ぷーこの家電日記

第613回

春の人事異動。あの美味しい野菜も昇格!

とうとう4月が始まった。春から新しいことを始める人や新しい環境で生活がスタートする人も多いと思うけれど、新生活には期待と不安がつきものだし、自分が思っている以上にストレスがかかって疲れやすいものだ。

代わり映えも何一つない4月を迎えた私には、あのちょっとした寂しさや緊張を抱えて始まる新たな生活というものが少し懐かしくも羨ましくもあるのだけど、あまり無理しすぎて5月6月にバテないように、ちょっと力を抜いて楽しんでほしいなぁと思うのです。

4月に入り本当に春爛漫って感じ。先週末の花見では、満開に近いエリアもあったけれど、まだまだこれからという場所も多かった。今週末も見頃だろうなぁと思うけれど、あいにく天気は悪そう。もし晴れ間が出たら花見にも畑にも行きたいなぁ。私の畑も春爛漫で、菜の花が咲き乱れている(笑)。

菜の花はアブラナ科の野菜に咲く花全てを指すので、アブラナ科の白菜、キャベツ、大根、ブロッコリー、小松菜にルッコラ、収穫されなかった冬野菜がほぼ菜の花となって咲きまくっているのだ(笑)。菜の花として売られているのは「ナバナ」という菜の花専用品種なのだけど、私は白菜の菜の花が1番美味しくて好きだ。他のアブラナ科の野菜の花ももちろん食べられる。

多くの冬野菜がアブラナ科に属しているけれど、そのアブラナ科の美味しい野菜、ブロッコリーが4月1日、農林水産省の定める特定野菜から指定野菜に昇進したのであります。新しい野菜が指定野菜のポストに就いたのは実に52年ぶり!

ブロッコリー含めて流通量が多い野菜15品目が指定野菜となっていて、指定野菜は国が安定した栽培・供給を支援してくれる。消費者側にも年中安定した価格で手に入れやすいというメリットがある。みんなの推し野菜が国の推し野菜になったみたいで、野菜好きな私はなんだか嬉しい気持ちになっている。おめでとうが合っているか分からないけれど、「ブロッコリーおめでとう!」

そんな野菜好きな私が野菜を好きでたまらなくなった理由は味ではなく「可愛い」「綺麗」「面白い」からである(笑)。好き嫌いは元々さほどないので、食べられないとか嫌いというより興味のないものだった。「食べたい」というより「体のために食べなければいけないもの」であり、日々の生活で食べるときはあくまでも“こなす”感じで、食べていた。

でも、13年前の冬に家庭用の水耕栽培機が発売された時に「何これ面白い!」と衝動買いをして(実際は衝動でうずうずしている私に夫がクリスマスプレゼントとして買ってきてくれた)、家の中で焼肉レタスを栽培すると、小さな小さな点みたいな種がバッサバサに茂ってレタスになったのにめっちゃくちゃ感動した。

「水と光と養分でこんなに……」と、水耕栽培機だけじゃなくて、ペットボトルを切り抜いて簡易水耕栽培機を作ったり、100均のゴミ箱やザルを見つけては「これは使えそう」と工作してみたりして、ベランダいっぱいに水耕栽培の野菜が並ぶようになった。

寒い時期に部屋でも育てられるようにと、LEDライトを買い、電源タイマーを買い、衣装ケースを改造して育苗器を作ってみたり、どんどんエスカレートしていく栽培熱。それと同時に育てる野菜の種を選んでいるうちに「こんなに種類があるの!?」と品種というものにどんどん興味が広がっていった。

スーパーでは見たこともない品種や、カラフルで可愛い品種。ネーミングセンス抜群だな! と思って笑っちゃう品種に、伝統野菜など昔から変わらず愛されている品種。ファッション雑誌を見ているより、種カタログを見ている方がめちゃくちゃテンションが上がる私。そう、気づけば完全に野菜オタクになっていたのである(笑)。

理屈っぽい私には、野菜栽培という理論的で科学的な遊びはハマりやすい要素が盛りだくさんだった。天候や虫など全然手に負えないものに振り回されたりしつつ、失敗してもやり直せるのは1年後という気の長いスパンも、熱しやすく冷めやすい私には一気に冷めずに逆に良かったのかもしれない。

ベランダでは手狭になったので畑も借りた。猫の額ほどの畑だったけれど、野菜を育てるのも畑で他の人と延々と野菜の話ができるのも楽しかった。野菜の味にハマったのはそのあとしばらくしてから。コロナ禍に産直ECでたくさん買い物をしはじめ、「栽培技術と鮮度で、こんなにも味が違うのか!?」と驚いてのめり込んだ。

今も野菜料理はあまり得意ではないし、レパートリーも多くはないけれど、美味しい素材は別に何もしなくても十分美味しい。もう少し体系的に学びたいと、野菜ソムリエの資格を取りにいったけれど、座学の範囲は栽培だけじゃなくて、流通や栄養学に調理など幅広く、めちゃくちゃ楽しかったしタメになった。

その中で「へー、面白い」と結構印象に残っているのが、冒頭に書いた指定野菜と特定野菜、産地リレーの話である。

日本の南北に長い地形を活かして、各産地がリレー的にバトンタッチして生産出荷していくことで、1年中安定的に国内1億人以上に野菜が行き渡るような感動的で壮大な仕組みが産地リレー。農家さん同士が「次は任せた」とバトンを渡していく全国ワンチームな感じにグッと来るし、買い物している時も「お、今は愛知県産か! あの農家の野菜が入っているかも」なぁんてちょっと人を思い浮かべたりしている。

ただの金額のついた商品だったものが、その先にいる人や畑まで想像しちゃえるようになった楽しさだけで、この資格を取って良かったなぁと思える。そして、お店に行けばいつでも当たり前のように新鮮な野菜が手に入るという、全然当たり前じゃなくてすごいことに、毎度毎度震えるほど嬉しくなるのだ。

半世紀ぶりの指定野菜に昇格したブロッコリー選手。今までより一層安定的に供給されて、私たちの食卓に彩りを添えてくれる機会も増えそうだ。今夜はお祝いに、ブロッコリー農家直伝のブロッコリーチーズガレットでも作って食べようと思っております。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。