エアコンの消費電力は、「日除けの設置」「設定温度+2℃」などで20%削減できる
――ダイキン調査

 ダイキン工業は、エアコンの節電効果に関する実証実験を実施。この結果、窓の外側に日除けを作ったり、エアコンの設定温度を2℃上げるなどの簡単な対策で、約20%の節電効果があると発表した。

 この調査は、エアコンや空気清浄機などの空調機器や、空気に関する疑問や課題を、ダイキン社員自らが実践して解決策を探る社内企画「ダイキン 空気のお悩み調査隊」の一環として実施された。今回は、昨今高まっている家庭の節電ニーズを受けて、「エアコンの節電効果の実証」をテーマに、実証実験が行なわれた。

 実証実験の内容は、(1)同じ温度設定で、日除け、フィルター掃除、室外機の風通しを良くすると、どれだけの節電効果があるか、(2)設定温度を2℃高めにすると、どれだけの節電効果があるか、の2点。大阪市内のマンションの一室を使い、隣り合う6畳の部屋を、片方は“節電対策あり”、もう片方は“節電対策なし”で運転、6時間当たりの消費電力量を比較するというもの。

ダイキンの調査によれば、東日本大震災後の節電意識が全国亭に高まっているというそこで、同社の企画「ダイキン 空気のお悩み調査隊」の一環として、エアコンの節電術についての調査を行なった実験内容は、実験(1)が「日除け、フィルター掃除、室外機の風通しを良くすると、どれだけの節電効果があるか」、実験(2)は「設定温度を2℃高めにすると、どれだけの節電効果があるか」
実験(1)での実証試験。マンション内に「節電術あり/なし」の部屋を設けて、それぞれの消費電力量を比較するというもの実験(1)での“節電術”の内容。「節電術あり」の部屋では、日除け、フィルター掃除、室外機の風通しが良い、という3点の節電術が採用されている

 この結果、(1)の日除け、フィルター掃除、室外機の風通しを良くした場合、エアコンのフィルターにホコリが溜まり、室外機の風通しが悪いケースと比べて、21.8%の節電効果があったという。また、(2)の温度設定を2度高めた場合、通常冷房よりも22.6%節電できたという。

 

実験(1)での実験結果。「節電術あり」の方が、消費電力量が21.8%節電できるという結果に実験(2)では、(1)で実施された節電対策はされていないが、温度設定が18℃と20℃と、2℃の差がつけられている。なお18/20℃ という温度設定は、実験の際の外気温22℃に準じたもの。外気温が30℃で、設定温度を26℃と28℃に設定した場合を想定しているというこの結果、プラス2℃高くしたことで、消費電力量が通常冷房よりも22.6%抑えられた

運転前にすべきことは「窓からの熱を遮断」「使っていない家電をOFFにする」

ダイキン工業 空調生産本部 小型ルームエアコン商品グループ 香川早苗氏

 ダイキン工業 空調生産本部 小型ルームエアコン商品グループ 香川早苗氏は、この実験を踏まえたうえで、エアコンの効果的な節電には「運転前にできること」、「運転時にできること」、「(エアコンを使わずに)もっと涼感を得る工夫」の3点が重要とした。

 まず「運転前にできること」としては、窓からの熱を遮断するために、室内からはカーテンやブラインド、室外からはすだれやよしずを設置することを提起。カーテンだけだと、カーテンと窓の間に“熱だまり”ができてしまうという。

 また、エアコンの送風効率を高めるため、エアコンのフィルターを掃除すること、室外機の回りに空気の流れを邪魔するものを置かないことを呼びかけた。

 「室外機は空気の温度がすずしいほど、電気代が節約できる。室外機の空気の流れを遮らないように日陰を作ったりするのが理想。また室外機自体に打ち水をすることも、効果はゼロではない」(香川氏)

香川氏は実験結果を踏まえたうえで、「運転前にできること」、「運転時にできること」、「(エアコンを使わずに)もっと涼感を得る工夫」の3点を指摘「運転前にできること」では、窓の内側にカーテン、外側によしずなどを設置することを提起したまた、室内で使っている家電でも、熱を持った製品があるという。使っていない場合は電源をOFFにするのが良いとのこと
フィルターのホコリを取ることで、エアコンの風速がアップする室外機の回りには物を置かない方が良いという


運転中の室内温度は高めに、後は自動運転任せで。扇風機との併用も◎

 「運転中にできること」としては、冷房時には設定温度を高めることが、最も省エネに繋がるとしている。

 「設定温度が高い方が、冷やすエネルギーが少なく済む。26℃にしている人は、ぜひ28℃にしていただきたい」(香川氏)

 エアコンの風量については、弱にするよりも、エアコンの自動運転に任せた方がよいという。弱にすると、室外機で作った冷気が室内に多く運べないため、効率が落ちてしまう。たくさんの冷気をたくさんの風で届けた方が効率が良いとのこと。

 また、部屋の温度ムラが発生した時には、設定温度を下げるよりも、扇風機を使って、床の冷たい空気を天井に届けるなどして、空気を撹拌するのが良いという。

 「部屋の上下で温度ムラが発生すると、部屋上部の温度が高い空気を吸い込んだ場合、エアコンが『もっと冷やさなきゃ』と勘違いしてしまうこともある」(香川氏)

「運転中にできること」では、まず設定温度を2℃高めにすることが一番重要というその一方で、風量は「自動」が良いとのこと。「弱」の場合、効率よく風が送れないという上下に温度ムラがある場合、エアコンの室内機が「冷えていない」と勘違いすることもあるという。エアコンの風向を上に上げたり、扇風機で空気を攪拌するのが解決策

 香川氏はまた、エアコンを使わずに扇風機だけで涼を取るユーザーに対して「熱帯夜の夜に扇風機だけで涼を取ろうとしても、熱風をかき混ぜているだけで涼しくない。そんな時には、扇風機とエアコンを併用してほしい。我慢をしすぎたら、(節電は)長続きしない」と、我慢しすぎないことを呼びかけた。


エアコンなしでも涼しさが感じられる工夫とは

 「エアコンを使わずにもっと涼感を得る工夫」では、体感温度を下げるために、風の力を利用することを指摘した。

 「体感温度を決める要素は(1)温度、(2)湿度、(3)気流、(4)輻射、(5)着衣量、(6)活動量の6つがあるが、ポイントとなるのは「気流」。室温が26℃で風がない状態と、28℃で風がある状態では、体感温度は一緒。風が強いと感じたときは、壁に風を当てて跳ね返すなど“間接気流”を使ってほしい」(香川氏)

 また、「打ち水」や「シーツを干す」といったことも、水が蒸発する際の気化熱で、空気の温度が下げられるという。

体感温度を決める要素は(1)温度、(2)湿度、(3)気流、(4)輻射、(5)着衣量、(6)活動量26℃で風が無いのと、28℃で風があるのでは、体感温度は同じとのこと
扇風機の風が強く感じられるときは、壁や天井に当てて“間接気流”にするのが良いとのこと打ち水をしたり、シーツを干すなども、空気の温度低下に効果があるという





(正藤 慶一)

2011年6月3日 00:00