家電製品レビュー

夏のロングヘアも速乾! ダイソンのドライヤーをじっくり使ってみてわかったこと

 ダイソン初の美容家電として話題になったヘアドライヤー「Supersonic(スーパーソニック)」。ハンマーのような形状や、穴のあいた送風口など、見た目も独特な製品だ。

 パワフルな風で早く乾く、低温でキレイな髪に導くなど、さまざまな魅力があるというが実際はどうだろうか。3カ月ほどみっちり使ってみたので、その使い心地をレポートしていく。

ヘアドライヤー「Dyson Supersonic」
メーカー名ダイソン
製品名Dyson Supersonic ヘアドライヤー
実売価格48,600円

 本体を持ってみて、まず感じるのがその軽さだ。スーパーソニックは、モーターがヘッドではなくハンドル部に備えられており、軽やかに操作できるという。サイズは、78×97×245mm(幅×奥行き×高さ)、重量は618gと標準的だが、ハンドル部にモーターを備えることで重心が低くなり軽く感じるのだ。

 操作部では、温度と風量が切り替えられる。温度は、「速乾(78℃)/標準(62℃)/低温(45℃)/冷風」の4段階、風量は3段階で設定可能。設定温度よりも高温にならない「インテリジェント・ヒートコントロール」を搭載し、風温を毎秒20回測定する。極端な熱にさらされることを防ぎ、ツヤのある髪に仕上げられるという。

 ノズルは3種類付属しており、ブロー用、ウェーブ用など、スタイリングに合わせて使い分けられる。

ハンマーのような形状。持った軽さに驚く
背面の操作部。モーターはハンドル部に搭載
送風口。羽根のない扇風機に搭載の「エアーマルチプライアー」と同じ形状で穴が空いている
ノズルは3種類付属。ブロー用やウェーブ用など

 まずは、ノズルを付けずに乾かしてみた。風量は最大、風温も一番高い「速乾(78℃)」に設定。スペック表に書いてある風量は2.4m3/分と強いが、ダイソンでは風量だけでなく風圧にもこだわった点を特徴としている。風速と風圧のバランスを最適化することで、髪の表面だけでなく根元にまで風を届け、スピーディーに乾かせるという。

 スイッチを入れると、とにかくパワフルな風に驚かされる。ブォーンと音がするほど勢いのある風で、耳にあたると風がかなり強いのがわかる。

 これだけ風量があれば速乾性も期待できそう、と思ったが盲点があった。風が強すぎて髪が散ってしまうのだ。特に筆者は髪が長くて細いので、毛先が飛んでしまいがち。速乾性は問題なく、ショートヘアの人なら気にせず使えそうだが、ロングだと乾かしている最中に毛先が飛んで絡まることもあった。

ヘッドに風量と風温ボタン。ハンドルに電源ボタンなど。ヘッドは左の青いLEDが風量、右の赤いLEDが風温を表示
とにかく風がスゴい。毛先が飛んでしまった

ノズルを付けて本領発揮! 根元がスルスル乾いていく

 風が強すぎてロングヘアには合わないのでは……と思われるかもしれないが心配ない。ここで力を発揮するのが、付属のノズルである。同封されているノズルを使ったスタイリングガイドを見ると、髪を乾かすには「スムージングノズル」が適しているという。髪をやさしく左右にゆらせ、根元まで風が届きふんわりすると書いてあった。

 ということで、マグネットで簡単に装着できるノズルを付け、再度チャレンジ。風はかなり弱まったが、意外や意外。みるみると髪が乾いていくのである。毛量の多い筆者の髪はなかなか根元に風が届きにくいのだが、スムージングノズル使用時は、根元があっという間に乾いていくのがわかった。え? こんなにスルスル乾くの?! と正直かなり驚いてしまった。

スタイリングガイドをチェック
髪を乾かすには、吹き出し口が太めのスムージングノズルが良いという
ノズルを縦にして使用。根元に風が届く
仕上げはノズルを横に。マグネットで装着できるから簡単に回転できる

