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掃除がくつろぎの時間に。コスパが驚きの自動ゴミ収集ロボット掃除機DEEBOT N8+を使った

エコバックス「DEEBOT N8+」をレビュー

2020年から始まったコロナ禍の影響で、世の中のロボット掃除機に対する見方が大きく変わったように思う。これまでのロボット掃除機は、留守中に自動で動いて勝手に掃除して完了、というのが売りになってきたものだが、いない間にいろんなものを倒したり、そもそもちゃんと掃除できているのかわからないので、思い切れなかった人も多かったのではないだろうか。

しかし多くの家庭で在宅時間が伸びた結果、それだけ部屋は汚れていくし、掃除をする機会も増える。それならロボットに任せても、なにかあったらそばにいるので対処できる。筆者宅もそうなのだが、留守中ではなく、家にいるからこそロボット掃除機を安心して使える、という考え方に変わってきたように思う。

実際ロボット掃除機市場は非常に盛況で、現在国内で入手可能な現行モデルは100近くある。メーカーも老舗から一般家電メーカー、ベンチャーまで様々だ。その中でも「エコバックス(ECOVACS)」は、家庭用ロボットメーカーとして中国で1998年創業、2006年にロボット掃除機参入と、このジャンルでは十分老舗メーカーに入る。日本では床掃除ロボットより先に、窓拭きロボット「Winbot」のほうで知られたようだ。現在世界52の国と地域で、ロボット掃除機の累計販売台数No.1ブランドでもある。

そんなエコバックスの床掃除用ロボット「DEEBOT」シリーズの最新モデルかつAmazon専売モデルが、今回取り上げる「DEEBOT N8+」だ。価格は74,800円。エコバックスでは、末尾に「+」が付くと、充電ホームが自動ゴミ収集スタンド付属モデルとなる。多くのゴミ収集スタンド付属モデルが10万円を超える中、7万円台はかなりリーズナブルだ。

7万円台で買える自動ゴミ収集スタンド付属モデル「DEEBOT N8+」

ボディはツインサイドブラシの中央吸い込み型で、吸い込み口の前にメインブラシがあるという構造。吸引力は2,300Paで、十分な性能を備えている。隅々まで徹底的に清掃して、床やカーペットからほこりもペットの毛も取り除けるとのことだ。

本体の色は正面のセンサー部と背面の給水タンク部を除けば、すべてホワイトで統一された。今回さらに自動ゴミ収集スタンドも同一カラーで統一されており、リビングに設置しても重たい印象がない。

ホワイトを基調とした清潔感のあるデザイン

なお本機には自動マッピング機能があり、最初の清掃で部屋のマップを作成し、次回からさらに効率的に掃除してくれる。このマッピング機能には、測量機器や車の自動運転に使われて話題になっている「D-ToF(Direct-Time of Flight)」が採用されている。ロボット掃除機に「D-ToF」を搭載したのは、エコバックスが最初である。

これはレーザーパルスを周囲に照射して、壁から反射してくるまでの遅延時間を測定して距離を算出する方法だ。屋外と違って、室内の場合は対象物までの距離が短く、ナノ秒~ピコ秒という単位を測定することになる。1ピコ秒なんて1兆分の1秒しかないわけだが、その精度で遅延を測定し、部屋の形状をマッピングしていく。

天面に出っ張った部分がレーザー照射ユニット

また底面後部には水拭き用のモップパッドも装着できる。フローリングの床に対しては、吸引による掃除と水拭きによる掃除が同時にできるわけだ。加えて自動ゴミ収集スタンド付きで、本体内のダストボックスのゴミ捨ても不要になる。

背面に水タンクをセット
クリーニングモップは繰り返し使用タイプ(上)と使い捨てタイプ(下)の2種類が同梱
この自動ゴミ収集スタンドがポイント

行き当たりばったりで動いて帰ってくる、昔買った古いロボット掃除機を使い続けている筆者からすれば、この価格でここまでの機能搭載は、驚異的なコスパである。

マッピング機能がスゴい

実際に使い始めるまでの初期設定を説明しよう。専用アプリ「ECOVACS HOME」を使って、家庭内のWi-Fi経由で掃除機と接続していく。DEEBOTは2.4GHzのWi-Fiのみ対応しているので、アクセスポイントは11b/g/nのポイントを指定する必要がある。言語設定はデフォルトでは英語になっているが、アプリで日本語に変更可能だ。

