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現地の若者が集まるソニーブースに、和テイストで勝負したカドー、「IFA」日本企業レポート
2018年9月28日 06:00
2018年8月31日から9月5日までドイツ・ベルリンにて開催された、IFA(国際コンシューマ・エレクトロニクスショー)。日本からは、パナソニック・ソニー・シャープが大きなプースを、cadoがこじんまりだがセンスの良いブースを構えていた。今回は、これら日本企業の展示から、生活家電を中心にリポートする。
パナソニック、欧州で人気のハードパンが焼けるホームベーカリーをPR
大きなブースに、生活家電・理美容家電・住宅設備機器・AV機器・デジタル機器などなど、幅広いジャンルの展示をしていたパナソニック。改めて、その守備範囲の広さに驚く。
まずは、キッチン家電コーナー。今年は、欧州の人が好むハードパンが焼けるホームベーカリー「CroustinaSD-ZP2000」を大々的にPR。生地の捏ね方からヒーターの熱反射など、ハード系のパンに最適な設計にしている。
焼きあがったパンは、表面がカチカチ! でも、中はしっかりしつつも柔らかいパンだ。AIやコネクトとは全く関係ないベーシックな家電だが、常に人だかりができているほど注目度は高く、地に足のついた展示だと感じた。
印象に残ったのは「未来型キッチン」の体験展示。真っ白い空間に白い巨大なカウンターがあり、ノックすると上部がスライドしてシンクが現れる。作業スペースには映像が投影され、食材の切り方や加熱の仕方・盛り付けなど、映像を見ながら調理を進めることができる。
また、オーブン皿を持ち振り返ると自動でオーブンの扉が開いたり、使ったまな板や包丁をかざすと、カウンターの一部が開き除菌スペースが現れる。料理が完成しワゴンに料理を載せると、サーブする人に追随してワゴンが移動するなど、一連の作業がハンズフリーで進んでいく。まだ実用化は未定だが、なかなか見ごたえのある展示だった。
創業初期の製品とともに、パナソニック100年の歴史を紹介する展示もあり、老舗メーカーであることを海外に発信していた。また、オリンピックの公式パートナーを1988年・ソウルから続けている展示も。
実は、長い期間毎年パートナーを続けているのは、コカコーラ・マクドナルドなど、世界でも数社とのこと。日本人として誇りに思う。
ソニー、現地の若者が集まる様子に欧州人気を実感
ソニーも毎年大きなブースを展開。AV機器・スマホ・カメラ・ゲームなど多くの製品が展示され、一般デーともなると、常にたくさんの人で賑わう人気ブースだ。
特に、中高生くらいの現地の男の子達が友達同士でワイワイと楽しんでいる光景を見ると、欧州でもSONY人気が高いことを実感できる。生活家電がないので、個人的に印象に残った展示をいくつかピックアップしたい。
いつも人だかりができていたのは「aibo」の展示コーナー。数体のaiboが放牧されたエリアでは、自由にaiboと触れ合うことができる。小さな子どもはもちろん、大きな体をした強面の男性も、すつかりaiboの可愛らしさに魅せられ、あやしている姿は微笑ましい。癒しのニーズは万国共通のようだ。
完全ワイヤレスイヤホン「Xperia Ear Duo」の展示では、ベルリンの代表的なキャラクター・アンペルマンに装着させるなど、親しみのある展示でベルリンっ子にアピール。
「Xperia Touch」のお試しコーナーでは、説明員の女性がうれしそうにピアノゲームを何度もトライしていたのが印象的だった。SONYの魅力を実感!
