パナソニック、“世界初”排熱を暖房エネルギーに利用するエアコン
パナソニックのエアコン「Xシリーズ」 |
パナソニックは、排熱を暖房エネルギーに利用する“世界初”の機構を採用したエアコン「Xシリーズ」を、10月21日より順次発売する。価格はすべてオープンプライス。店頭予想価格は20万円から33万円前後。
●“世界初”の機能、「エネチャージシステム」とは?
排熱を回収し、暖房エネルギーに利用する「エネチャージシステム」 |
同社のエアコンでは最上位モデルに当たるエアコンで、コンプレッサーからの排熱を暖房エネルギーに利用する「エネチャージシステム」を新たに搭載した点が特徴。従来モデルまでは、室外機から発生した熱を大気中に排出していたが、本製品では室外機内部に、コンプレッサーを覆う「蓄熱ユニット」という新装置が熱を蓄え、暖房エネルギーとして有効活用できる仕組みになっている。蓄熱ユニットには、蓄熱をエネルギーに変える「フィンレス熱交換器」、コンプレッサーの温度低下を抑える「蓄熱槽」といった装置が搭載されている。
このエネチャージシステムにより、蓄えた排熱が運転開始時に活用できるため、暖房スタート時の吹き出し温度が向上。従来モデルでは吹き出し温度は23℃程度だったが、本製品では最大で50℃の温風が吹き出せるという。
また、熱交換器に溜まった霜も排熱で溶かせるため、霜取り運転(暖房時、室外機の熱交換器に溜まった霜を取るための運転)時に運転を止めずに、暖房運転が継続できるという。通常のエアコンだと、霜取り運転は約11~12分掛かり、室温は約5~6℃ほど低下するところを、本製品では霜取り運転を5~6分に抑え、室温低下も1~2℃程度になるという。同社ではこれを「ノンストップ暖房」と呼んでいる。
コンプレッサーを覆うように配置される | 室外機のカットモデル(右) | 蓄熱ユニットを上からみたところ。フィンレス蓄熱熱交換器が入っている |
蓄熱をエネルギーに変える「フィンレス蓄熱熱交換器」 | 蓄熱ユニットが蓄えた熱を使うことで、吹き出し時のスタート温度が約50℃と高くなる | 霜取り運転中も、蓄熱が熱交換器の霜を溶かすため、暖房が継続して運転できるという |
エネチャージシステムを搭載した理由について同社では、エアコン暖房のユーザー調査にて、暖房の効き具合に関する満足度は9割と非常に高かった一方で、メイン暖房として使っているのは6割ほどと低かったことを指摘。理由の上位として、霜取り運転による「温風が途中で止まる」「温風になるスピードが遅い」が挙がっていたことから、エネチャージシステムを開発したという。
エアコンユーザーの満足度調査では、温風が止まる、温風になるまでのスピードが遅い、という2つの欠点があった。それを解消するのが「エネチャージシステム」となる | 霜取り運転中。従来品(左)では運転が止まっているが、新製品(右)では、温風が続けて出ている |
エネチャージシステムにより、霜取り運転での温度低下が、約1~2℃で抑えられるという | 部屋を暖房すると、逆に室外機の熱交換器が冷えて霜が付く。これを解消するため、送風を停止し、室外機側を温め、室内機側を冷たくするのが「除霜運転」。エネチャージシステムでは、排熱で霜が取れるため、除霜運転時でも連続して送風できる |
センサー機能では、従来モデルでも搭載されていた「エコナビ」機能を強化。従来から搭載されていた、人や物を見分けて、人がいるエリアを中心に気流を届ける「ひと・ものセンサー」が、左右に動くようになった。これにより、従来は15エリアしか検知できなかったのが、新たに75エリアとなり、より細かい空間まで検知できるようになった。さらに、窓からの日差しの変化を見分けて、能力を抑える「日射センサー」も新たに採用している。
センサーが“首振り”に対応。検知できるエリアの数が増えた | センサー部分。センサーの首を振るモーターが付いている |
写真は、エコナビONの場合の、室内のサーモグラフィ。消費電力は610Wと少ないが、体はちゃんと温まっている | エコナビOFF時。体は温まっているが、エアコン室内機付近がムダに熱を帯びている。また、消費電力も1,350Wと高い。 |
このほか、従来モデルから引き続き、パナソニック独自の除菌・脱臭技術「ナノイー」イオンの放出機能も搭載。除菌・付着臭の脱臭や、美肌/美髪効果のほか、ふとんの乾燥と脱臭にも効果があるという。
室内機のサイズは798×275×295(幅×奥行き×高さ)で、室外機は799×299×619mm(同)。
