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アメリカの住宅市場にイノベーションを、シリコンバレー発「HOMMA, INC.」本間 毅氏が事業戦略を語る

 アメリカのシリコンバレーで創業したスマートホームのスタートアップ企業「HOMMA, INC.」が、都内で事業戦略発表会を開催した。

 同社は、1992年に大学在学中にウェブインテグレーション企業を起業したこともある、本間 毅氏が創業者。同氏はその後2003年にソニーに入社、2012年には楽天の執行役員に就任したという経歴を持つ。

 そんな本間氏が、アメリカの住宅市場にイノベーションを起こすとして、2009年にシリコンバレーに設立したのがHOMMA, INC.。

HOMMA, INC.のCEO本間 毅氏
同社の住宅イメージ

 「電話はシリコンバレーにある会社がスマートフォンを開発してイノベーションを起こしました。自動車もまた、シリコンバレーにある会社がテスラという自動運転車を開発しました。

 一方で、住宅に関してはこの100年間、変わらずにいます。そんな住宅市場に、iPhoneやテスラのようなイノベーションを起こしたいと思っています」(本間氏)

 冒頭でそう語った上で、同氏は「住宅にイノベーションが起こらない理由」を次のように分析した。まず、アメリカの市場では、ほとんどが中古物件で、新築住宅が占める割合は10%前後ほどだという。この10%の新築住宅が変わらずにいるために、イノベーションがないのだという。

 さらに、新築のほとんどが建売住宅なのだが、品質や建築コストなどの問題が多い。特に施工に関しては、現場施工が中心でビルダー(大工)個人のスキルやモラルに依存し、仕上げの品質や工期にバラツキが出てしまい、色んな意味で効率が悪いのだと指摘する。

 そこでHOMMA,INC.では、日本企業の製品を活用する、ということを戦略の柱とする。

 「米国住宅の問題点をまとめると、在来工法による不安定な品質や工期、さらに収納効率の悪さ、生活習慣の変化への対応の遅さなどです。例えば、アメリカでも家では靴を脱いで生活する家庭が増えているにもかかわらず、玄関で脱いだ靴をどうするのかという問題一つに関してもソリューションが提供されていません。

 それに対して、日本企業が作り出す製品には高い品質と信頼性が見込め、工場生産により製品が効率化され、収納性に関しても創意工夫がこらされています。さらに衛生や健康面でのこだわりの強い製品が多いです。

 こうした日本企業に、我々と一緒に良い住宅を作りませんか、ということでお声がけさせていただいています」(本間氏)

日本企業の作り出す製品を活用していく
既に採用が予定されている企業

 さらに、HOMMA,INC.の構想では、建売住宅を街(マチ)単位で提供していくという。一つのコミュニティ単位で展開していき、事業の拡大、スケーリングを図るという。また、ユーザーエクスペリエンスを優先したデザインを考え、その理想とするユーザーエクスペリエンスに基づいたIoTデバイスなどのテクノロジーを導入していく。こうすることで、イノベーションが起こせるとする。

 「我々はスマートホーム技術を施工時にビルトインしてしまい、メンテナンス性を考えながら設置します。AIスピーカーやアプリにより、照明や空調のコントロールが行なえるようにします。そうした接続デバイスに情報を集約し、活用することで、家電製品などのデバイスの制御を自律化・自動化していきます。

 施工時にテクノロジーを組み込むことで、顧客は住み始めた瞬間から、こうした体験が可能になるのです」(本間氏)

導入予定のデバイス群
後付けではなくビルトインしていくことで、見た目にも優れたものにしていくという
スマートロックを組み込む
オーディオなども導入予定
ホームオーナー向けのアプリを用意する

 本間氏によれば、同プランのメインターゲットは、初めて家を購入しようというミレニアル世代。その中でもITリテラシーの高い、テクノロジー企業に務める顧客層を狙うとする。

 「我々のコンセプトとしては、なるべく土地のサイズを小さくし、価格を求めやすくすることです。ただし狭くなった部分は、間取りや収納の工夫をして、狭さを感じさせないようにします。さらにIoTなどのテクノロジーを導入し、見た目のデザインをモダンにしていくことで、初めて家を買うようなミレニアル世代を魅了させられるような住宅を考えています」(本間氏)。

今後は100戸以上のプレミアムコンパクト住宅コミュニティも

 同社は既に「HOMMA ZERO」という実験住宅兼ラボで検証を実施。今後は3~10戸規模の「HOMMA ONE」というプロトタイプ住宅を、2019年以降には「HOMMA X」という10~20戸規模のプロトタイプコミュニティや、「HOMMA 100」という100戸以上のプレミアムコンパクト住宅コミュニティを計画している。

今後の事業スケジュール

 「これからHOMMA ONEでは、日本のパートナー企業に色んな商品を提供していただきたいと思っています。製品や素材等を提供いただければ、我々のHOMMA ONEをショールームとしてお使いいただけたり、アメリカのユーザーの声を聞けたりします。

 パートナー企業の皆さんには、我々と一緒に、アメリカでの事業を拡大していけると考えております。

 我々は日本の住宅関連産業とともに、アメリカの住宅市場にイノベーションを起こしていきます」(本間氏)。

同社では住宅関連企業をパートナーとして募集している