三洋、“ツイン減圧”でごはんをふっくらと炊く14万円の炊飯器

~「絶対にうまい、世界一うまい炊飯器」


 三洋電機は、新機能の“ツイン減圧”でごはんをふっくらと炊く炊飯器「匠純銅 おどり炊き ECJ-XP2000」を、9月1日に発売する。希望小売価格は14万7千円。

匠純銅 おどり炊き ECJ-XP2000 プレミアムホワイト
プレミアムレッド
プレミアムブラウン

 5.5合炊きのIH式炊飯器で、最高級クラスに当たる「匠純銅」シリーズの最新モデル。三洋の高級炊飯器では、炊飯中に釜内部にかける圧力を1~1.2気圧の範囲で変化させ、米の攪拌を促し、一粒一粒ムラなく炊きあげる「おどり炊き」機能が特徴だが、ECJ-XP2000では、これをさらに進化させた「大沸騰おどり炊き」機能が特徴となる。

 従来のおどり炊きでは、調圧ボール1つとソレノイド(電磁力で弁を制御する機構)1つで圧力を下げることで、強力な火力を発生し、米の攪拌を促していたが、大沸騰おどり炊きでは、調圧ボール2つとソレノイド2つで減圧する“ツイン減圧”仕様となっている。このため、減圧にかかっていた時間が、従来の4秒から3秒へと短縮でき、従来よりも34%高い5.1kW相当の火力で米を攪拌できるという。これにより、釜内部に激しい沸騰を発生させ、米の中心まで熱と水を浸透できるため、甘み・粘りのあるふっくらとしたごはんが炊けるという。

新機能「大沸騰おどり炊き」機能を採用した点が特徴
より素早く減圧し、火力を高めるため、調圧ボールを従来の1個(写真右)から2個(写真左)に増やした

調圧ボールのソノレイド(電磁力で弁を制御する機構)も2個搭載
この“ツイン減圧”システムにより、減圧に掛かっていた時間が4秒から3秒に縮まった
たった1秒の短縮だが、これにより、火力が34%アップ
より粘り・甘みのあるふっくらとしたごはんが炊けるという

 また、「うまみ循環&うまみ戻し」機能も改良した。同機能は、炊飯中に発生した旨み成分の「おねば」を蒸気口に蓄え、蒸らし工程でおねばを内釜に戻し、ごはんのおいしさを向上する機能のこと。新製品では、蒸気口の容積を従来から14%大型化することで、より多くのおねばが蓄えられるようになった。さらに、おねばを内釜に戻す「ワイド旨みユニット」の面積を従来の2倍に拡大、内釜全体におねばを分散し、ごはん一粒一粒に旨みを凝縮できるという。

おねばを溜めて、蒸らし時に還元する「うまみ循環&うまみ戻し」機能も改良
蒸気口の容積と、内釜におねばを戻す「ワイド旨みユニット」の面積を拡大した
新しいうまみ循環&うまみ戻し機能の概要。ごはん一粒一粒のツヤ、甘み、粘りが引き出せるという

 内釜には、熱伝導率の高い純度99.9%の「匠純銅釜」を引き続き採用するが、この純銅釜の熱伝導効率をより引き出すため、外釜(本体の釜をセットする部分)を改良。ディンプル熱反射ヒーターやグラスバブルズ断熱コートを設けるなど、純銅釜を包み込むような断熱構造とした。これにより、断熱性能は従来より15%向上。かまどで炊いたように、ハリやツヤのあるふっくらとしたごはんが作れるという。

 炊飯コースには、蒸気の発生を抑えながらおいしく炊きあげる「蒸気セーブコース」も新たに搭載。また従来モデルからは、吸水時のでんぷんの溶出量を控えてハリ/ツヤ/コクを引き出す「匠炊き」、四季の水の変化に対応した「四季炊き」などコースも備える。