品番 | 電源 | 冷房能力 | 暖房能力 | 店頭予想価格 | 発売日 |
CS-X221C | 単相100V | 2.2kW | 2.5kW | 20万円前後 | 10月21日 |
CS-X251C | 2.5kW | 2.8kW | 22万円前後 | ||
CS-X281C | 2.8kW | 3.6kW | 24万円前後 | ||
CS-X281C2 | 単相200V | 2.8kW | 3.6kW | ||
CS-X361C | 単相100V | 3.6kW | 4.2kW | 25万円前後 | |
CS-X361C2 | 単相200V | 3.6kW | 4.2kW | ||
CS-X401C | 単相100V | 4.0kW | 5.0kW | 26万円前後 | |
CS-X401C2 | 単相200V | 4.0kW | 5.0kW | ||
CS-X501C2 | 5.0kW | 6.0kW | 29万円前後 | ||
CS-X631C2 | 6.3kW | 7.1kW | 31万円前後 | 11月21日 | |
CS-X711C2 | 7.1kW | 8.5kW | 33万円前後 |
●“エコナビ家電”は1年で400万台を販売。今年度は160機種、中級ゾーンにも拡大
昨年スタートした商品シリーズ「エコナビ」は今年も継続。写真は新エコナビキャラクターのつるの剛士さんと草刈民代さん |
パナソニックでは、昨年9月より開始した、センサー機能とプログラム機能で省エネする家電製品群「エコナビ」シリーズについて、今年も継続して展開すると発表した。
パナソニックのアプライアンス・ウェルネス マーケティング本部 本部長の中島幸男氏は、この1年のエコナビシリーズについて「販売台数は1年で400万台となった」と、好調である点を強調。さらに、エコナビ家電の購入者に対するアンケートでは、約7割が節約効果を実感しており、またエアコン、洗濯乾燥機、冷蔵庫の3カテゴリについては、ほぼ9割が「満足」と回答していると、ユーザーからも評価を受けていることをアピールした。
今後については、商品カテゴリーと購入層を広げる意向。商品カテゴリについては、2009年度は8カテゴリ75機種、2010年度は14カテゴリ160機種に増やし、購入層を広げるために、エコナビモデルをフラッグシップモデルから中級ゾーンへ増やしていくという。中島氏は「家中丸ごとエコナビ家電で、消費電力とCO2を削減していきたい」と、さらなるエコナビ拡大へ意気込んだ。
パナソニック アプライアンス・ウェルネス マーケティング本部 本部長の中島幸男氏 | エコナビ商品は、約400万台の売り上げを達成 | ユーザーの約7割が、省エネ効果を実感しているという |
“エアコンをつけ放しでも、電気料金が従来と変わらない”という感想を述べるユーザーも | エアコン、洗濯乾燥機、冷蔵庫の3カテゴリでは、約9割のユーザーが“満足”と回答している | 今年度は、エコナビの商品カテゴリを増やし、最上位モデルだけでなく中級機にも広げていく予定 |
また、エコナビ商品群の新キャラクターには、劇作家の三谷幸喜さん、女優の草刈民代さん、フリーアナウンサーの進藤晶子さん、俳優のつるの剛士さんの4名を起用する。三谷さんはエアコン、草刈さんは冷蔵庫、進藤さんは洗濯乾燥機、つるのさんは掃除機の広告に登場する。
発表会では、草刈さんとつるのさんの2名が登壇。エコナビのサイクロン式掃除機を家庭で使っているというつるのさんは「今まで使っていた掃除機では、そんなにエコを意識しませんでしたが、使っていない時はパワーを弱めるなど、“こんなとこにまでエコがあるだな”とエコナビ掃除機に教えてもらいました。家電にエコというのを教えてもらっていることがたくさんあるので、人として恥ずかしくなってきますね(笑)」と、エコナビ機能に対する驚きを語った。
また、エコナビの冷蔵庫を使っている草刈さんは「玄米を食べるのに“新鮮凍結”機能(急速冷凍機能)を使っています。冷蔵庫は(掃除機のように)目に見える機能はないのですが、使っていること自体がエコになっているという実感があるので、自分もエコを意識を持って生活しているような気持ちになります」と、使用感を述べた。
エアコンの広告には、劇作家・脚本家の三谷幸喜さんが登場 | 洗濯乾燥機は、フリーアナウンサーの進藤晶子さんが担当する |
(正藤 慶一)
2010年10月4日 19:41