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乾電池エボルタ600本を動力源とした手作り車両が、ギネス達成!
(2015/11/4 15:34)
パナソニックは、乾電池「エボルタ」の長持ち、パワーの実証として、単一形乾電池「エボルタ」を動力とした鉄道車両で、世界最長距離を走行するギネス世界記録に挑戦。11月3日に、由利高原鉄道の秋田県にある鳥海山ろく線、前郷駅〜矢島駅〜前郷駅間の22.615kmを走破。ギネス世界記録を達成した。
今回チャレンジしたのは、単一形乾電池「エボルタ」600本を動力源とした車両。車両サイズは1,500×4,100×2,900mm(幅×長さ×高さ)で、車両重量は約1.1t。最高時速が約14.4km、平均時速は約8.8kmという仕様。
なお、達成したギネス世界記録の主なルールは下記の5点
1 市販の乾電池のみで車両を動かすこと
2 車両だけで700kg以上を要すること
3 挑戦中、車両を修理してはいけない
4 「上り坂」方面でスタートすること
5 距離20km以上のレールを走り切ること
同車両は、埼玉県立川越工業高校の電気科「電車班」に所属する13名の生徒が、車両の設計から製作までを行なった。同じく車両外観は、同校「デザイン科」の生徒が「進み続けるチカラ」をコンセプトにデザインしたもの。
9月末のテストでは、搭載するエボルタを900本で検証していたが、ギリギリまで検討した結果、ギネス挑戦の当日に600本でチャレンジするということになったという。
パナソニック広報の中和田氏によれば「600本での全工程走行は経験したことがなく、学生にとってはチャレンジングな本数」だったという。さらに搭載乾電池の本数を変更することが伝えられた時には「生徒の間では、本当ですか……と、かなり真剣(深刻?)に受け止めていました。でも生徒たちは、今までのみんなの努力を信じればきっと良いことが起こる、と信じて本番に臨んでいた」という。
12時32分に、車両は鳥海山ろく線の前郷駅をスタート。乾電池を600本に減らしたことが影響したのか、往路は若干予定より遅れての走行となった。
車両内では、「今○km、今○km、次のカーブは○パーミル、想定到着は○時」と息のあった掛け声が交わされ、停車駅では、乗車していないメンバーが「ここが停車位置!」と大きな声で合図するなど、電車班の学生のチームワークを感じました。やや不安げだった往路から一転、復路では「ニコニコ生中継」の質問に応えるような余裕も。それでもゴールを間近にした車内では、感動の余り涙を見せるメンバーもいた。
そして14時59分ごろに、ゴールである前郷駅に到着。前述の中和田氏によれば、運行していた生徒に、不安になることはあったか? と聞いても、「ずっと速度が出ていた(機器が快調に動いていた)ので、電池のパワーが感じられて不安はなかった」という。また、ゴール後に高校生らしく喜びを爆発させ、雄たけびをあげながら「やったぜ」「いえーい」とハイタッチするシーンも見られたという。「この高校に入って、世界記録を達成できて、本当に幸せ」と言う姿が印象的だったという。
到着セレモニーでは、ギネス世界記録の公式認定員、グリナズ・ウカソヴァ氏から生徒一人一人に、公式認定証が授与された。
川越工業高校「電車班」班長の槻木澤拓海さんは、「大変なこともたくさんあったけれど、このメンバーで記録を達成できてとても嬉しい」とコメントした。