 結果、髪が乾くのに掛かった時間は3分30秒。普段は5分以上掛かるので速乾性は十分にあるといえる。ノズル未装着時の乾燥時間も計ってみたが、こちらは4分。なお、いずれもお風呂あがりから40分後に乾かした結果である。ノズル未装着時からは30秒ほど短縮されているが、体感ではもっと早く乾いたような気がした。

 というのも、未装着時は毛先~中間が先に乾き、根元が湿ったままなので乾いていると感じにくい。しかしスムージングノズル装着時は根元から乾くため、最後まで毛先が湿っていても、風を毛先に向けてあげればすぐに乾く。根元は直接風を当てようとしてもなかなか届かないので、根元から乾いてくれるのはありがたい。

 と、言葉で説明してもわかりにくいので動画を用意した。アクセサリースタンドに、髪に見立てたビニール紐を貼り付けて風の流れ方を比較。簡単な実験ではあるが、以下4つのパターンを用意した。

1.風量1.4m3/分のドライヤー
2.ダイソン ノズルなし(風量2.4m3/分)
3.ダイソン「スムージングノズル」装着
4.ダイソン「ディフューザー」装着

風量を比較した

 いずれも同じ距離から最大風量で送風。中でも、「2.ダイソン ノズルなし」と「3.ダイソン スムージングノズル装着」を見ていただきたい。

 ノズルなしが奥側(毛先)まで風が届き、直進的な気流になっているのに対し、スムージングノズル装着時は手前(根元)中心に風が届き、丸みのある気流になっている。根元から乾くのにはしっかり理由があったようだ。

 チープな実験装置ではあるが、筆者が実際に髪にあてたときに感じた風の流れ方と同じような結果になったので安心した(笑)。

動画キャプチャ。ノズルなしは毛先まで風が届いているが、スムージングノズル装着時は根元中心に風が当たっている

 なお、「4.ダイソン ディフューザー装着」で使っているノズルは、やさしい風を分散して均一に届けるディフューザーというもの。動画で見てもわかるとおり、最大風量でも風がかなり弱い。

 本来は、縮れやすいカールやウェーブをふんわりと乾かすためのノズルだが、今回はカーラーを温めるために使用した。というのも、髪に巻きつけて固定したカーラーにドライヤーを当てるとき、風量が強すぎると軽いカーラーは飛んでしまう。また、直線的な風だとカーラーを温めるのにムラが出てしまうので、均一に送風できるのもポイントだ。

独特な形状のディフューザー。やさしい風を均一に届けるという

 筆者は普段、前髪にクセをつけるためにカーラーを使用。伸ばしかけの前髪は何もしないと落ちてきてしまい邪魔なので、カーラーで根元を立ち上げてナナメに流している。

 ディフューザーの使い勝手も十分で、最大風量でも風が弱いため、いちいち風量を切り替えずに使える。風もふんわり分散されるため、一方向から風を当てるだけでもきちんとカーラーは温まった。

 はじめはいずれのノズルもいらないかなと思ったが、使ってみてはじめてその便利さを感じられる。ノズルは別売りで本体価格が安くなれば……と思ったが、ノズルを使うことでより理想のスタイリングに仕上げられるので必要性は十分にある。

朝、クセ付けのために前髪を前後に分けてカーラーを2つ巻いている
一方向から風を当ててもカーラー全体を温められた
Before。伸ばしかけの前髪が邪魔である
After。カーラーで立ち上げてからナナメに流すため落ちてこない

 とはいうものの、もう1つのノズル「スタイリングコンセントレーター」は、ブラシを併用したブロー向きなためあまり使わなかった。片手にブラシ、片手にドライヤーを持つブローが苦手なので使用頻度は低かったが、普段から自分でブローをする人には便利だろう。

 なお、ひとつ留意いただきたいのだが、ノズルを付けると少し重くなる。何も付けていない状態の本体は軽いが、ノズル装着時は重心が変わるので持ったときの重さの感じ方も変わる。

 普段使っているスムージングノズルはそこまで気にならないが、ディフューザーは大きいので重く感じた。長時間使おうとすると腕が疲れるかもしれない。

未装着時。かなり軽い
ノズルを付けると少し重くなるが、スムージングノズルならそこまで気にならない
ディフューザーを付けると重かった
もう1つの「スタイリングコンセントレーター」はあまり出番がなかった……

寝ぐせやウネりしらずで仕上がりは問題なし!

