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闇バイト強盗が家に! そのとき家電は助けになる? 元刑事が教える手口と対策
2024年12月6日 08:05
連日、闇バイトで集められた実行役による侵入強盗のニュースが報道されている。警察庁の統計では、侵入窃盗の認知件数は2002年(平成14年)をピークに2021年(令和3年)まで減少していったが、2022年(令和4年)、2023年(同5年)からは増加傾向にある。そうした物騒な話が多くなっているため、パナソニックが開催したメディア向け防犯セミナーでは最新の侵入犯の手口などを紹介。抑止に有効な電話機など防犯アイテムを見てきた。
元警察官として捜査の最前線や被害者のケアなどを担当し、現在は防犯アドバイザーとしてメディアで活動する佐々木成三さん。佐々木さんによれば、犯行の手口や侵入方法などが、かつてとは大きく異なるという。
「いわゆる闇バイトの実行犯は、素人なんです。素人がゆえに手口が手荒な印象があります。また犯行に主体性がありません。なぜなら、指示役から『この家に行ってこい』と言われただけで、実行犯が選んだわけではないからです。そうしたことから、元刑事の目で犯行現場を見ると『ここには行かないよな』というような、対策がとられた家にでも行くんですよね」
そうした、いわゆる闇バイトによる犯行と思われる広域強盗事件には、共通点があるという。狙われているのが、高齢者の1人または2人で暮らしている一軒家だということ。
「高齢者の少人数世帯のリスト……闇リストと呼ばれるものが存在します。現在は様々な企業から、データが漏洩しています。そうしたデータをもとに、電話をかけたり訪問したりして、アップデートしたものが闇リストです」
闇リストに自宅が入れられてしまうのは、防ぎようがないともいえるが、例えばかかってきた電話や訪問をうけた時の対応によっては、リスト入りを避けることもできる。つまり、対策がしっかりとなされていると、犯行グループに認知させる必要があるという。
また佐々木さんは、今後はさらに都心の郊外や地方が狙われるようになるという。
「わたしは岩手出身なのですが、普段は治安が良いだけに、地方は防犯意識が低いです。防犯カメラやセンサーを設置する家も少なく、また一軒一軒の間が広く、街灯も少ない。そうなると犯罪者に狙われやすく、統計上でも犯行が増えていることが示されています」
そのほか侵入窃盗などの犯行が増える時期もあるという。それが10月あたりから年末……つまりは今だという。
「年末にかけては、買い物をする人が増えて、現金を手元に置く人が多いんです。犯罪者はそこを狙ってきます。警察が年末に特別警戒を実施するのもそのためです」
闇リストに入れられないための防犯アイテム
闇バイトのこともあり、侵入窃盗や強盗の手口が多様化しているなかで、どんな対策をとるべきなのかを、佐々木さんが解説してくれた。
「これまでの犯罪者は音や光に弱かったんです。それらには、踏むと大きな音が鳴る防犯砂利や人感センサー付きの照明などが有効です。ただし前述のとおり、いわゆる闇バイトの犯行手口は素人なんですね。例えば防犯カメラなどを設置し、窓ガラスに防犯フィルムをつけていても、それらに気が付かず、強引に入ってきたりします。そうした侵入窃盗の素人にも、分かりやすい対策が必要です」
まず狙われないようにする備えとして有効なのが、録音に対応した電話や、訪問者を録画したり、応答時の声色を変えられる機能を備えたテレビドアホンなどだという。
前述したとおり、闇バイトによる犯行では、高齢者の1人~2人世帯が狙われやすい。そのため犯罪者は、侵入する前に、その家の家族構成などを探るために電話をかけてくることがある。そこで「ここは侵入しやすそうだ」と思われれば、闇リストに入れられてしまう可能性が高くなる。
その際に、通話内容を録音できる電話や、事前に「録音している」ことをアピールする機能を備えていると、犯罪抑止につながるという。例えば、パナソニックのデジタルコードレス電話機「VE-GE19DL」は、迷惑電話防止機能を備えている。設定により、「この通話は迷惑電話防止のために録音されます」とアナウンスされるため、犯罪者への警告になる。
