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これはぞうきん掛けの革命! 掃除からモップ洗浄と乾燥まで全自動のDEEBOT X1 TURBOがすごい

ECOVACS「DEEBOT X1 TURBO」

数ある生活家電のなかでも、ロボット掃除機は最も進化の著しいジャンルかもしれない。数年前に水拭きがトレンドの1つになってからさまざまな対応機種が登場したが、エコバックス(ECOVACS)から新発売となる拭き掃除・ゴミ吸引両対応の「DEEBOT(ディーボット) X1 TURBO」は、これまでの拭き掃除対応機から飛躍的ともいえる進化を果たした。

一言でいうと「ぞうきん掛けのDX(デジタルトランスフォーメーション)」を可能にした1台となっているのだ。いったいどんな風に進化しているのか、実際に使ってみたので紹介したい。

おしゃれなモノトーンデザイン、水拭きとゴミ吸引性能にも妥協なし

おそらくみなさん最初に目がいくのが、本体と充電用のステーションの外観だろう。ロボット掃除機のデザインは比較的メーカーそれぞれの“色”が出がちだが、「DEEBOT X1 TURBO」は落ち着きのあるシルバーとグレーを基調に、装飾を極力省いた、シックでシンプルな見た目だ。

これは、モノトーンをコンセプトとする世界的なデザインオフィス、ヤコブ・イェンセン・デザインが手がけたもの。デンマーク出身のインダストリアルデザイナー、ヤコブ・イェンセンのDNAを受け継ぐ高級感ある北欧テイストに加えて、DEEBOT X1 TURBOの先進性をもイメージさせるたたずまいだ。

DEEBOT X1 TURBO本体
充電ステーション

このデザインから、機能や性能の高さにも否応なしに期待してしまう。というわけで、機能面で真っ先にとり上げたいのが、なんといっても強化された水拭き機能。単純に水分を含んだ平らな布で床を拭ける、というものではない。毛足が長めの円形モップ2つを同時装着し、それぞれ圧力をかけながら毎分180回転させて床を拭き上げる仕組みの「OZMO Turbo2.0」を採用した。もちろんモップには水分が自動で供給される。

既存の多くの水拭き対応機のように、本体の水タンクに手動で給水する必要はない。ステーション側の大容量タンクに水を補充しておけば、掃除開始前に自動で本体側に給水される。給水が終われば、自走してゴミを吸引しつつ、2つのモップで水拭きしていく。

掃除が完了すると、自動でステーションに戻って充電を開始するとともに、なんと拭き終わって汚れたモップの洗浄がスタート。洗浄によって汚れた水はステーション側の排水用タンクに吸い上げられる。その後、モップの冷風乾燥が自動で始まる。

底面に円形のモップを2つ備える
ステーションには2つのタンクが内蔵
右側の給水用タンクに水を入れておく。掃除終了後には左側の排水用タンクに本体から汚れた水が吸い上げられる
2つのタンクの間にはステーションの清掃用具と予備のモップが用意

人間がすべき後始末は、タンクが一杯になったときにその汚れた水を捨てるだけ。給水・排水用タンクはどちらも実測5L近くもの容量があるので、掃除のたびに給水する手間はないし、汚れた水も毎回捨てる必要はない。モップは人間が何もしなくても常に清潔な状態が保たれ、DEEBOT X1 TURBOがもつ本来の水拭き性能を常に最大限に発揮できる、といいことずくめだ。

一方、通常のゴミ吸引の機能も、最大5,000Paとパワフルな吸引力をもつ。日本メーカー(日本電産)製の高性能モーターによって実現しているとのことで、水拭きもゴミ吸引も、妥協のないスペックを誇っているといえるだろう。そして、その高い基本性能を活かすロボット掃除機ならではのAI技術もさらに進化している。

前方に備える2つのブラシでゴミをかき集め、中央のローラー部分で吸い込む

本体のカメラやセンサーで得た情報を、本体がもつAIによって分析し、障害物を検知・回避しながら効率的に掃除していく……というのは従来のDEEBOTシリーズと同様。ただ、今回のDEEBOT X1 TURBOはさらに高度な処理を可能にする「AIVI 3D」という技術が新たに採用された「AIVI 3D障害物検出・回避システム」に進化した。3次元で周囲の環境を認識し、より高精度な分析とスマートな床掃除を行なえるようだ。