 ドライヤーを選ぶポイントとして、速乾性だけでなく仕上がりのキレイさも気になるところだ。スーパーソニックはイオン機能を搭載しており、空気中のマイナスイオンを帯びた粒子が静電気を抑え、髪のまとまりをよくするとしている。

 乾かし終えた直後の髪の質感は、正直なところ特別な驚きはない。しかし、一晩明けて朝の状態を見てみると、寝癖は付いていなく毛先も爆発していない。これまで大風量を謳うドライヤーを使ったときは、速乾性は確かなのだがパサパサになってしまい、朝起きると頭頂部がうねってへこんでしまうことがあった。

 また、使えば使うほど髪がボロボロになり、我慢がならず使うのをやめてしまった製品もあった。スーパーソニックはそんな心配がなく、現に3カ月ほど使い続けられている。触り心地が明らかにツルツル! という訳にはいかないが、変にうねったり寝癖がつかないだけでも十分満足だ。朝、ヘアセットに時間が掛からないのはポイントが高い。

寝起きの毛先。ブラシでとかしただけでも十分出かけられる
横から見た様子。頭頂部にうねりなどはなく満足のいく仕上がりだった

低温だからお風呂あがりでも汗をかかずに使える!

 また、スーパーソニックを使っていて良かったのは、温度の低さだ。一般的なドライヤーの最高温度は100℃近くあるが、スーパーソニックは78℃と低く、夏の暑い時期に使っても汗をかかないのである。もちろん長時間使っていると暑くなってくるが、その前に髪が乾いてしまうので問題ない。

 特に夏はドライヤーを使うのが嫌になる季節だが、スーパーソニックは抵抗なく使える。ドライヤーを選ぶ基準は人それぞれだが、汗をかきたくないというニーズには確実に応えてくれるだろう。

 もし使っているときに暑くなったら、手元のコールドショットボタンを使うのがオススメ。ボタンを押している間だけ冷風が出る機能で、ハンドルを握っているときにちょうど人差し指にあたるので、サクッと押せる。

ハンドルにあるコールドショットボタン
ハンドルを握っていると人差し指に当たる。ボタンを押している間だけ冷風が出るので暑くなったときにオススメ

吸気口のお手入れは忘れずに

 ドライヤーを使うときに必ず手入れをしたいのが吸気口。周りの空気を吸い込むため、ホコリが付きやすいのだ。ホコリが付いたままになっていると風量は低下するので定期的な掃除が必要となる。

 意外とこの吸気口を手入れしている人は少なく、筆者も人様の家でドライヤーを借りるたびに勝手にチェックしているのだが、大体ホコリが付きっぱなし(そして勝手に掃除する)。溜まったホコリを一気に掃除するのはなかなか気持ち良いので、ぜひともチェックしていただきたい。

 スーパーソニックはハンドルの底部に吸気口があるので、カバーを外して手入れする。使用して3カ月、レビューのためにと一度も掃除をしなかった吸気口は、やはりホコリが溜まっていたのでさっぱり掃除した。ホコリを取り除くときは、糸くずがでない布かブラシでの手入れが推奨されている。

ハンドル底部の吸気口
カバーを外す
3カ月分のホコリ
糸くずのでない布で拭いたら簡単にキレイになった

 3カ月じっくり使ってみて、筆者的にもっともポイントが高かったのは、根元がすぐ乾くということだ。毛量の多い人やロングヘアの人には、ぜひノズルを付けての乾燥をオススメしたい。

 筆者の友人の話ではあるが、長い髪を乾かすのが面倒で旦那にナイショでばっさり切ったらガッカリされたという例もある。最近はショートヘアも流行っているが、ロングヘア好きの男性の皆さん。奥さんや彼女がいきなりショートヘアになるのを防ぐためにも、速乾性のあるスーパーソニック、いかがでしょうか。

西村 夢音