別機種になるが「迷惑電話相談」機能を備えたモデルもある。同機能は、通話中に「相談」ボタンを押すと、録音した通話音声を再生し、通話相手に聞かせられるというもの。不審な電話があった後に、家族あるいは警察などに「こんな電話がかかってきた」と、内容を聞かせられるため、正しい情報を伝えられる。特に高齢者が同機能を搭載した機種を持っていると、もし記憶があいまいだったとしても、息子宅や警察など第三者とスムーズに相談できて良いという。
機能が多いと最初の設定が難しいのでは? と心配するかもしれないが、パナソニックでは迷惑防止機能を最初から有効にした状態で出荷している。これは、同社が警察からのアドバイスによって採用したものだ。
次に不審者が訪問して来た際の備えとなるのが、訪問者を録画しておけるドアホンだ。例えば「VL-SWZ700シリーズ」は、不審だなと思ったら玄関子機のカメラで録画することができる。広角レンズを採用するため、ドアホンの前に立った訪問者の顔だけでなく、周囲も確認できて安心。訪問者が危険な物を持っていないか、ほかに仲間がいないかなども確認できる。また周囲が暗い夜間でも「カラーナイトビジョン」で、しっかりとチェック可能だとする。
佐々木さんによれば、警察に110番通報した際に、言葉で不審者との会話の内容や雰囲気を正確に伝えるのはなかなか難しいという。そうした時に、録画データを見せれば、警察としてもすぐに状況を把握できる。現在は110番する際に、録音や録画データも警察に送信できるため、静止画や動画を撮影できる機能は、ぜひ備えておきたいという。
また、自宅に高齢者や女性、子供しかいない時に有効なのが「ボイスチェンジ」機能。話した声を男性のような低い声に変えることができるため、訪問者からすれば不気味に感じるはずだ。
不審者が侵入してきた時のための備え
特に一軒家の場合は、敷地内に不審者が侵入しやすい。そうした際の備えとして有効なのが防犯カメラ。ただし佐々木さんは、単に防犯カメラを設置して不審者を録画するだけでは不十分だと語る。
「犯罪に遭ってしまってからだと、防犯カメラの録画映像は、証拠となるだけなんですね。防犯カメラには、録画機能のほかに、+αで、犯罪者を威嚇する機能が欲しいです」
例えば「VL-CV100K」はカメラのほかにマイクとスピーカーを搭載する。不審者を見つけたら自動録画が始まるだけでなく、モニター親機などから敷地内に侵入した相手に声がけできるのだ。この声がけが威嚇となるため、不審者に屋内への侵入を諦めさせる効果も期待できるという。
佐々木さんは、こうした「素人にも分かりやすい犯罪対策が有効」だという。というのも侵入窃盗の常習犯は、事前の下見をしっかりと行なうため、防犯カメラが設置されているような住居には侵入を試みないという。一方で、昨今の闇バイトによると思われる侵入犯は、下見をしていないと思われるような住宅にも侵入を試みているそうだ。佐々木さんによれば、「実行犯が捕まってもいい」と思っている無責任な指示役により、侵入先が決められるためだという。だからこそ、実行犯を直接威嚇できる機能は、非常に有効だと考えられるとする。
とはいえ、それでも屋内に侵入してくる場合も想定しておきたい。そこで役立ちそうなのが、窓際に設置する開閉センサーなどだ。例えば「KX-HJS100」の場合は、窓が開けられると警報音が激しく鳴る。と同時に、対応するドアホンや電話機と連動して報知音も鳴らすこともできる。さらに、連動した電話機を介して、手元のスマートフォンなどとも連携させられる。他機器と連動させることで、1階からの侵入を、2階で寝ていても素早く把握できるのだ。
もし侵入されてしまった場合の対策は、電話の子機やスマホなど連絡できる手段を手に持って、内側からカギの掛けられる場所へ逃げること。もう一つの備えとして、カギの掛かる部屋へ持っていってほしいというのが強力なライト。明るさの目安として「300ルーメン以上」のライトの光を犯人に向けると、目がくらむとのことだ。
同ドアセンサーは4,500円前後で販売されていて、対応する電話機で一番安価なものでは7,000円前後。気軽に導入できる防犯アイテムだといえるだろう。
セミナーでは、他にも様々な防犯アイテムが紹介されていた。まずは、最新の犯行手口をチェックしつつ、どんな防犯アイテムがあるのかを知り、防犯リテラシーを高めることが必要だろう。その後、自宅などに適した防犯アイテムを設置することが、侵入窃盗の抑止につながるはずだ。