家電製品ミニレビュー
白熱電球が醸し出す「情緒」を表現するLEDインテリアライト
by 藤原 大蔵(2015/7/13 06:00)
かつて生活の中に当たり前にあった白熱電球は、今ではLED電球が主流となり生活空間から消えつつある。そんな消え行く白熱電球をモチーフにした、LEDインテリアライトを今回は紹介しよう。
プロダクトデザイナーの坪井浩尚氏が手がけた、100%の「Lamp/Lamp LED (ランプLED)」だ。
メーカー名 | 100% |
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製品名 | Lamp/Lamp LED |
購入場所 | 100% オンラインストア |
購入価格 | 7,560円 |
ランプLEDは口金までも含む、白熱電球が持つニュアンスをまるごと活かしたインテリアライトだ。かつて白熱電球は、切れたら捨てられる運命にあった消耗品で、あまりにも見慣れた生活用品の1つだった。そんな白熱電球を意識的に外殻とし、生活空間を彩る光のオブジェとして生まれ変わった。
ランプLEDの大きさは、59×99mm(バルブ直径×高さ)で、標準的な白熱電球と同じ大きさだ。バルブは白色のガラス製。口金は2つあり、バルブの上部斜めに付いているのが電源用で、くびれ方向にあるのは装飾のダミーになる。電球の中に、定格寿命20,000時間のLEDが組み込まれている。
使い方はとても簡単だ。バルブ上部の口金を、E26口金のソケットがついている器具に取り付けて電源を入れるだけ。普通の電球と同じように扱える。
インテリアライトなので、明るさは20W形白熱電球よりも暗い。あくまでも白熱電球そのものの形を楽しむ装飾を目的としたライトなので、直視しても眩しくない明るさだ。
情緒のある明かり。白熱電球そのものの形を楽しむ
ランプLEDは白熱電球の形を模しているだけなのに、表情はとても豊かだ。ソケットに取り付けると、電球は重力に反するような絶妙な角度がついて、意識的な表情が生まれる。見る角度を変えれば、そこに新たな表情が生まれる。見慣れた電球の形なのに、そこにあるだけで1つの雰囲気が生まれるようで面白い。
点灯すると、暖かみのある光がほんのりと広がる。その光は効率化や実用性といった、LEDに付いて回るようなスペック的(野暮)な要素は無い。在るのは、かつての明かりが持っていたような情緒や趣だ。時がゆっくりと流れるような、静かな雰囲気が醸し出され、優しい光につい見入ってしまう。
ランプLEDを設置する場所はもちろん自由。だが、周囲に物を置かない棚の上や、目に触れやすい高さに吊るすのがいいだろう。観葉植物とも相性が良い。有機的なラインの葉影と、無機的な電球の形と柔らかな光が相まって、それぞれを引き立て合う。
他には、テレビの側はもちろん、ベッドサイドなど、小さいので場所を取らずにすんなり収まる。ランプLEDの明るさは眩しくないので、常夜灯代わりにも利用できる。また、玄関の棚などに置いて、人を迎え入れる柔らかな印象のオブジェとしても魅力的だ。
点けっぱなしにしても、電気代に関してはほぼ気にしなくてよいだろう。消費電力は1.8Wとされているが、ワットチェッカーで計測したところ、測定不能の0Wだった。1.8Wとしても8時間の点灯で、1カ月の電気代はおよそ11円という試算。これなら、電気代を気にせずに思う存分楽しめる。
欠点とまでは言わないが、点灯するとバルブの内側にガラスの気泡らしき影が浮き出る。価格的に安いものではないので、これはかなり惜しい。
もう1点、ランプLEDの「電球っぽさ」をより引き出したいなら、専用のベース(ソケットのついた器具)を手に入れた方が良い。一般的な器具のソケットは、どうしても口金が見えてしまうからだ。よりランプLEDの魅力を引き出すデザインで、中間スイッチもついているが、さらに4,000円の負担は正直言って痛い。
とは言うものの、他のインテリアライトに無い魅力がランプLEDにはある。個人的に特に美しいと感じるのは、日が落ちて夜になる直前に点灯した時だ。蒼色に満たされた部屋の中にポツリと淡黄色の光が浮かび、ほの暗い蒼色に艶が加わるかのよう。電球の形からそこはかとない郷愁も漂い、昼と夜の境目を深くより魅力的に彩ってくれる。改めて白熱電球が持っている「用の美」、「情緒」なども思い出させてくれる。
決して安いものではないが、他では味わえないインテリアライトとしての完成度は高い。消え行くも、長年人々に愛され続けた白熱電球が蘇ったような喜びも感じられるランプLEDを1つ、生活シーンに取り入れてみてはいかがだろうか。