専用アプリ「ECOVACS HOME」
「日本語」に設定すると、本体のアナウンスも日本語になる

では早速、最初の清掃をスタートさせてみる。このとき、清掃しながら部屋のマップを作成してくれる。マッピング前には部屋の形状が把握しやすいよう、床にある小物やケーブル類は片付けておこう。

D-ToFによるレーザーパルスはいっぺんに何発も打っているようで、ロボットが向いた方向に対しておおまかな部屋の形状がパッと現れる。あとは掃除しつつ、細かいところを完成させていく。

まだこれだけしか動いていないのに、すでに大まかな部屋の形を把握

動作スピードとしては、一般的なロボット掃除機と変わりない。ただ前方のセンサーが優秀で、物や壁にガツガツぶつかる感じはなく、ソフトに接触して後退や方向転換をする。

このセンサーがお粗末なモデルだと、黒い物や照明が点いていない暗い部屋の時に障害物が検知できず、全力でぶつかっていってびっくりする事がある。本機は暗い部屋でも問題なく障害物が検知できるようだ。ただ当たってみて、バンパーが押し込まれない程度の軽い物はどんどん押していく傾向があるので、ペットの餌入れやバスマットなどは事前に片付けておいた方がいいだろう。

前方センサーと衝突防止バンパーの精度が高い

車輪が大きく駆動力があるので、2cm未満のカーペットの段差ぐらいなら簡単に乗り越えた。また自分がカーペットの上にいることをセンシングすると、吸引力を上げて掃除してくれる。動作音はトーンが低いので、うるさい感じはない。我が家のネコも逃げ出さずに様子をうかがう程度の音だった。

我が家のネコも余裕の対応

一方で薄手のラグのような敷物は苦手のようだ。サイドブラシがラグの下に入り込んでラグを巻き込んでしまうので、先へ進めなくなる事があった。そこで、マップが完成したら、その部分を掃除させないようにする「バーチャルウォール」を設定するといいだろう。

マップ完成後は、バーチャルウォールやモップ禁止ゾーンが設定できる

水拭きできて効果大。声でもスマートに動作

ボディの高さは93cmと薄型なので、ソファの下やキッチンワゴンの下なども入り込んで綺麗にしてくれる。筆者宅はシンクにキッチンワゴンをL字型にくっつけてカウンターキッチンっぽく使っているため、人はまっすぐ進めないのだが、DEEBOTのマップ上では「脚」しかないことになっているのでどんどん行く。人間とは目線の高さが違うわけである。

背が低いので、キッチンワゴンの下もどんどん行く

水拭きの性能もチェックした。1台で吸引と水拭きが同時に行なえる「オズモモップシステム」を採用しており、床をよりキレイにしてくれる。同社によれば、床面に付着している細菌も99.26%除去するという(衛生微生物研究センターの除菌力評価試験結果に基づく)。

底部タンクに水を入れ、クリーニングモップを取り付けると、水拭きモードになる。日本の家もフローリングが増えているが、水拭きするとやはり裸足での気持ちよさが違う。

水を噴射してから拭き取るのではなく、絞ったぞうきんで拭き掃除する感じだ。使用後のモップを見ると、これまで吸引掃除だけでは綺麗になっていなかったのがよくわかる。

新品(上)と1回掃除したモップ。水拭きの効果は絶大

掃除の開始はアプリからも行なえるが、スマートスピーカーとの連動機能も備えている。Amazon Echoの場合だと、要するにエコバックス提供のスキルを動作させるだけなのだが、それだけでは「アレクサ、ディーボットを使って掃除して」と言わなければならない。まあそれだけなら頑張って覚える事もできるが、ホームへ戻す呪文が「アレクサ、ディーボットを使ってホームベースに戻して」と結構長い。これがEchoのルールだとはいえ、これを一字一句間違えずに唱えるのは結構難しい。

Amazon Echoなどのスマートスピーカーと連携

そうした中で、最近Echoがアップデートして、定形アクションで「カスタム」機能が使えるようになった。これは簡単なキーワードを言えば、フルコマンドをアレクサが代わりに出してくれるという機能だ。従って我が家では、「アレクサ、掃除して」だけでDEEBOTが出動する。ホームへ戻すときも、「アレクサ、掃除機を戻して」だけだ。これは超ラクチンなので、ぜひ活用していただきたい機能だ。

