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フィリップス、LED照明で屋内の位置情報がわかる「IPS」を発表。スーパーで必要な食材まで案内

 フィリップス ライティング ジャパンは、今後の事業について説明する事業戦略発表会を、「ライティング・フェア 2017」で開催。可視光通信を用いて屋内の位置情報を把握する「インドアポジショニングシステム(IPS)」や、今春より日本で展開を予定している、クラウドベースで都市照明を一元管理できるコントロールシステム「ActiveSite(アクティブサイト)」などを紹介した。

「ライティング・フェア 2017」のフィリップスブース

屋内の位置情報を把握し、スーパーで必要な食材の棚まで案内

 「インドアポジショニングシステム(IPS)」は、スマートフォンなどで屋内の位置情報を把握するシステムのこと。GPS(グローバルポジショニングシステム)が屋外の位置を把握するのに対し、IPSは交通機関や量販店など屋内での位置を把握する機能として広く求められている。

 今回採用されている、照明を使った可視光通信によるIPSは、導入コスト、運用コスト、位置・方位精度において大きな優位性があるという。可視光通信とは、人の目に見える可視光線帯域を用いた無線通信の一種で、光を介して情報伝達ができる。同社が展開するIPSは、エネルギー効率の良いLED照明の光を採用しており、低消費電力で明かりを照らすことと、高精度の位置方位情報を携帯端末へ提供することを両立したという。

照明の光を介して情報を伝達する
スマートフォンに信号が送られ、屋内の位置情報を確認できる

 導入事例として、フランスやインドのスーパーでは、既にIPS用照明器具が活用されている。買い物客は、事前にスーパーの専用アプリをスマートフォンにインストール。店内に入ると、頭上にある複数のIPS用照明器具が、スマートフォンのカメラに位置情報用信号を発信。高精度で店内のどこにいるかを把握できるようになり、専用アプリと連動して、探している商品や必要な食材の棚に案内してくれる。

 また、野菜コーナ―に移動したとアプリが認識すると、お得な情報や割引率の高い野菜なども通知する。スイーツコーナーに入ると、デザートにパフェを提案するなどの機能も備える。

 今後はアジアや欧米で、スーパー以外の小売店などでも導入が見込まれている。日本では、国内パートナーとの協業や実証実験により普及させていくという。

現在はフランスやインドのスーパーで導入されている
屋内の位置情報をもとに、必要な食材の棚まで案内する
特定の場所に近づくとポップアップで通知する機能なども

 フィリップス ライティング ジャパン 職務執行者 社長 林田 健悟氏は、同社の照明事業について、次のように語った。

 「フィリップスの照明事業が訴求することの1つとして、お客様の売上への貢献があります。LED導入による省エネなどのコスト低減に加え、私たちは照明を通して、施設や店舗へ人を呼ぶことにも貢献していきたいです」

フィリップス ライティング ジャパン 職務執行者 社長 林田 健悟氏
同社が訴求する4つのポイント

建造物や橋のライトアップを一元管理する「ActiveSite」

 また、クラウドベースで都市照明を一元管理できるコントロールシステム「ActiveSite(アクティブサイト)」も紹介。建造物や橋などの演出照明を、PCやタブレットを使って遠隔操作できるシステムで、照明のコントロールからモニタリング、メンテナンスまで一元管理する。

建造物や橋などの演出照明を、PCで遠隔操作する「ActiveSite」のデモ

 都市照明は、ランドマークを芸術的にライトアップして地域の観光産業の起点としたり、建造物をライトアップしてキャンペーン情報やメッセージを送るなど、さまざまな活用方法で需要が高まっているという。演出方法も多岐に渡ることから、効率的な制御方法が求められている。

 ActiveSiteは、クラウドベースなため、世界中あらゆる場所から操作できる点が特徴。コンテンツを更新することで、休日やイベント時に新たなライトショーの事前設定もできる。

 ActiveSiteを導入している物件であれば、国際的なイベントの際も国をまたいで統一的な照明演出が実現でき、オペレーションを一元的にモニタリング可能。セキュリティ業務をクラウドで管理するため、不点灯などのトラブルも早期に解決し、都市の照明を柔軟にコントロールするという。

 林田社長は、「これまでの照明演出は、照明器具の変更も高所の点検も、人の手で行なわれていました。ActiveSiteでは、クラウドベースにすることで、簡単に管理できるようになります」と話す。

同社のボストンオフィスの照明を東京からコントロール
調色を行なった

 対応する照明器具は、豊かなフルカラーと演色性の高い白色を両立した「Philips Color Kinetics IntelliHue(フィリップス カラーキネティクス インテリヒュー)」シリーズや、大型建築やモニュメント向けのスポットライト「カラーバースト インテリヒュー パワーコア」など。照明を組み合わせることで、都市を自由に彩り、魅力を一段と引き出すことに貢献するという。

 同システムは現在、ドイツのサッカースタジアム「アリアンツアレーナ」や、スペイン「セプサタワー」などに導入されている。日本では今春の発売を予定しており、橋や大規模ランドマーク物件への導入を目指すという。

演色性の高い白色を再現する
都市を自由に彩るという