 製品発表会では、ECJ-XP2000で炊かれたごはんが振る舞われた。食感はもっちり・ふっくらとしており、ごはんの一粒一粒から甘みが感じられ、とてもおいしかった。

 ECJ-XP2000の本体サイズは269×355×226mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約7.4k。消費電力は1,300W。

内釜には引き続き「匠純銅釜」を採用今回は、釜をセットする部分「外釜」部分を改良。釜を包み込むような断熱構造で、ふっくらとしたごはんが炊けるという

炊飯中の蒸気をカットする「蒸気セーブコース」も新搭載
会場にて振る舞われたごはんの試食。ふっくらとした食感でおいしかった

「絶対にうまい、世界一うまい炊飯器」――高級ゾーンでは60%の高い占有率

「世界一うまい炊飯器」と自信を見せる、三洋電機コンシューマエレクトロニクスの和田隆弘社長
 三洋の炊飯器を製造する三洋電機コンシューマエレクトロニクスの和田隆弘社長は、ECJ-XP2000について、「今まで食べたことのない、絶対にうまい、日本一、つまり世界一うまい炊飯器。技術者が磨きに磨きをかけ、研究に研究を重ねたもので、ほぼ完成型に近づいてきた。ものづくりの心をくみ取っていただければ」と絶賛。製品の完成度の高さをアピールした。

 和田氏はさらに、三洋のおどり炊きシリーズが、高級炊飯器のカテゴリーにおいて約60%と高い占有率を誇っている点も指摘した。

 「低価格ゾーンで占有率を高めるなら、安い商品をたくさん売れば良いが、高級ゾーンで占有率を高めるには、技術力など本質がなければ絶対にできない。(おどり炊きシリーズは)テレビ宣伝もしていないが、クチコミなどを中心に広めていただいた結果、60%が取れたと思っている。技術者の本来の力でやってこれたことは、私は本当にうれしい。このことを誇りに思っている」(和田氏)

 今後については「もっとお米を食べて貰いたいが、そのためには美味しく安心して食べていただける商品を作っていきたい」として、家庭用の炊飯器をはじめ、業務用の炊飯器や米粉タイプのホームベーカリーなど、米の美味しさを追及する技術開発を進めていくという。

日本の米の消費量と食料自給率は低下中。1962年には、1人当たりの米の消費量が118.3kg、食料自給率が76%だったのに対し、2008年には消費量が59kg、自給率が41%と、いずれもほぼ半減している
家庭用の炊飯器をはじめ、業務用の炊飯器や米粉タイプのホームベーカリーなど、米の美味しさを追及する技術開発を進めていくという


 なお、下位機種として「ECJ-XP1100」「ECJ-XW100/180」「ECJ-MK10/18」「ECJ-MG10/18」の7機種も発売する。ECJ-XP1100のみ9月1日発売で、それ以外はすべて8月1日発売。ラインナップの詳細は以下の表の通り。

写真は下位モデルの「ECJ-XW100」
左から、ECJ-XW100、ECJ-MK10、ECJ-MG10

【おどり炊きシリーズのラインナップ】
品番ECJ-XP200ECJ-XP1100ECJ-XW100ECJ-XW180ECJ-MK10ECJ-MK10ECJ-MG10ECJ-MG18
炊飯容量5.5合1升5.5合1升5.5合1升
内釜匠純銅内釜純銅仕込み5層厚釜銅コート5層厚釜銅コート厚釜
ツイン減圧-------
全工程圧力----
匠炊き
コース
----
四季炊き
コース
----
熟うま
コース
----
蒸気セーブ
コース
----
圧力粥
コース
アルミダイキャスト
フレーム
------
バックライト液晶-------
音声ガイド-------
希望
小売価格
147,000円120,750円84,000円88,200円オープンオープンオープンオープン
店頭
予想価格
----42,800円
前後
45,800円
前後
32,800円
前後
35,800円
前後




(正藤 慶一)

2010年7月1日 15:42