長期レビュー

三菱電機「ハイブリッド霧ヶ峰 ZWシリーズ」

三菱電機「ハイブリッド霧ヶ峰 ZWシリーズ」最終回

~リモコンもお手入れも簡単! 電気代がドキドキじゃなくてワクワクに

三菱電機のエアコン「ハイブリッド霧ヶ峰 ZWシリーズ」。最終回は清潔性やリモコンについて紹介する

 三菱電機のエアコン「ハイブリッド霧ヶ峰 ZWシリーズ」について、全3回に渡って連載している。第1回では、霧ヶ峰に搭載されているセンサー機能「エコムーブアイ」によって、部屋の隅々まで温度を測りながら、また人がいる場所を見張って効率よくムラなく快適な空間作りをしてくれることをお伝えした。

 続く第2回では、センサーとエアコン本体が連動して動作する「スマートセーブ」や「スマートストップ」、「ハイブリッド運転」などの省エネ機能が、いかに電気代が安くできるかを中心に紹介した。また、複雑な間取りにも対応できる「3D気流フラップ」機能についても取り上げた。

 連載最終話となる今回は、メンテナンスなど霧ヶ峰本体の清潔性、エアコンの使い勝手を左右するリモコン、そして本体デザインについても紹介した後、「霧ヶ峰はこんな人にオススメ!」というまとめで締めくくろう。

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今まで掃除できなかった送風口が取り外しOK。汚れはサッとひと拭きで取れる

 エアコンはシーズン時には毎日使うものなのに、掃除は年に数回がいいところ。最近のエアコンは最上位モデルになると、フィルターの自動清掃機能がついているので手間がかからなくなったとはいえ、冷房時の内部は湿気でびしょ濡れになるため、雑菌やカビが繁殖しやすい。また、風の吹き出し口や、風向きを変えるフラップにも、汚れがたまりやすいものだ。

 エアコンメーカー各社は室内機の清潔さを保つためにアレコレ工夫しているが、霧ヶ峰には清潔性に関してスゴイ機能がいくつかある。

 1つは、吹き出し口のフラップがすべて外れ、雑巾でサッとひと吹きでできる点だ。これには筆者も驚かされた。これまでのエアコンの大半は、フラップを取り外すことができなかった。中には上下のフラップは外れるものがあったが、左右のフラップが外せるものはなく、隙間を1つ1つ指を突っ込んで掃除しなければならなかったのだ。しかし霧ヶ峰なら、これがひと拭きで済んでしまう。掃除のしやすさも考えられた設計だ。

前面パネルは取り外しできる
上下のフラップ4枚も簡単に着脱ができる。これができるエアコンも少ない
さらに奥の左右のフラップも着脱(開閉)できる。ここまでバラせるエアコンは、筆者の知る限りない
吹き出し口からフラップがなくなるので、サッとひと拭きでお掃除終わり

 さらに、手が届かなくて掃除ができないエアコン内部の各所には「ハイブリッド ナノコーティング」という特殊コートを施すことで、水性の汚れだけでなく、油性の汚れも付かないようになっている。つまり、油汚れやタバコのヤニで汚れることもなく、そこにホコリが付着することもないのだ。

 また、エアコン内部の湿気がたまりやすい部分には、防カビ・抗菌処理もされている。

汚れにより電気代が高くなる原因の6割が、ファンに付着するものらしい。そこでファンや熱交換器、吹き出し口にはハイブリッド ナノコーティングされている
霧ヶ峰のカタログより抜粋。手が届かないエアコンの内側に、水性にも油性汚れにも強い特殊コーティングがされている

 一方、フィルターの自動清掃機能は、10年間のメンテナンスフリー。エアコンによっては月に1回程度でダストボックスに溜まったホコリを捨てなければならないものもあるが、霧ヶ峰はどんなにホコリっぽい部屋でも、年に1回のお手入れで済むというわけだ。

 このように霧ヶ峰が清潔さにこだわるのには理由がある。キレイで快適な空気を送り出すことはもちろんだが、エアコン内部がキレイだと、運転効率の低下が防げるため、省エネ性能が保てるからなのだ。

 ちなみに、掃除の頻度については、説明書には「1万時間運転がお手入れの目安」とあった。これは1日8時間運転とすると1,250日(約3年半)で、1日8時間運転で1年の半分だけエアコンを使っていたとすると、7年弱で1回掃除することになる。とはいえそこまで放置しなくても、カンタンに掃除できてしまうので、我が家では冷暖房シーズンの始まりに掃除することにした。

10年分のホコリがためられるというダストボックスの大きさはリモコンより少し長い程度。ホコリっぽい部屋なら1年に1回程度は掃除したいところ
金属コーティングされた抗菌エアフィルター。ダストボックスも防菌・防カビ加工がされている。ここでも清潔さのこだわりが感じられる

リモコンの汚れはサッとひと拭き

 最近のエアコンは多機能化が進んでおり、簡単に使えるかどうかは、リモコンの操作性にかかっている。いくらエアコン本体の性能が向上しても、その機能を呼び出すリモコンの操作が複雑なら、宝の持ち腐れになってしまう。また「省エネの見える化」は各社がしのぎを削っている機能であり、リモコンは今や、空気のコンディションと電気代を示す情報端末ともいえるのだ。