シャープ、「8KとAIoT」を軸にアピール
V字回復で業績を伸ばし、無事IFAに復活したシャープ。「8KとAIoT」を軸に、大きなブースを構えていた。プレスカンファレンスでは、8Kテレビや8Kカメラ、有機ELパネルの携帯デモンストレーションなどが話題を集めていた。
生活家電は、欧州メーカーに販売を委託していたが、今後はシャープとしても販売をしていくとのこと。空気清浄機・コードレススティッククリーナーは、日本仕様のモデルが展示されていた。また、日本でも8月にリリースされたペット事業の展示もあり、欧州でも展開していく意気込みが感じられた。
8Kテレビは本当に画質が美しく技術力の高さを実感したが、海外メーカーに比べると展示に華やかさが足りず地味に見えてしまっていたのが残念。
会場では、フェラーリのデザインを手がけていることでも有名な、ピニンファリーナ(Pininfarina)デザインのテレビを参考出品として展示した。空間に占める割合が多いテレビのデザイン向上は、大歓迎。具体的な展開は未定とのことだが、今後に期待したい。
cado、小さなブースながらも和テイストで差別化
欧州での本格展開を目指すcado(カドー)。昨年は、小さなブースがズラリと並ぶ一角に構えていたが、今年はより目立つ位置に進出。
広さはあまりないが、和の雰囲気で凛とした空気感を醸し出していた展示は、センスの良さが光っていた。日本デザインの美しさを、ぜひ広めて欲しい。
日本企業のブースは来場者も多く人気はあるが、海外メーカーの多くがキーワードにしていた“connect”or“connected”の提案は薄いと感じた。日本メーカーに理由を尋ねると「技術はあるがニーズがない」と異口同音の回答が……。
しかし、このままでは置いていかれる不安が残るのも事実。特に生活家電領域では、日本メーカーは2周・3周遅れの感が拭えない。世界の動向にも目を向け、技術力を発揮して欲しいと感じた。
次世代を担う若いメーカーが集結する「IFA NEXT」
最後に、主催者側も力を入れている「IFA NEXT」から印象に残ったものをいくつか紹介する。この展示は、昨年から始まり注目を集めたコーナー。次のIFAを担う若いメーカーが、様々な技術や製品を提案をしている。
タブレットを使う知育玩具「Smart Numbers/Smart Letters」
Marboticのタブレットと木製ブロックを使う知育玩具「Smart Numbers/Smart Letters」。アプリをダウンロードすると問題が表示され、木製ブロックを画面にスタンプすると回答できる仕組み。デジタルとアナログの連携で新鮮さを感じられる。
数字の場合は16言語、文字は8言語に対応ししているのもすごいところ。母国語だけでなく、様々な国の言語を楽しみながら学べる。Smart Numbersが39.99ユーロ、Smart Lettersが59.99ユーロと価格も手頃。日本でも、Smart NumbersとSmart Lettersは、Amazonなどで購入可能。
camtoyのペット用ロボット「Laika」
フランス企業camtoyのペット用ロボット「Laika」。ペットカメラは多々あるが、この製品の魅力は自動で動くこと。ペットの首につけるICタグを認知し、ペットの居場所に動いていける。
スマホ経由で声をかけたり、おやつをあげることができるだけでなく、コロコロと転がるため、ペットが追いかけるとロボットと自然と遊ぶことができる。充電池がなくなると、自動でベースに戻っていくのはルンバと一緒。固定式のカメラの一歩上をいく提案だ。カラーはブルーとピンクの2色。価格は79,708USD
食材汚染度チェッカー「HALO」
中国の工業技術研究所が提案する「食材汚染度チェッカー」。白くて丸い本体部分から出ている細いコードの先端がセンサー部。野菜や果物などを洗う時、ボールや洗い桶の水にこの先端を浸すと、本体の丸いインジケーターの色が変わる。
農薬などが水に溶け出るとインジケータが赤くなり、汚染されていることが分かる。しかし、除染する機能はない。汚染されていると判断さえできれば、念入りに洗うなど対処が適切にできるだけでも安心につながるとのこと。なんとも中国らしい提案だ。
衣類自動折りたたみマシーン「FoldiMate」
CESでもお披露目されていた、衣類自動折りたたみマシーン「FoldiMate」の最新バージョン。衣類のセットは自分でしなくてはならないが、誰がセットしてもコンスタントにキレイに畳めるので、家事負担の軽減にはつながる。
大きさは小型の冷蔵庫程度。価格は11万円程度を予定しているとのこと。同じく衣類折りたたみ機「ランドロイド」に比べ、サイズも価格もかなりコンパクト。これなら日本でも導入できそうだ。
担当者に「日本での販売予定は?」と尋ねたら、アメリカ・カリフォルニアにある企業らしく「オファーがあればいつでもOKだよ♪」と軽いノリで答えてくれた。日本での販売を検討してもよい企業さん、いませんか?