他にも、独自の音声認識技術によってスマートスピーカーなしで音声操作を可能にする機能、専用スマートフォンアプリでDEEBOT X1 TURBOを遠隔操作し、本体のカメラを使って自宅の見守りをできるようにする機能など、ただのロボット掃除機に留まらない利便性をも追求している。新機能がまさに目白押しといった感じだが、実際の使い勝手は果たしてどんなものか、いよいよ試していきたい。

本体正面のカメラとセンサー類。カメラは障害物を見分けるだけでなく、見守りカメラとしても使える

本当にぞうきん掛け代わりになる!

メーカーからお借りしたDEEBOT X1 TURBOを筆者宅の寝室に設置してみた。給水用タンクと排水用タンクの2つを内蔵する充電ステーションは両手で抱えるほどの大きさで、室内だとなかなかの存在感。最初、目立ちやすいのはDEEBOT X1 TURBOのデザインと筆者宅の内装がマッチしていなかったせいかもとも思ったが、しばらく眺めていると、これはこれでカッコいいからアリだな、という気持ちになる。オーディオ機器のような所有感を高めてくれるオーラをまとっているようだ。

筆者宅の2階フロアの隅にある寝室に設置してみた

セットアップは、本体側は底面にブラシ2つとモップ2つを取り付けるだけ。ステーションの方は電源ケーブルを1本つなぎ、給水用タンクの方にだけ水を入れる。あとは専用アプリ「ECOVACS HOME」で製品を追加し、Wi-Fi設定をすればすぐに使い始められる。最初の準備に必要な作業量としては、従来の拭き掃除対応のDEEBOTシリーズと大差ないだろう。

「ECOVACS HOME」アプリで製品を選択する
画面の指示に従ってWi-Fi設定して完了

掃除のスタート時は、1分程度の待ち時間が発生する。これは、水拭きする場合、最初にステーション側から本体側に給水する作業などが加わるためだ。水拭きせずゴミ吸引だけを実行するときは待ち時間は不要。その場合は底面のモップ2つを事前に取り外しておけばいい。マグネット式なので軽い力で脱着可能だ。

ただ、そもそもロボット掃除機は、普段はあらかじめ指定したスケジュールに沿って実行することがほとんどだと思うので、スタートの待ち時間が気になることはまずないだろう。なお、待ち時間中はやや低めのうなり音が発生し、日中であればさほど気にならない。赤ちゃんと同じ部屋に置くのは避けたいかな、というくらいのレベルだ。

アプリから「スマート清掃」をタップして掃除の設定・実行画面へ。吸引の強さや水拭き時の水量などを必要に応じてカスタマイズし、掃除を実行する
1分程度で給水などが完了。ステーションから発進!

そんなわけで本体側の準備が完了すれば動き出し、周囲の障害物などを検知しながら掃除をしていく。で、ここで感動したのが、水拭きの「ちょうど良さ」だ。従来の水拭き対応機種では、水分量を調整できる場合も多いが、それでも噴き出す水の量が多かったり、モップが水分を含みすぎていたりして、ロボット掃除機が通過した後の床がじっとり濡れてなんとなく不快、という問題が少なからずあった。たしかにその方がしっかり水拭きしている感があるし、仕上がりに不満を感じることもないのだけれど、拭き掃除直後はあまり歩きたくないかも、と感じていたのも事実。

モップが回転しながらフローリングの床を拭き上げていく

ところがDEEBOT X1 TURBOでは、水拭き跡があまり目立たないさりげない感じで、それでいて床に触れるとしっとりしており、きちんと拭き掃除されていることがわかる。水量をアプリから3段階で調整することもできるが、多めの設定にしても床がびっしょり濡れてしまうようなことはなく、数十秒もすれば自然に乾くくらいのレベルだ。実にさっぱりとした、気持ちのいい拭き上がり。

