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新型コロナウイルス不活化に、低濃度オゾンも効果。奈良県立医大とマクセル共同研究
2020年10月27日 13:45
マクセルは27日、同社製オゾン除菌消臭器「オゾネオエアロ MXAP-AE270」で生成された低濃度のオゾンにおいて、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する不活化効果を確認したと発表。奈良県立医科大学(微生物感染症学講座 矢野寿一教授、中野竜一准教授)との共同研究結果を明らかにした。
今回の研究では、同製品を使用して、日本産業衛生学会が定めたオゾン許容濃度以下の0.05ppmの空間において、新型コロナウイルスを不活化する効果が確認された。なお、バイオセーフティレベル3(BSL3)の実験施設内で行なっており、実使用環境での効果を示すものではないという。
密閉したアクリルボックス(520×400×340mm、板厚8mm、容積約62L)内に同製品を設置して動作させ、紫外線吸収式オゾン濃度モニターでボックス内の濃度を0.05ppmとなるように制御した空間を準備。試験中のボックス内の温湿度環境は、一般生活環境と同様の温度23±5℃、湿度60±5%の範囲とした。
ウイルス液20μlをシャーレに付着させて一定時間静置し乾燥させたものを試験片とし、同空間内に所定時間静置してオゾンを曝露させた。対照群として、オゾンを曝露せずに同時間静置した試験片を用意している。
所定時間経過後、それぞれの試験片に培地2mlを滴下し、セルスクレーパーを用いてウイルスを回収、ウイルス量をプラーク法で算出。試験は各2回実施した。
試験の結果、オゾンを新型コロナウイルスに曝露させると、5.25×106PFU/mlだったウイルス量が、12/16/24時間後に検出限界値以下の1.00×102PFU/ml以下まで減少した。この時のウイルスの減少率はいずれも99.9%以上。数値は2回の試験の平均値。
空間にオゾンを放出することによる新型コロナウイルスに対する効果確認については、高濃度(6.0ppm、1.0ppm)による報告や、低濃度(0.1ppm、0.05ppm)による報告がすでに行なわれていたが、これまで一般生活環境同等の温湿度環境での効果確認は発表されていなかったという。
同社は「本機器により生成されたオゾンを低濃度で空間に放出することにより、物質の表面についた新型コロナウイルスによる接触感染防止に対して有効である可能性が示唆される」としている。なお、試験設備などの制約上、浮遊するウイルスへの効果確認は行なっていない。
新型コロナウイルスに対する効果として同社は「空間にオゾンを放出する利用法において、いわゆる燻蒸処理のような無人環境での高濃度の利用に限ることなく、有人環境で利用可能な低濃度でも広く一般公衆衛生用途において充分に活用できる可能性が示されたことに意義がある」としている。
なお、奈良県立医科大学とマクセルの1例目の共同研究として、マクセル製業務用オゾン水生成器「オゾネオアクア ウォーターミックス MXZW-WM100J」で生成された低濃度のオゾン水において、新型コロナウイルスに対する不活化効果を確認したことを10月15日に発表している。この研究と合わせて、「低濃度のオゾン水およびオゾンが人々の生活に充分に活用できる可能性があわせて示された」(マクセル)とコメントしている。