政府、大飯原発3号機の再稼働に伴い西日本の節電目標を引き下げ

~不測の事態に備え、北海道/関西/四国/九州では計画停電を準備

 政府は22日、大飯原子力発電所の再稼働に伴い、西日本の電力会社における節電目標を引き下げることを決めた。現時点では、5月に決定された節電目標を堅持するが、大飯原発3号機の再稼働が安定した段階で、節電目標を引き下げる。

 大飯原発3号機の稼働により、118万kWの出力が増加するほか、揚水型発電所の夜間の組み上げ量が増加するため、ピーク時には約170万kWの増加が見込まれている。

大飯原発3号機が稼働することで約170万kWの電力が増加する(関西電力資料)

 これにより、各電力会社の節電目標を、関西電力では現状の15%から10%へ、中部/北陸電力は5%から4%へ、中国電力は5%から3%へと引き下げる。四国電力(7%)、九州電力(10%)については現状を維持する。なお、東日本については、北海道電力が7%、東京/東北電力については数値目標のない節電という現状を維持する。

 3号機の約3週間後に予定されている4号機の再稼働時には、さらに節電目標を見直す方針だ。

関西電力だけではなく、中部、北陸、中国の各電力会社でも節電目標が引き下げられる

 一方で、北海道、関西、四国、九州の4電力会社については、万一の事態に行なわれる「計画停電」の運用方針が決定した。

 現時点では、計画停電は原則として実施しないことになっているが、気温の急上昇や発電所の事故などにより受給が逼迫した際に、大規模停電を防ぐためのセーフティネットとして準備されている。

 基本方針は次の通り。

1)1回の停電は2時間程度で1日1回。(ただし関西電力では2回の可能性あり)
2)計画停電の日程や、グループ/サブグループなどの地域指定は6月下旬に公開
3)医療機関については特例とする
4)大規模な工場や研究施設などは一定の連続操業が可能な形で計画停電を行なう

 計画停電を行なう手順は、次の通り。

1)電力会社の供給予備率が3%を下回る見通しになった際は、前日の18時をめどに「受給ひっ迫警報」を発令する2)当日9時をめどに「受給ひっ迫警報(続報)」」を発令する
3)計画停電を開始する可能性がある3~4時間前に「緊急速報メール」を出し、節電を要請する
4)供給予備率が1%程度を下回る見通しになった際は、約2時間前に警戒停電の実施を発表する

 これを受け、北海道、関西、四国、九州の4社では、それぞれの地域の計画停電の概要を発表した。

計画停電のグループ分けの例(九州電力)。小さなサブグループに分けることで必要最小限の地域で停電を実施する
計画停電の予定カレンダーの例(九州電力)。特定のサブグループに負荷がかからないようにローテーションも行なう





(伊達 浩二)

2012年6月22日 23:55