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水素で発電する純水素型燃料電池、パナソニックセンターで実証稼働。イワタニが水素供給
2021年4月9日 13:30
パナソニックは、東京・有明のパナソニックセンター東京で「純水素型燃料電池 700Wタイプ」の実証稼働を開始した。9日に報道関係者向けに披露し、クリーンなエネルギーとして期待される水素をテーマにした同社の取り組みを紹介した。
家庭用エネファームのコア技術を活用、5kWモデルも発売へ
同社は4月より、家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」の戸建住宅向け新製品を販売開始している。ウェザーニューズと連携し、気象データを取得して自動で最適発電を行なう機能を搭載したのが特徴。
さらに、エネファームとして初めてセルラー方式のLPWA(Low Power Wide Area)通信機能を標準搭載した。これにより全数のクラウド接続を実現し、各個体における稼働状況のリアルタイム把握が可能となっている。
今回、パナソニックセンターにも設置された純水素型燃料電池は、現在量産しているエネファームのコア技術である“スタック”を活かして製品化。
発電出力は700Wで、定格発電効率は48%。水素供給はシリンダー方式で、1カ月に1回程度の交換を行なう。本体サイズは585×360×890mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約52kg。さらに、新製品として10月には5kWモデルを発売する予定。
複数台連結により、10MW規模の発電も可能。5kWモデルでは発電効率56%の高水準を実現している。約1分で起動でき、停電時発電にも対応する。100台連結した場合でも1台ずつメンテナンスして、他を稼働し続けるといった実用性も備える。また、屋内設置できるため寒冷地でも使用可能。「家電レベルの手軽さで純水素型燃料電池を提供できる」としている。将来的には家庭用も視野に入れているが、当初は業務用からスタートする。
東京オリンピック・パラリンピック跡地に作られる住宅や商業施設などの「HARUMI FLAG」にも採用が決まっている。5kWモデルを6台連結して4カ所に設置。
そのほか、「RE100」(自然エネルギー100%)を目指す工場などでの利用も想定。太陽光パネルを設置したくてもスペースが限られている場合などにも利用できるという。
水素供給は国内最大シェアの岩谷産業
東京・有明にあるパナソニックセンター東京は、同社ショールームとして初のカーボンニュートラルを推進。2019年度のCO2排出量1,114トンから、2020年度にバイオマス発電の電力へ100%切り替えており、調達エネルギーのCO2排出ゼロ化を実現している。
今回の実証稼働では、岩谷産業が水素ガスを供給。都市部など新たな水素インフラの敷設が困難な場所でも運用可能なシリンダー方式を採用している。
岩谷産業は1941年に水素の販売を開始。近年では水素ステーションを国内53カ所で運営するなど、国内での供給はトップシェアとなっている。
現在、日本の水素需要は、半導体や太陽光パネル製造などの一般産業用が99%だが、将来的にはエネルギー分野での水素利用拡大が見込まれており、家庭用燃料電池のほか、燃料電池自動車(FCV)や燃料電池バス(FCバス)、水素発電所での利用なども想定されている。
水素の製造は、現在は化石燃料を高温で水蒸気と反応させて作る方法や、製鉄時などに発生した副生水素の利用などが中心だが、長期的には風力/太陽光など再生可能エネルギーによる水の電気分解で、CO2排出ゼロでの水素の製造が計画されている。
今後の大きな取り組みとしては「CO2フリー水素の安定的な大量供給」を挙げており、オーストラリアなどでクリーンな形で水素を作り、タンカーで国内へ大量輸送するといった、グローバルサプライチェーンの構築を目指す。