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日立の新冷蔵庫はキッチンに置かない? 寝室や書斎で新たな楽しみ方

10色から選べる新コンセプトの冷蔵庫「Chiiil」

日立グローバルライフソリューションズは、キッチン以外にも置ける家具のようなデザインの冷蔵庫「Chiiil(チール) R-MR7S」を4月28日以降に順次販売する。これまでにない新たなコンセプトの冷蔵庫が生まれた経緯や、デザイン面でのこだわりを担当者が語った。

生活スタイルの変化や食生活の多様化が加速したコロナ禍で、「大型の冷蔵庫をキッチンに1台設置する」という従来のあり方から、より快適な空間で過ごせるように「生活スタイルや好みに合わせて、使いたい場所に組み合わせて置ける」という“新しい冷蔵庫のあり方”としてChiiilは誕生。使う人のこだわりに合わせて柔軟に使えることをコンセプトとしている。

キッチン以外に置く、新しい冷蔵庫のあり方を提案
リビングにも馴染むデザイン

コンパクトなサイズで2台以上を組み合わせて使えること、そして10色のカラーバリエーションを用意していることが大きな特徴。このような製品デザインに至った経緯を、日立製作所 研究開発グループ 社会イノベーション協創センタ プロダクトデザイン部 ユニットリーダー主任デザイナーの佐藤 知彦氏が語った。

同氏は「自分好みに選んで組み合わせ、気兼ねなく、好きな場所に設置できる冷蔵庫を」というコンセプトを重視し、「体験/空間/選択」の3つの視点でデザインしたという。

体験のデザインでは冷蔵庫の役割を再考。冷蔵庫がキッチン以外の場所に置かれることで生まれる新たな体験価値に注目した。例えば寝室に設置すると、夜中に喉が乾いてもキッチンまで歩いていく必要がなくなる。リビングに置けば、ソファで映画を見ているあいだにもビールをサッと取り出せる。というように、生活するうえでより便利に使える場所に置くことが可能だとしている。

日立グローバルライフソリューションズ ホームソリューション事業部 商品戦略本部 商品企画部 部長代理の小川真申氏(左)、日立製作所 研究開発グループ 社会イノベーション協創センタ プロダクトデザイン部 ユニットリーダー主任デザイナーの佐藤 知彦氏(右)
ソファの近くに置いて、くつろぎタイムにいつでもビールを取り出せるように

空間のデザインで意識したのは、インテリアと調和する家具のようなたたずまい。従来のようなキッチン専用機ではなく、家のどこに置いても馴染むようなデザインを目指した。

そのために本体は水平垂直を基調とした視覚的にシンプルなフォルムを採用。また壁にぴったりつけて設置できるよう、一般的には背面にある放熱機構を本体下部に配置し、奥行きは420mmに抑えた。さらに家具のように本体上に雑貨などを置けるよう、ちょうどいい高さ(750mm)に設計。さまざまな空間に調和するデザインに仕上げた。

棚のように、本体上に物を置きやすい高さ
奥行きは42cmで、壁にぴったりつけられるため存在を主張しすぎない

選択のデザインとは「選べる楽しさ」だと佐藤氏は語る。Chiiilは2台を並べて横置き/縦置きが可能。空間や用途に合わせて設置スタイルを選べるようにした。本体ドアが右開きと左開きの2モデルを用意しており、両モデルを並べることで観音開きのキャビネットのようにも使える。ドア下部にはハンドルを設け、縦置きした際に上段/下段ともに開けやすいように工夫されている。なお、縦置きするには専用パーツと据付業者による設置作業が必要となる。

右開きと左開きを組み合わせて観音開きに
2台まで縦に並べられる

これまでの冷蔵庫になかった豊富なカラー展開も、選べる楽しさを作り出す要素のひとつ。カラーはインテリアショップ「ACTUS(アクタス)」とのコラボレーションによるもので、中間色と言われるグレーカラーのバリエーションを中心に構成した。

このカラー展開についてアクタスの担当者は「最近の新築マンションのフローリングは、オフホワイトやグレーカラーが主流です。リノベーション住宅ではモルタルを内装材として取り入れる場合も多く、そのようなインテリアに合うように中間色を中心に選びました」と解説。それぞれインテリアに馴染むようにマットな質感に仕上げている。

カラーラインナップは、ベーシックカラーのホワイト、ノルディック、ダークグレーの3色と、カスタムカラーのグレージュ、オーク、モス、グラファイト、トープ、ブリック、ウェンジの7色で計10色。

ベーシックカラーの3色は、家具に用いられるオークナチュラルやウォルナットなどの木材との相性がいいという。カスタムカラーのモス(グリーン系)は木に緑の葉っぱが生えているような自然の雰囲気をインテリアに取り入れられ、ブリック(レッド系)は赤レンガやテラコッタタイルなどの建築材をイメージしており、部屋のアクセントになるとしている。

10色の豊富なカラー展開が特徴
フローリングの木材などに合う色が選ばれた

機能面では、温度帯を約2℃~約6度℃の「冷蔵」と、約8℃~約16℃の「セラー」に切り替えられる。棚の高さを変更でき、一升瓶なども収納可能。定格内容積は73L/食品収納量の目安は56L。

今回、冷凍機能を搭載しなかった理由についてたずねると、日立グローバルライフソリューションズ ホームソリューション事業部 商品戦略本部 商品企画部 部長代理の小川真申氏は、「今回はさまざまな使用シーンを想定したうえで、冷蔵温度帯が最も使用されるだろうと、冷蔵とセラーの2種類にしました。冷凍温度帯に関しても、今後の需要などを見ながら検討していきたいです」と回答。

棚を取り外して簡単なレイアウト変更も
セラー温度帯を備え、ワインや日本酒の保管にも使える

2021年12月~2022年3月に行なわれた先行販売では、ベーシックカラーだとダークグレー、カスタムカラーだとモスが人気だったそうだ。実物を見てもこれまでの冷蔵庫にないカラーと質感が好印象で、どこに置こうか、組み合わせるなら何色だろうかとワクワクした。つい、大きな冷蔵庫もこのデザインだったらいいのに、と思ったほど。使う人にとって「選ぶ楽しみ」がある家電が、これからもたくさん登場してほしい。

製品の詳細は次の通り。本体サイズは559×420×750mm(幅×奥行き×高さ)。定格消費電力は電動機60W/電熱装置17W。冷却方式は間冷式。電源コード長は約2.2m。右開き(R-MR7S)と左開き(R-MR7SL)を用意する。

ホワイト、ノルディック、ダークグレーの3色は4月28日発売。受注生産となるグレージュ、オーク、モス、グラファイト、トープ、ブリック、ウェンジの7色は5月下旬発売。価格はいずれもオープンプライスで、店頭予想価格は77,000円前後。

個人的に気に入った、レンガ色の「ブリック」。部屋に馴染む色を選ぶもよし、アクセントになるものを選んでもよしで想像が膨らむ