渦巻き状の水拭きの跡がうっすら残っている。が、びっしょり濡れるような感じにはならず「さっぱり気持ちいい」拭き上がり

しかも、モップを押しつけて一方向に拭くのではなく、回転させて拭くタイプなので、一度の通過で汚れがより効果的に取れているようにも感じる。その証拠に、ステーションに帰還後、排水用タンクに吸い上げられた水を見てみると、手でぞうきん掛けしてバケツに汲んだ水で洗ったときと全く同じような汚れ方……。「これぞまさしく本当のぞうきん掛けだな」と思わずつぶやいてしまった。

ステーションに帰還後、吸い上げられた汚れた水(左)。たしかに手でぞうきん掛けしているときのバケツの水って、こんなだったなあ、と思う

ステーションに戻った後のモップの自動洗浄と排水用タンクへの汲み上げも、だいたい1分程度で完了。その後はモップの冷風乾燥が自動で始まる。モップを濡れたままにしておくと、いくら洗浄されているとはいえ雑菌やニオイが繁殖しやすそうだから、その場で乾燥までこなしてくれるのはありがたい。

水拭きだけでなく、ゴミ吸引のパワフルさも最初の1回目で即実感した。吸引力の設定は初期設定の「標準」だったが、おそらくは家具の下や隙間に隠れていた、子供たちが遊んで散らかしたままだった爪楊枝や輪ゴムなど、吸引力の弱い掃除機ではちょっと苦戦しそうなゴミもしっかり吸い込んでいたのだ。

ちなみに、吸引したゴミは本体側のダストボックスに格納されるため、ある程度溜まった頃合いを見計らって取り出し、ゴミ箱に捨てる作業をする。充電ステーション側にゴミを吸い出してストックする機能はないため、このゴミ捨て作業は一般的なロボット掃除機と同様だ。

本体カバーを開けたところにあるダストボックス
大きめのゴミもしっかり吸い込んでいた

3Dマッピング機能が面白いうえに便利!

ところで、今回アプリ側の機能では、部屋の間取りを自動認識して作り上げるマッピング機能がちょっと面白い感じに進化している。まず、既存機種にもある、最初に掃除せず自走だけする「クイックマッピング」が一段と高速化、高精度化されているように感じる。障害物があってたどり着けない先の空間までしっかり見通して、わずか数分でアプリ上に筆者宅の2階部分の間取りをかなり正確に再現してくれた。

最初は「クイックマッピング」で自走だけさせる。その後、たった数分間で間取りをほぼ正確に把握した

部屋ごとの色分け表示も、境界の判定が少し斜めになることはあったが、おおむね間違いはない。その後は部屋単位や指定エリア、指定スポットの掃除も実行できるようになる。実際の掃除の様子や、間取り図に表示される掃除の軌跡を見ている限りは、障害物を巧みに避けながらも本体が入り込めるギリギリのところまで清掃し、かつ汚れの多そうな箇所は念入りに往復している印象。このあたりは相変わらずの精度の高さだ。掃除中は、床にあるケーブル類も賢く避けて掃除してくれていた。

部屋には名前を付けておくのがおすすめ。こうすると部屋ごとの掃除の指示が後々しやすくなる
椅子の脚の間なんかもギリギリまで攻めながら掃除してくれる
もちろん階段など大きな段差も認識するので落下することもない
ケーブル類も認識して避ける

加えて今回、新たに3Dグラフィックで室内の間取りを簡易に立体表示する機能も加わり、従来の平面的な2D画像の間取り図より直感的にわかりやすくなっているのも面白い。

間取り図の右上にある「3D」アイコンをタップすると、3Dグラフィックの間取り図が表示される

この3Dマップでは、実際の室内の状況に合わせて家具などのオブジェクトを手動で配置することで、家具そのものを指定して周辺や真下の掃除を指示できる。たとえば、最初にダイニングテーブル付近の椅子を片付けないまま掃除を実行してしまったけれど、後から椅子をどかしたので追加で掃除したい、というようなときに、効率よくきれいに掃除できるわけだ。

視点を自由に変更可能
実際の室内の状況に合わせて家具を配置。その家具を選び、その付近や真下の掃除を手早く指示できる

独自のボイスアシスタント機能で、設定も操作の手間も激減

追加で紹介したいのが、DEEBOT X1 TURBOに搭載された新たな機能、独自のボイスアシスタント機能だ。これまで、他のスマートスピーカーと連携し、スマートスピーカーに話しかけることでロボット掃除機の動作を音声で指示できるという機種もあったが、DEEBOT X1 TURBOではその連携設定すら不要となり、本体に直接話しかけて操作できるようになっている。

