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パナソニック、家電やロボットや自動車が、より“人間っぽく”なる!? 次世代センシング技術

 幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2018」(会期:10月16日~19日)において、パナソニックは家電や情報端末、ロボットや自動車への実装を目指して開発中の次世代センシング技術を展示している。

 大きくは距離測定や周辺監視に役立つ「空間センシング」、セフルケアや見守りに役立つ「ヒューマンセンシング」、位置検出や動線検知に役立つ「ロケーションセンシング」の3つに分けられる。

ロボットや自動車での実用化を目指す「空間センシング」技術

 まず「空間センシング」においては、「Imaging-LiDAR」、「長距離Imaging-LiDAR」、「3次元測位ミリ波レーダ」の3つのセンシング技術が紹介されている。

 LiDARとは、Light Detection and Rangingの略。レーザー光を用いた距離を測定するセンサーで、測定原理は、照射したレーザーが対象物に当たり、跳ね返ってきた光が受光素子に届くまでの時間から距離を計測するというもの。自律移動ロボットや自動車の“眼”として適するとしている。

 「Imaging-LiDAR」は、視差/時間差レスでの可視画像と近赤外画像、距離情報を取得できる店が特長。また高密度データにより、物体の詳細が把握できる。そのうえ、センサーデバイスと連動してフラッシュ発光するメカレス構造を採用している。

 CEATECの出展ブースでは、1台のカメラを頭上に設置。そこから得られるデータだけで、物や人の配置や移動する状況を、俯瞰した視点はもちろん、横から、もしくは下から見たように把握できるデモンストレーションが行なわれている。

「Imaging-LiDAR」を通して物や人の配置や移動を把握する
カメラのサイズを、手で握れるくらいの大きさまでコンパクト化できるよう開発を進めているという

 これとは別に「長距離Imaging-LiDAR」を開発中だという。これは同社が開発した、視認性が悪い夜間などでも250m先にある物体までの距離情報を画像化する「Time of Flight(TOF)方式距離画像センサ」を利用したもの。

 活用例としては、車載用距離測定や暗闇での監視などの分野を考えているという。例えば、自動車のヘッドライトが照らせるのは、だいたい前方100mまで。そこで「長距離Imaging-LiDAR」を併用することで、その先の状況についても把握できるようになり、より安全な走行が可能になるという。

ヘッドライトで照射可能な100mを超える、250m先の暗闇の様子が把握できる
画面内の赤い部分が、250m先にあるモノを示している
様々な用途で活用できるとする

 さらに同社は、電波(ミリ波)で空間中の障害物を、距離方向/水平方向/垂直方向の3次元で測位できるセンサーを開発。同センサーを利用した「3次元測位ミリ波レーダ」は、吹雪や霧、粉塵などで視界が著しく悪い状況でも、周囲の障害物を識別できるとする。

 こうした複数のセンシング技術を、例えば自律走行型の自動車やロボットに搭載することで、様々な環境でより安全に走行できるとする。

さりげなく人の状態を推定する「ヒューマンセンシング」技術

 「ヒューマンセンシング技術」を紹介するエリアでは、感圧センサー、人工臭覚センサーやカメラ、熱画像センサーなどを備えた椅子を用意。これら複数センサーから得たデータを使い、その椅子に座った“人の状態”を把握するというデモンストレーションが行なわれており、誰でも体験できる。

 デモ用の椅子で把握できる“人の状態”は、その人の興奮/ストレス/イライラ度と、身体が冷えているかどうか。

座面に感圧センサー、椅子の前方にあるモニター部の周辺に熱画像センサーなどが設置されている
興奮/ストレス/イライラ度と、身体が冷えているかどうかが座っただけで把握できる
開発された感圧センサーは、布のように柔らかく、ソファの座面などにも装着できる
匂いセンサーで、皮膚や呼気の匂いを測定できる

 複数センサーにより、表情や生体情報から感情や集中度、温冷感などが把握できる。そのためロボットや自動車、家電など様々な機器が人の状態を理解し、人の状況に適した動作を行なえるようになるという。

工場などで既に活躍中の「ロケーションセンシング」技術

 ロケーションセンシングのコーナーでは、「高精度位置測位・動線分析ソリューション」と「位置推定無線プラットフォーム」の技術が展示されている。

 これらは、広い施設内で人や機器の位置情報をリアルタイムに記録し、統計的な分析を行なう技術とサービス。工場や倉庫、オフィスなどにおける、人やモノの動きを見える化し、業務改善や業績向上に役立てるもの。

 中でも既に工場などで実用化されているのが「高精度位置測位・動線分析ソリューション」。これまでの方式では位置精度が3〜5mと粗かったのに対し、最新技術では最小誤差30cmという精度を誇る。

 同システムは、移動する人や機器にビーコンを備えさせ、ビーコンが発した信号を天井に設置した受信機でキャッチするというもの。それらのデータを解析し、エリア内の人やモノの動きを高精度かつリアルタイムに把握できるという。

測位したい人やモノに装着させるビーコン
天井に設置された受信機
ビーコンを持った人の動きが、ソフト上で視覚化される