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空気のカーテンをアクリル板の代わりに。カルテックが「テーブルエアー」発売

TABLE AIR KL-T01の設置例

カルテックは、机やテーブルに置く“空気のパーテーション”として「TABLE AIR KL-T01」を7月より法人向けに発売する。独自の光触媒を活用して除菌脱臭を行なうもので、飲食店のレジ前、ホテルのフロントなどの接客や飲食店、オフィスや会議室など飛沫対策のアクリル板の代替としての利用を想定している。価格はオープンプライスで、想定価格は2万円前後。

テーブルに細長いモールを置いて、数多くの小さな穴から空気を垂直に放出することで“空気の壁”のような状態を作るもの。

モールの上部にある小さな開口部から独自の光触媒で除菌脱臭された空気が放出。1分間に300Lの空気が出ることで高さ約80cm~1mの空気のカーテンができ、エアロゾル(マイクロ飛沫)を遮断。穴は直径2mmで、1本あたり100個開いている。風量はダイヤルを回して無段階で調整可能。

TABLE AIRの動作と空気の流れのイメージ
TABLE AIR KL-T01の本体(送風部)
TABLE AIRから放出される空気の流れ
小さな穴の開いたモール

同社の光触媒採用製品との違いとして、新たに活性炭の上に光触媒を塗り込む技術を採用。従来のセラミックをベースにしたものに比べて2倍の性能を持ち、小型化も実現したことで、送風する本体部も小さく薄くなったという。

従来の光触媒フィルター(左)と、活性炭を用いた新フィルター(右)
理化学研究所と協力して作られた呼吸の可視化動画

主なパーツは光触媒除菌脱臭機と空気を放出するモール部の2つで構成。光触媒除菌脱臭機は卓上設置または専用取付金具で机の下に設置できる。モール1つの長さは60cmで、最長240cmまで対応する。

TABLE AIR本体(奥)とモール(手前)
机の下へは金具で固定

モールはカッターやはさみで切断して長さ調整が可能。カラーは机の色などに合わせてブラック、ブラウン、ホワイトの3色から選べる。

モールのカラーは3色

手入れの簡単さも重視。モール部はシリコンゴム製で汚れた場合は水で洗えるほか、中性洗剤やアルコールで拭き取れる。光触媒除菌脱臭機は1日8~10時間使用した場合で約3カ月で電源ランプがオレンジ色に点灯し、光触媒フィルターの手入れ時期を知らせる。

本体サイズは115×195.5×45mm(幅×奥行き×高さ)、モールは40×60×30mm(同)のかまぼこ形状。重量は本体が約0.4kg、モール1本が約0.6kg。付属品は光触媒フィルター1個(装着済)やモール、固定金具。

電源はACアダプターを使用し、消費電力は8W。電源ケーブル長は1.8m。使用温度範囲は0℃~40℃。

今後の展開として、設置方法を拡大するためにカスタム可能なL字型や十字型のジョイントをオプションとして展開するほか、電源がとりにくい場所でモバイルバッテリーで稼働させることも計画している。容量2万mAhのバッテリーの場合、約12時間利用できるようになる予定。

L字や十字のジョイントをオプションで展開予定

レジなどのアクリル板へ不満を持つ人が7割

理化学研究所 光量子工学研究センター光量子制御技術開発チーム チームリーダーの和田智之氏は、光による新型コロナウイルスの不活化や気流の計測の実用化に向けた研究を進めている。カルテックの「TABLE AIR」には、和田氏の意見も開発に反映され、放出する空気の早さや高さなどを決めたという。

理化学研究所 光量子工学研究センター光量子制御技術開発チーム チームリーダーの和田智之氏

カルテックの染井潤一社長は、現在レジや受付などのパーテーションとして使われているアクリル板について、自社調査により約7割の人が不満に思っていることが分かったという結果を紹介。こうした不満をきっかけにTABLE AIRの開発に至ったと説明している。

カルテックの染井潤一社長
約7割がアクリル板に不満を持っているという調査結果(カルテック調べ/n=811)