独自のボイスアシスタント機能も搭載している

ボイスアシスタントの名前は「YIKO(イコ)」と呼ぶ。なので、音声操作したいときは「オーケー、イコ、掃除して」といった感じで命令する。音声操作の種類は実用的なパターンを多数備えており、たとえば「掃除して」といえば室内全体の掃除を始め、「キッチンを掃除して」といえばキッチンに設定した部屋の掃除だけをしてくれる。掃除中に別のエリアを掃除する指示を出しても、すぐに言うことを聞いて新たな掃除エリアに向かってくれる。実にけなげだ。

また、「モップを清掃して」や「モップを乾燥して」といえばベースステーションに戻ってモップをきれいにしてくれるし、「消耗品の期限は?」と聞けば、モップやブラシの合計使用時間をもとに、メッセージで状況を伝えてくれる。今回はそこまでの長期間試すことはできなかったため、「コンポーネントの状況は良好で、整備の必要はありません」という答えが返ってきた。

製品によっては手間のかかることがあるスマートスピーカーとの連携設定が不要で、すぐに使えるのもうれしい。何よりスマートスピーカーの位置を気にすることがなくなったことで、音声操作の利便性が格段に上がっている。日常で使うほとんどの操作が音声でカバーできてしまい、アプリ起動の手間さえ激減してしまう。「イコ」だけに、とても「いい子」なDEEBOT X1 TURBOなのだ。

各種消耗品の使用可能時間などの情報はアプリからも見られるが、やっぱり直接イコに聞いた方が早い

もう1つ、掃除とは別に搭載された見守りカメラ機能も便利だ。アプリで「ビデオマネージャーに入る」をタップすると、本体前面のカメラで捉えた映像を表示し、画面左下のパッドなどを操作することで本体を移動させて室内をくまなくチェックできる。用途としては、留守中のペットの様子を見たり、仕事で遠方にいるときに家族の姿を見たり、ということが考えられる。

「ビデオマネージャーに入る」ボタンをタップする
直接操作したり自動巡回させたりしながらカメラが捉えた室内の映像を、離れた場所からでも確認できる

最近では安価な家庭用監視カメラも登場しているけれど、それらは部屋全体を映すような定点カメラとしての使い方が基本になる。視界の範囲外や物陰に隠れてしまっているものは確認できないのが弱点だ。

対してDEEBOT X1 TURBOは、定点的には使いにくいものの、見たい物のすぐ近くまで自走していき、じっくり観察できる、というメリットがある。定点カメラを持っている人も、DEEBOT X1 TURBOのカメラと両方をうまく併用すると良さそうだ。

もうぞうきん掛けは不要! フローリングメインの家に間違いなくベストチョイス

デザインは先ほど説明した通り、いい意味で“ロボット掃除機らしくない”見た目で、所有感を満たしてくれる。水拭き機能は従来にない強力さを備えると同時に大幅な省力化も可能にしていて、間違いなく現時点でトップクラスの性能・利便性だ。ダストボックス容量は一般的なサイズで、どちらかといえばフローリングメインの室内向けだと思ったが、ゴミ吸引の性能自体は頼りがいがあるものなので、その点も不満に感じることはない。なお、カーペットや畳にも使用でき、カーペットなどにのると自動で吸引力をアップさせる機能も付いている。

実売価格が約15万円とそれなりにインパクトのある金額とはいえ、スマホを操作しなくても気軽に掃除を実行できる音声認識機能、さらに見守りカメラ機能まで備えていることを考えると、妥当なところと思える。それだけでなく、DEEBOT X1 TURBOは通常の1年間保証期間からさらに1年間延長し、計2年間のメーカー保証付き。長く安心して使えることも、ロボット掃除機に大事なポイントだ。

なんといっても抜群の水拭き性能は一度体験すると「もう手でぞうきん掛けはしなくていいな!」と自信をもっていえるほど。もはや「ぞうきん掛けのDX」といってもいいかもしれない。特に床にものをこぼしやすいお子さんのいる家庭にとっても、「DEEBOT X1 TURBO」は間違いのない選択になるはずだ。

(協力:エコバックス)