「カスタム」機能でボイスコマンドを短縮

ゴミ捨ての手間が減る自動収集機能。手入れもわかりやすい

一定の掃除が終わると、自動的にホームへ帰還し、自動ゴミ収集スタンドからの吸引が始まる。このときはキャニスター型掃除機ぐらいの音がした。ただ15秒ぐらいで吸い終わるので、感覚としては一瞬である。

こうした収集スタンドがないモデルの場合は、毎回掃除が終わったら本体のダストボックスを取り出してゴミを捨てないといけないのだが、中が紙パックのようになっているわけではないので、ひっくり返して出てこないゴミは手で引っ張り出すことになる。手は汚れるし、ゴミ箱の上で捨てても周りにバラバラと細かい物が飛び散ったりして、結局周りをもう一回掃除し直しになったりするのが面倒だった。

本体のダストボックスはハンドル付きで取り出しやすい

一方こうした収集スタンド付きモデルでは、定期的なゴミ捨ては月に1回程度で済むという。しかもスタンド内のダストボックスは紙パックなので、ゴミ捨て時に手が汚れる不愉快さがない。その点では、ロボット掃除機とキャニスター型掃除機のいいとこどりをした仕組みだといえる。

収集スタンドの中身は紙パック

さらにすごいのが、この紙パックの作りだ。集塵口の厚紙の部分がハンドルになっているのだが、ここを引っ張り出すと集塵口にフタがされる仕掛けだ。これは交換時に細かいゴミが飛び散らないだけでなく、中のグロいゴミを直視しなくて済む。これはナイスな工夫だ。

紙パックは根元がハンドルになっており、これを引き抜くと集塵口にフタがされる仕組み

とはいえ、本体や収集スタンドのメンテナンス性も気になるところだ。掃除機を掃除するというのも変な話だが、快適に動かし続けるには仕組みをきちんと理解してメンテナンスできるようになっておくほうが安心だ。

メンテナンスの方法は、同梱のマニュアルに詳しく書いてある。フィルターの掃除方法からブラシに絡まった髪の毛の取り方、収集スタンド側のダスト排出チューブカバーの外し方まで図解で手順まで書いてあるので、わかりやすい。また定期的なメンテナンスのスケジュールも一覧になっている。

メンテナンスの方法まできちんとマニュアルに書いてある
メインブラシの取り外しも簡単
ダスト排出チューブは透明のカバーで覆われているので、物が詰まったらすぐわかる

もし何か修理が必要な状況になっても、宮城県にあるサポートセンターで面倒を見てくれる。電話で日本語対応なので、末永く安心して使えるのもメリットだ。

「掃除の時間がない」悩みから解放。初めてのロボット掃除機にも

ロボット掃除機は実際に使ってみるまで、その有用性が理解されない製品だ。自分で掃除するから大丈夫という人も多いが、人間の掃除では目に付くホコリや汚れしか掃除できない。一方ロボットは汚れが見える見えないに関係なく入念に掃除してくれるので、想像以上にゴミを吸い上げているのがわかる。特にペットの抜け毛などは細くて人の目に付かないが、1回の掃除で驚くほどの量を吸い上げてくる。

低価格なロボット掃除機はいくつかの動きのパターンを繰り返しつつ、ぶつかったら方向転換して次へ進むだけなので、時間効率が悪い。一方で本機のように部屋のマップを作って、行けないところを事前に理解している製品は、短時間で清掃が完了するのが魅力だ。また本機は複数のフロアマップを参照できるので、1階と2階それぞれにフロアマップを作って掃除することも可能だ。

これだけの機能を有しながら、収集スタンド付きで7万円台を実現したDEEBOT N8+は、未だロボット掃除機を使ったことがないという方や、これまでの低価格モデルでは満足できなかった方にお勧めしたい1台だ。特に毎日のゴミ捨ての面倒から解放されるのは大きい。最初からこのモデルでロボット掃除機デビューできる方は、実にラッキーだ。

「掃除タイム」が「くつろぎタイム」に変わる

家にいても毎日掃除してるヒマがない、フローリングの拭き掃除まで手が回らないというのは誰でも抱える悩みである。その悩みをこれからずっと解決してくれるのが、DEEBOT N8+というわけだ。

(協力:エコバックス)