長期レビュー
パナソニック「3つ星ビストロ NE-R3500」 その2

~10分メニューや「凍ったままグリル」で毎日の夕食作りがぐっと楽に
by 阿部 夏子
パナソニックのオーブンレンジ「3つ星ビストロ NE-R3500」

 パナソニックのオーブンレンジ「3つ星ビストロ NE-R3500」の長期レビューをお伝えしている。1回目では、トーストを5分以内で両面こんがり焼き上げるスピード加熱や、野菜の下ごしらえや解凍など使用頻度の機能の性能の良さを中心にお伝えした。

 2回目では、ビストロの大きな特徴でもある加熱時間10分の「10分でちゃんとごちそう」メニューや冷凍した食材を一気に焼き上げる「凍ったままグリル」機能をご紹介する。

 いずれのメニューも下ごしらえさえしておけば加熱時間はあっという間。毎日の夕食作りがぐっと楽になる。

華のある“ごちそうメニュー”があっという間に!

本体に付属する「10分でちゃんとごちそう100レシピ」

 まずは、ビストロの大きな特徴でもある「10分でちゃんとごちそう100レシピ」から紹介しよう。これは、加熱時間が10分以内のメニューが100種類も掲載された専用のレシピブックで、メインになる肉や魚料理はもちろん、スイーツや酒の肴まで幅広いレシピが紹介されている。取り扱い説明書とは別の独立したレシピブックで、写真も装丁も美しく、見ているだけで楽しくなってくる。

 その中から今回は、「えびの香草グリル」と「豆腐のかに肉あんかけ」の2つのメニューを作ってみた。いずれもこれまで作ったことのないメニューだ。

 まずは、「えびの香草グリル」から。複数のハーブを使う料理だが、今回は市販の香草焼きの素を使ったので、とても簡単にできてしまった。ハーブ(香草焼きの素とローズマリー)にオリーブオイルとニンニク、塩こしょうを混ぜて、皮を剥いたエビと和えるだけ。これで、準備は終了だ。ポイントは、エビの背わた抜きをきちんとして、水気を切っておくことぐらいで、あとはビストロで約8分加熱すればできあがりだ。

市販の香草焼きの素を使って簡単調理下処理をしたエビをオリーブオイルとハーブ、ニンニクを入れた液で和える後はグリル皿に並べて約8分ほど加熱する

 オリーブオイルとハーブがよく絡んだエビは、ちょっとエスニックっぽい仕上がりで見た目にも華やか。味つけが濃いめなので、お酒のつまみにぴったりの一品となった。

調理後のエビハーブがよく絡んで、ちょっとエスニックな一品

 続いて挑戦したのは、豆腐とカニの切り身のスープだ。時期的にスーパーにカニの切り身が売っていなかったので、ちょっと高級なカニかまぼこ(レシピでも代用可能との記載があった)で代用した。このレシピのポイントは加熱の仕方にある。300Wという低い出力で、9分じっくりと加熱するのだ。

 電子レンジの出力を設定できるのはもちろん知っていたが、どうゆう時に使い分ければいいのが、わからなかったというのが本音。付属のレシピでこういった使い方を提案してくれるのは嬉しい。

スーパーで売っていたカニかまぼこ。見た目にはカニとほとんど同じカニかまぼこの半分と、豆腐を和える2つの容器に分けて入れたら、上からふんわりとラップをして300Wで9分じっくりと加熱する

 加熱が終わったら、別に作っておいたスープを上からかけて、軽くかき混ぜればできあがり。絹さやの緑と、カニ(実はカニかまぼこ)の赤が豆腐の白によく映える“優しい”スープができあがった。自然なとろみで身体が芯から温めるので、風邪を引いた時にも良さそうだ。豆腐を1人前半丁使っているので、食べ応えも十分で、ダイエットにもおすすめ。

残りのカニかまぼこと絹さやでスープを作る豆腐の上からスープをかければ完成だ豆腐とカニ(カニかまぼこ)がよく絡んで、優しい味になった

 作っていて感心したのは、メニューの構成。作るのは簡単なのに、見た目が華やかで「ごちそう」と呼ぶのにふさわしいメニューがちゃんとチョイスされている。たとえば、豆腐のスープを作ってくださいと言われて、豆腐を混ぜて加熱してから、最後にスープをかける――という発想はなかなかできない。プロのアイディアが随所に盛り込まれたメニューは、家庭料理とはひと味違っていて作るのも楽しい。

事前の下ごしらえで、平日ごはんがぐーんと楽に

 もう1つ、ビストロならではの機能が「凍ったままグリル」だ。これは、事前に下ごしらえしておいた食材を冷凍、食べる時に解凍から焼き上げまで一気に行なうというもの。たとえば、これまでなら作りすぎて冷凍しておいたハンバーグを食べるためには、まずレンジで解凍、そのあと、フライパンなりオーブンなりで焼き上げるという二度手間がかかっていた。しかも、冷凍がうまくいかずに、中の方は生焼けというのもよくあることだった。

 それが凍ったままグリルでは、凍ったままのハンバーグを入れるだけで、一度に焼き上げてくれる。手間がかからないのはもちろん、自動制御してくれるので失敗もなし。平日ゆっくり料理ができない主婦にとってはとても便利な機能だ。

