家電製品ミニレビュー

ボタン1つで本格的なフォームドミルクが作れるフローサー

プリンセス「ミルクフローサー プロ」

 カフェでいただく「カプチーノ」や「カフェマキアート」など、温かくて、きめ細かに泡立てられたミルクが入ったコーヒーはとても美味しい。だが、それらを家庭で楽しもうと思ったら、ミルクを泡立てる道具を揃えるのはもちろん、知識やテクニックも必要になってくる。

 それがボタン1つ押して3~4分放っておくだけで、超カンタンに、カフェで楽しむような本格的な「フォームドミルク」が作れる自動ミルクフローサーが登場した。オランダの家電メーカー、プリンセスの「ミルクフローサー プロ」だ。

メーカー名プリンセス
製品名ミルクフローサー プロ
購入場所Amazon.co.jp
購入価格9,180円

 ミルクフローサープロは、いわゆる電気ケトルのような本体に、ミルクを泡立てるフローサーを組み合わせたものだ。

 本体は、電源を供給する「ベース」と「ポット(本体)」に「フタ」で構成されている。取っ手を含まない大きさは、132×193mm(直径×高さ)で、ベースを含まない重量は650g。

 ミルクの最大容量は250cc。フローサーは着脱式なので、内部はスッキリ。入れるミルクの最大容量ラインが刻まれているので、計量もラクにできる。

 フローサーは、「パドルホルダー」、「パドル」、「スプリング」の3つのパーツで構成されている。それぞれが、手指だけで簡単に分解・組み立てができる。フォームドミルクを作るなら3つのパーツを全て使う。泡立てないホットミルクを作るなら、パドルホルダーとパドルのみを使う。

左奥から、ベース、本体(ポット)、フタ、フローサーセット。ベースの電源コードの長さは90cmだ
外側はプラスチック製なので調理中に触れても大丈夫
フローサーは手指だけで簡単に分解できる。パドルの中にマグネットが仕込まれている
ミルクの最大容量は250cc。ポットの内側にラインが刻まれているので計量は簡単だ

 使い方はなんのテクニックも要らないほど簡単だ。ポットの内側にフローサーを置いて牛乳を適量注ぎ入れ、フタをし、ベースに載せてスイッチを押すだけだ。

 スイッチが入ると、ミルクの温めと同時に、パドルが勢い良く回転し始める。パドルにスプリングが付いており、回転しながらミルクに空気が取り込まれ徐々に泡立っていく。出来上がれば、自動的にスイッチが切れる仕組みだ。

フローサーをポットの底にセットし、ミルクを適量入れてフタをし、スイッチを入れるだけでOK。通電中はスイッチが赤く光る
ポットと電源供給のベースは着脱式なので、飲み物の側に設置しなくても大丈夫
フローサーが撹拌して泡を作る仕組み。パドルがポット底の裏側にあるモーターとマグネットで連結して、勢い良く回転する

きめ細かく、濃厚なフォームドミルクが手間をかけずにたっぷりできる

約170ccのミルクが、2分41秒でフタすれすれまでのフォームドミルクになった

 一度にできるフォームドミルクの量は、最大で300cc。ポットに入れるミルクの量で、泡とホットミルクの比率は変わるものの、泡はいずれもきめ細かく、スプーンですくって傾けても、簡単には落ちないほど濃厚だった。

 泡の下にできるミルクの温度は70℃弱で、スッと飲めるほど良い塩梅。ミルクのほのかな甘さも感じられて、とても美味しい。

 できあがりまでの時間は、ミルクの温度、量によって変わるが、2~4分だった。フォームドミルクは、スイッチを入れたらできあがりを待つだけなので、その間に濃い目に淹れたコーヒーや紅茶などを用意しておくとよいだろう。

 これだけたっぷりできると、一般的なコーヒーカップ(150cc)なら4人分、マグカップなら2人分のフォームドミルクが1度にできる。

 泡はかなりしっかりしている。コーヒーに注ぎ入れ、砂糖を入れて混ぜても、泡の多くは潰れない。最後の一口まで美味しくいただけた。

約170ccのミルクの場合、半分以上がフォームドミルクになった
しっかりと濃厚なミルクの泡ができあがった
最大量250ccのミルクでも、フタをしていれば溢れずにフォームドミルクができた。かかった時間は3分50秒
ミルクの量が多い場合、泡の量は減る
量は減っても、濃厚な泡ができていた
濃い目に淹れたコーヒーに注げば、あっというまにカプチーノの完成だ
コーヒーをかき回しても泡はしっかり残る
170ccのミルクだけで、コーヒーと紅茶のカプチーノがマグカップ2杯分できた。どちらもとても美味しい

