、扇風機モードの微風設定のおかげで、それなりに扇風機として使える。風の質は、高級な扇風機のような柔らかい風のレベルには届いていないが、実用の範囲内だ。

 また、上下の首振り範囲は広く、ちょっと下向きから真上まで15度単位で動かせる。羽根を斜め上や真上に向けた状態でも姿勢は安定している。気温が高い夜などに、羽根を真上に向け、一番弱い風にセットして動作させていると、風が対流して気持よく過ごせる。

羽根は約10度下向きの状態まで下がる
上方向は真上まで向く
複雑な構造なので、羽根の周辺は手を挟みやすい部分が多い
リモコンのフォルダーを支柱の上の方に装着するので、ますます羽根の周囲が混みあう

 サーキュレーターとしては、DCモーターを使っていて消費電力が最大16Wというのが、他にはない魅力だ。つまり、サーキュレーターが主で、扇風機が従という使い方であれば、実用性は高い。

 しかし、良くも悪くも、操作方法が、この製品の一番の特徴であることは間違いない。まずは、操作パネルを見て、使いこなせるかどうかを判断すると良いだろう。

伊達 浩二