刺身もきちんと解凍できる!? アイリスオーヤマ「スチーム流水解凍オーブンレンジ」実演レポート

　アイリスオーヤマが10月22日に発売する、新しいオーブンレンジ「スチーム流水解凍オーブンレンジ」は、冷凍食品を流水解凍のようにムラなく解凍できるという。その実力を確かめるため今回は、同社で行なわれた"刺身解凍"の実演をレポートしよう。

「スチーム流水解凍オーブンレンジ」の特徴

「スチーム流水解凍オーブンレンジ」

　「スチーム流水解凍オーブンレンジ」は、グリル/オーブン/スチーム/レンジ、4つの調理で幅広いメニューに対応する、庫内容量24Lのオーブンレンジ。自動メニューを44種類搭載し、加熱方法と調理時間を自動で調整するという。また赤外線センサーを搭載しており、食材の温度を自動検知して最適な状態で温められるという。

　特徴は、専用容器と専用プログラムを使った「スチーム流水解凍」。流水で解凍したときのような、ムラのない仕上がりを実現するという。スチーム流水解凍は、自動メニューとして用意され「刺身」「薄切り肉」「ブロック肉」の3つが搭載されている。

　3つの解凍メニューは、食材の特性に合わせてオーブン、スチーム、レンジ機能を使い分け、煮えやムラを防いで解凍できるとしている。また「薄切り肉」メニューは、切り落としや小間切れ肉、ボイル用のカニ、エビ、「ブロック肉」メニューは、鶏ムネ肉や鶏モモ肉のかたまり、ひとまとめで冷凍したひき肉、なども解凍できるという。

　スチーム流水解凍は、耐熱性の高い樹脂製の専用容器とトレイを使って行なう。スチームは吹き出し口では80～90℃あるが、これを直接食材に当てず、40～50℃で食材に当てる設計とすることで、食材の急激な温度上昇を抑え、タンパク質の変性による肉や魚の変色を防ぐとしている。庫内に対する容器容量が若干小さく感じるが、これは容器外側にスチームを十分行き渡らせることで解凍ムラを防ぐものだという。

　スチームは、庫内向かって左側内側にある、3つの吹き出し口から出る。それぞれの口は、一番奥が上向き、中央が正面、手前が下向きに吹き出るようになっていた。

スチーム流水解凍専用の容器とトレイ。容器の位置も重要なため、トレイにセットして利用する

容器には突起が、トレイにはくぼみがあり、噛み合わせて位置を固定する

庫内向かって左側のスチームの吹出口は、3つ

容器をセットすると、スチーム吹出口は容器の取っ手よりも下側になり、蒸気が食材に当たらないようになっている

本体の操作メニュー

いよいよ、刺身の解凍開始

　今回の実演では、予め冷凍した"マグロ刺身のサク"100gを用意。「スチーム流水解凍・刺身」メニューを選択し、重量100gを選択すれば、解凍が開始される。解凍時間は24分34秒と表示された。

冷凍したマグロ刺身のサク100g

専用容器に入れる

自動メニューの「2」が「スチーム流水解凍の刺身」

100gを選択する

開始したところ、解凍時間は24分34秒

　時間経過後に庫内を開けると、中からは大量の蒸気が出てきた。庫内も全面に水滴がしたたっており、たくさんの蒸気を使ったことが分かる。1回のスチーム流水解凍で使用するのは、水タンク容量1/3以下だとしており、タンク容量は400ml。

解凍が完了して庫内を開けると、蒸気が出てくる

庫内はスチームの水滴がしたたる

庫内の様子を拡大

満水状態で解凍をして、1回解凍後の水タンク

　解凍したサクは、色も赤いままで白くならず、みずみずしい。スチームで解凍したためラップは水滴だらけだったが、そこでラップを剥がしてみると、サクは全く水っぽくなっていない。ラップからサクをどけると、ドリップがほとんど出ていないのにも驚いた。

　解凍したサクを触ってみると、表面は柔らかいものの、芯はまだ若干凍っている。包丁で切ってみると、サクッとした音を立てながらも、軽い力で簡単に切ることができた。これは、カットのしやすさを考えたもので、あえて完全に解凍してせず、少し芯が残るところで、解凍を終了させているとのこと。

解凍が完了した刺身のサク

ラップの外側も水滴だらけになっている

ラップを外したサクは、白くならずみずみずしいうえ、ドリップも出ていない

ラップから、サクをどけたところ。本当にドリップが出ていない

包丁で切ると、中心部はサクッという音がするものの、軽い力で切れる

サクを切った断面

　また解凍レベルは、操作パネル下部の「仕上がり調節ボタン」で5段階で調節でき、標準は3段階目。調節すると、解凍時間が短縮・延長されるので、完全に解凍させてしまうこともできるのだという。

100gの刺身を、1段階目で解凍すると22分6秒と、解凍時間が短くなる

100gの刺身を、5段階目で解凍すると27分1秒と、解凍時間が長くなる

　スチーム流水解凍できる分量は、「刺身」と「薄切り肉」は100/200g、「ブロック肉」は100/200/300/400gとのこと。びっくりするくらい食材をみずみずしく解凍できるので、分量を増やした製品を期待したいところ。

みずみずしい解凍にこだわった経緯

　開発に先立って同社では、電子レンジでの解凍についてユーザーアンケートを実施。レンジ解凍に失敗したことがあるユーザーは8割もおり、失敗した理由は「食材に火が通ってしまう」が7割弱となった。失敗した食材は多い順に「薄切り肉」「ひき肉」「刺身」だったという。

　またユーザーの流水解凍の利用状況については、「魚」「刺身」などの「生ものを解凍したい」場合に利用されているものの、「水道代が気になる」「解凍の間、見ておく必要がある」といったデメリットの声もあったという。

　他方、お取り寄せグルメやふるさと納税の流行で、高級食材などを通販で購入する機会が増えており、これらは食材が冷凍されたまま届き、食べる直前に解凍することも多い。しかし、高級食材であるほど、解凍の失敗が許されないものになってくる。そんな高級食材を含めた、解凍の失敗をなくしたいという思いから開発に至ったのだという。

電子レンジ解凍についてのユーザーアンケート。レンジ解凍に失敗したことがあるユーザーは8割

　本体サイズは、513×403×332mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約14.5kg。レンジ出力は「1,000W(自動メニューのみ)/600W/500W/400W/200W相当/100W相当」。タイマー設定は5秒～90分。オーブン時のヒーター出力は、上ヒーター・下ヒーターともに680W。温度調節は35℃、40℃(発酵)、100～250℃。タイマー設定は5秒～90分。参考価格は49,800円(税込)。