東京電力、今夏の供給量を最大5,200万kWに積み上げ

~依然として需要には満たず、節電が必至に

 東京電力は15日、今夏の電力供給量について、最大で5,200万kWを供給できる見通しと発表した。

 3月25日の発表では、4,650万kWとしていたが、ガスタービン発電機の設置などで積み上げが可能となったとしている。

 積み上げの内容は、次の3点。
1)ガスタービンなどの緊急設置電源が、7月で20万kW、8月は80万kWのプラス。
2)震災や定期点検で停止している火力発電所の復帰で、110万kWのプラス。
3)揚水発電の活用で400万kWのプラス。

 緊急設置電源は、姉崎火力発電所が4月中に約0.6万kWのディーゼル、袖ヶ浦火力発電所が7月に約11万kWのガスエンジン、千葉火力発電所が8月から順次で来年夏までに合計約100万kWのガスタービンを予定している。

姉崎火力発電所袖ヶ浦火力発電所千葉火力発電所

 


緊急設置電源
設置場所発電機種別定格出力(単位:万kW)運転開始
姉崎火力発電所ディーゼル約0.6(0.14×4台)2011年4月
袖ヶ浦火力発電所ガスエンジン約11(0.11×102台)2011年7月
千葉火力発電所ガスタービン約100(33.4×3台)2011年8月(1台目、2台目)、2012年夏(3台目)

 

 復帰する火力発電所は、鹿島共同火力1/3/4号機と常磐共同火力8/9号機の予定。

 揚水発電については、精査の結果、夜間に水を汲み上げる電力の確保にメドが立ったため、今回追加された。

 しかし、8月には、柏崎刈羽原子力発電所の1号機および7号機が定期点検で停止するため、190万kWのマイナスが発生する。

 以上を加味した7月末の需要想定は、5,500万kWに対し、供給力が5,200万kWで、マイナス300万kW。8月末は需要が5,500万kWに対し、供給力が5,070万kWで、マイナス430万kWと見込んでいる。依然として需要が供給量を上回る状態であり、節電の必要性は変わっていない。

 


今夏の需給見通し(単位:万kW)

7月末8月末【参考】7月末(3月25日時点の想定)
需要(1日の最大)5,5005,5005,500
供給力5,2005,0704,650
予備力マイナス300マイナス430マイナス850

 

 また、この需要は平年並みの気温想定だが、猛暑だった昨年は7月23日に5,999万kWの需要が発生している。夏期の気温が上昇した場合は、さらに需給の差が広がることになる。






(伊達 浩二)

2011年4月15日 19:53