 ただし、この機能を使いこなすには、事前に自分で、「冷凍食材」を作っておくことが不可欠となる。今回は、定番の「鶏の唐揚げ」と「ポークピカタ」を作ってみた。

 まずは、鶏の唐揚げから。市販の唐揚げ粉をカットした鶏もも肉にまぶして、保存袋に入れるだけ。手順は「超」がつくほど簡単なのだが、冷凍する際にはポイントがある。まずは、保存袋の中で鶏が重ならないように大きめの保存袋を用意すること。もう1つは、平らな状態で冷凍できるように冷凍庫のスペースを確保することだ。

材料は市販の唐揚げ粉と鶏もも肉だけ大きめの保存袋にカットした鶏もも肉と唐揚げ粉を入れてよく混ぜる鶏肉が重ならないように広げて冷凍する

 ポークピカタの方はもう少し作り方が複雑。一般的なポークピカタは、卵液に肉をくぐらせるようにするが、冷凍を前提としたビストロのポークピカタの卵液は、小麦粉を多めに入れて粘度の高い卵液を作る。冷凍するときは、カットしたクッキングシートの上に卵液を載せて、その上に肉を置き、さらに上から卵液を載せる。最後にクッキングシートで包むようにすれば完成だ。さっぱりと食べたいので、今回は肉の間に青しそと梅肉を挟んでいる。

 冷凍するときは、唐揚げの時と同じように、食材がかさなり合わないように気をつける。

生姜焼き用の豚肉、梅肉、青しそを用意肉の間に青しそと梅肉を挟んむ1つを作るのに3枚の肉を使うので、かなりのボリュームだ。肉にはあらかじめ塩・こしょうをしておく
粘度の高い卵液をカットしたクッキングシートの上に置く卵液の上に肉を置き、さらにその上に卵液を載せるクッキングシートで挟むようにして準備完了
肉が重なりあわないようにして冷凍する凍ったままグリルを使いこなすには、ジップロックのような冷凍保存袋とクッキングシートが必要不可欠

食べる分だけ加熱できるのが嬉しい

 ここまでの事前準備をしたら、あとは食べる時にビストロに入れてスイッチを押すだけ。加熱時間は、鶏の唐揚げもポークピカタも約19分(4人分)だ。

 加熱するときに感動したのが、1人分、2人分、3人分、4人分とそれぞれ設定ができること。鶏の唐揚げの冷凍を一気に作っておいて、そのとき食べる分だけ調理できるのだ。と聞くと、そんなの当たり前と思われるかもしれないが、実は1人や3人分といった中途半場な調理時間設定できるオーブンレンジは珍しい。

 しかも今モデルのビストロでは、少量加熱の場合、グリル皿の前方だけを加熱する機構を搭載しているので、加熱時間もそれに合わせて短くなる。鶏の唐揚げでいえば、4人分なら19分かかる加熱時間が、1人分なら15分以下で仕上がる。1人分の加熱だけしたいというシーンがよくある、夫婦2人暮らしの我が家にとっては、嬉しい機能だった。

1人分から4人分まで細かく設定できる2人分を設定したところグリル皿の手前だけを加熱するため、加熱時間が短くなる

 さて、実際のお味はというと、これがかなりおいしい。ポークピカタは食べ応えがあって、メインの食事として十分のボリューム。鶏の唐揚げも、鶏肉が固くなることなくジューシーに仕上がった。

凍った状態のポークピカタを2人分加熱。このときもグリル皿の手前側に置く加熱後。卵がふっくらと仕上がった中までしっかり加熱されている

 また、鶏の唐揚げに関していえば、かなりの脱油効果も期待できる。というのも、鶏の唐揚げを加熱した後のトレイにはかなりの量の油が溜まっていたからだ。これまで鶏の唐揚げというと、高カロリーで油っぽいというイメージがあったら、ビストロの鶏の唐揚げはヘルシーで油っぽさは全くない。といっても、唐揚げ粉でしっかり味付けしてあるので、物足りなさは感じなかった。

凍った状態の鶏の唐揚げを2人分加熱加熱後。焦げ目もついて、パリっと仕上がった加熱後のグリル皿にはこんなに大量の油が溜まっていた

 凍ったままグリルの良さを一番実感したのは、私が長期出張に出ていた時だ。1週間以上の出張だったので、事前にかなりの量の下ごしらえをして、夫に加熱の仕方を教えてから出かけた。すると、帰ってきたときには冷凍庫は見事に空っぽ。普段なら私が居ないときは、カップ麺やカップ焼きそばばかりを食べ続けているのだが、今回は事前の準備が効いて、自宅できちんと食事をとっていたようだ。

 まぁ30歳を超えたいい大人の食事なんて、どうにでもなるが、1人で食事が作れない子供のためのツールとして考えるとかなり優秀。事前の下ごしらえにある程度の手間はかかるものの、加熱するだけならば、子供でもできる。あくまで自分の手で作るものなので、市販の冷凍食品の添加物が気になるという人にもお勧めだ。ちなみに冷凍保存期間は2~3週間で、市販の冷凍食品に比べるとかなり短めとなっているので、注意したい。

 以上、今回は忙しくて時間がないという人に嬉しい機能を中心にご紹介してきた。ただ簡単に作れるというだけでなく、おいしさや食卓の華やかさまで考えられたレシピはさすがパナソニックといったところだ。最終回となる次回では、今モデルから新しく搭載されたスマートフォンとの連携機能を中心にご紹介する。引き続き、よろしくお願いします。


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2012年9月24日 00:00