パナソニック、2010年度は黒字回復。エアコンや冷蔵庫が好調

~新年度は“省/創/蓄エネ”がテーマ

コスト合理化と好調な売上。1千億の赤字から7百億の黒字に

 パナソニックは、2010年度の連結決算を発表。売上高は対前年17.2%増の8兆6,926億円、営業利益は同60.3%増の3,052億円で、増収増益となった。純利益も、前年の1,034億円の赤字から、740億円の黒字に回復した。

 セグメント別の営業利益では、パナソニック電工とパナホームが対前年110%増の730億円と2ケタ増。また、生活家電のアプライアンス部門が40%増の923億円、AV家電を扱うデジタルAVCネットワーク部門が対前年32%増の1,149億円と、好調な部門が多かった。一方で、電池や半導体のデバイス部門は対前年10%減の330億円。また、三洋電機は80億円の営業損失だった。

 売上が好調だった製品は、生活家電ではエアコン、冷蔵庫、コンプレッサー、太陽光発電システム、AV機器はブルーレイディスクレコーダーなど。携帯電話、デジタルカメラ、電池や半導体は減少したという。

 同社では増収の理由について、材料費など経営全般にわたる徹底したコスト合理化、子会社となった三洋電機とその連結子会社の売上が2010年1月から加わったことを挙げている。

 2011年度の見通しについては、東日本大震災の影響を見極めることが困難として、現時点で業績予想は開示していない。震災前の状況に基づく見通しでは、売上高8兆8,000億円、営業利益3,100億円、純利益500億円の予測となっている。


2011年度は「省エネ/創エネ/蓄エネ」が中心。スマホ向けソーラーデバイスも

 2011年度については、まずは震災への対応を優先し、被災地支援の継続と、サプライチェーン(商品の製造から消費者に提供するまでの流れ)の混乱を早期に収拾し、事業復旧の加速を狙う。そのうえで、LEDをはじめとする省エネ機器の普及促進と、創エネ・蓄エネ・エネルギーマネジメントを組み合わせた提案を中心に事業活動を行ない、復興に積極的に貢献するという。

 特にソーラー事業については、国内では東日本大震災の復興に向けて供給に注力し、欧米でも新たなビジネスモデルにも取り組むという。さらに、スマートフォン向けのデバイスにも拡大を図るという。

 また、三洋電機とパナソニック電工を完全子会社化したことによるグループの事業再編については、2012年1月に新事業体制をスタートする予定。新体制では(1)コンシューマ事業分野、(2)デバイス事業分野、(3)ソリューション事業分野という、ビジネスモデル別に3つの事業分野を再編。その下にもドメインを設けることで、グローバル市場で強い競争力を発揮する姿を目指していくという。

 なお、コーポレートブランドとしては、一部を除いて全事業分野で「パナソニック」に一本化するとしている。ただし、数多くあるサブブランド、商品名、技術名称については、グループ全体で整合をとりながら、必要に応じて活用するとしている。





(正藤 慶一)

2011年4月28日 16:43