 好みでキャラメルシロップを入れて「キャラメルマキアート」、紅茶なら砂糖の代わりにハチミツなどでアレンジするのもオススメ。シロップもハチミツも、泡の上にしっかり留まるので、見た目も一緒に楽しめるだろう。

 また、インスタントコーヒーを使えば、濃厚なカプチーノがあっという間にできる。鍋で牛乳を沸かすなら、吹きこぼれないように必ず火の側についていなければならない。だが、ミルクフローサープロを使えば、忙しい朝でもカプチーノが手軽に作れる。

粘度のあるソースやハチミツは、濃厚な泡の上にしっかり留まった。見た目も楽しい
インスタントコーヒーにフォームドミルクを入れてしっかりかき混ぜると、手軽にカプチーノが楽しめる

泡なしホットミルクも美味しい

ホットミルクを作る場合は、パドルからスプリングを外しておく

 フローサーのパドルにスプリングを付けなければ、ホットミルクも簡単にできる。これがとても美味しい。ミルクが適度に空気を含み、口当たりがとてもまろやかだった。

 そのままでも美味しいが、コーヒーや紅茶に入れたり、インスタントコーヒーを直接溶かせば、こちらも本格的な「ラテ」が楽しめる。ココアを溶かして、ミルクココアを作ってみたが、鍋で沸かした牛乳で作るよりも、ふんわりと口当たりがよく、格段に美味しかった。温度もちょうどよい。

約200ccの冷たいミルクが、3分半で口当たりの柔らかい70℃のホットミルクになった。ミルクに空気が含まれるので少し量が増える
鍋で沸かしたミルクよりも断然美味しい。自宅で作ったミルクココアの中でも最高の出来だった

 ここから少々脱線してしまうが、ミルクフローサープロは、はじめから70℃前後で加熱が止まるので、玉露に応用できるのではないかと思いつき、つい試してしまった。というのも、玉露の美味しさを引き出すには、沸騰したお湯を60度ぐらいまで湯冷ましする必用があり、これが案外面倒くさい。

 一般的に、玉露を入れるには、沸騰したお湯を急須に入れ、そのお湯を茶碗へ入れる。次に、玉露の茶葉を入れた急須に、茶碗で冷ましたお湯を入れ2分待つ。美味しい玉露をいただくためには、結構な手間がかかる。

 ところが、ミルクフローサープロでできたお湯は70℃前後なので、急須に直接注ぎ入れるだけで、湯冷ましは完了してしまう。そこに茶葉を入れて2分待てば、甘さ、香りが引き立つ玉露ができあがってしまった。

 お茶を嗜む方に不粋と叱られてしまいそうだが、時間が無い時の一服を楽しむ方法として、玉露用電気ケトルとして応用するのもアリではないだろうか。

ホットミルクを作るのと同じ要領でお湯を沸かすと、70℃だった(上)。急須に注ぐと63℃に冷めた。玉露にも使える温度だ
湯冷まし課程抜きで、美味しい玉露が楽しめた。急須にお湯を注いでから茶葉を入れ、2分待つだけ。簡単だ

 また、手入れは難しくない。外側はあまり濡らさないように、ポットとフタは食器用スポンジと中性洗剤で洗浄し洗い流す。フローサーは分解せずとも、普段は流水だけでも十分きれいになった。

カフェに負けない美味しさを自宅で

 ミルクフローサーを使って感じたのは、とにかく操作が簡単ということ。冷蔵庫から出した冷たいミルクを注いでスイッチを入れるだけで、特別な技術も手間も要らずに、カフェに負けないフォームドミルクがたっぷり作れる。

 価格は必ずしも安いものではないが、ほんのり甘く、濃厚なフォームドミルクの飲み物が、自宅でも簡単に楽しめる。コーヒー、紅茶好きの方には特にオススメしたい一品だ。朝の1杯から、食後やリラックスタイムのひと時まで、より味わい深いものにしてくれるだろう。

藤原 大蔵