最近のリモコンは電源を入れたり室温を調整するだけでなく、部屋のコンディションの情報や電気代を管理するなど、“インテリジェント端末”化している

 筆者の霧ヶ峰のリモコンに対する第一印象は、正直なところ「安っぽい」だった。なぜならスイッチがボタンではなく、安い家電でよく使われる、ポッコリ盛り上がったシールタイプだからだ。ただこの第一印象は間違いで、清潔さを考慮した結果こうなったのだ。

霧ヶ峰のリモコンはパッと見た目安っぽいが、それには機能的なワケがある
ボタンは凹凸が一体となったシールタイプ

 エアコンに限らず、テレビのリモコンなど、ダイニング・キッチンにリモコンを置いている家庭では、リモコンをサランラップなどで包んでいる家庭も少なくないだろう。これは揚げ物などをすると、思いの他部屋全体に見えない油の粒子が飛び、リモコンなどもベタベタになってしまうからだ。オープンカウンターのラーメン屋や中華料理屋の床やテーブルが油っぽいのはこのせい。汚れは油だけではない。2、3年も使っていれば、だいたい色が変わってくるものだ。

我が家に昔からあったエアコンのリモコンを掃除しているところ。細かいところは綿棒を使わないとキレイにできない
霧ヶ峰のリモコンなら、中性洗剤を含ませたタオルでサッとひと拭きすれば、拭き残しもない。飲み物をこぼしても安心だ

 霧ヶ峰のリモコンが凸型のボタンでないのは、ラップと同様にリモコンの清潔さを保つためにある。ボタン式のリモコンを拭き掃除しようとすると、ボタンの間は綿棒を使ったりしなければならず非常に面倒。しかも、飲み物をこぼしたら、まず壊れてしまう。

 しかし霧ヶ峰のリモコンなら、たとえ汚れたとしても、中性洗剤を含ませた雑巾でサッとひと拭きすれば、油汚れも一気に落ちる。もちろんジュースをこぼしてもボタンの隙間から水分が入らないので、リモコンが壊れることもない。実に考えられたリモコンなのだ。

デカ文字と目的別メニューで使いやすい

 リモコンの清潔さにも配慮した霧ヶ峰のリモコンは、ボタンが少なく簡単な操作になっている。しかも普段使わないボタンをカバーで隠すタイプではなく、最初からボタンが少ない。

 エアコン取り付け時に、基本的な設定や節電に関する設定をしてしまえば、使うボタンは「運転 入/切」程度だ。使うとしても、温度設定を変える+(プラス)と-(マイナス)程度。工場出荷時の設定で、基本的なセンサー類はONになっているので、機械に弱い人だとしても、この3つのボタンだけで霧ヶ峰の機能が活用できる。

 もっと活用したい場合は、「快適セレクト」ボタンで、目的に応じた運転を選ぶといい。たとえばエアコンの風を直接受けたくない場合や、梅雨時に洗濯物を部屋干しする場合など、さまざまなシーン別の運転が用意されている。どんな調節をすれば風がよけられるか、部屋干しする場合はどんな運転にすればよいか悩むことなく、「どんなことがしたいか」をメニューから選ぶだけで簡単に設定できる。霧ヶ峰を購入したら、快適セレクトのメニューにひと通り目を通しておくと、さらに活用できるだろう。

 また節電に関するメニューは、「メニュー」ボタンからも追っていけるが、「節電」ボタンで一発呼び出しできる。

直接風を受けないようにしたり、就寝ように静かな運転にしたり、洗濯物を部屋干しにするなどの多種多様なシーンから運転を選べる
節電ボタンを押すと表示される「おすすめ節電」から「おすすめ冷房」を選ぶだけで、節電レベル100(最高200)ぐらいの節電運転ができる
細かく節電機能を設定する場合は、節電ボタンを押すと表示される「えらべる節電」を選ぶ

 表示画面は、一昔前の携帯電話とほぼ同じサイズの白黒タイプ。文字は1円玉ほど大きく、運転モード(冷房・暖房など)や設定温度などが表示される。設定画面などでは、少し文字が小さくなってしまうが、従来のケータイのメールよりは大きく読みやすい。また風の向きなどを設定する画面では、イラストが表示されたり、操作に迷っているとガイダンスが表示されたりと、親切な設計になっている。

 さらに、「おしらせナビ」という機能を使うと、エアコンから節電のアドバイスが告知される。その際は、「霧ヶ峰~♪」の音楽とともに本体のナビランプが点灯する(音楽は鳴らさないことも可能)。リモコンを操作してお知らせナビを表示すると、次のようなメッセージが表示される。

 「壁面に暖かい場所があります。カーテンやドアが開いていませんか? 閉めると省エネできます」

 「外気が下がっています。運転停止をおすすめします。停止しますか? はい【決定】いいえ【戻る】」

 一番最初は「なんだ! この霧ヶ峰~♪は!」と思ったが、このアドバイスに従えば、節電効果がアップするのは間違いない。使っているうちに、この音がかわいくキュートに聞こえてくるようになるだろう。

エアコン本体のナビランプが点灯中は、エアコンからのおしらせがあるとき。リモコンを操作してお知らせナビを表示すると、メッセージが見られる
省エネ機能の一部をOFFにしていたところ、ONにした方がいい旨のアドバイスを提示してくれた
「霧ヶ峰~♪」の音楽が流れる

大型の室内機が多い中、丸みを持ったデザインはインテリアに溶け込む

 最近のエアコンは年々大型化が進んでいる。大型化の要因の1つは、フィルター自動清掃機能のためだ。以前の機種から乗り換えで「デカ!」と声を上げてしまった場合は、まず自動清掃機能がついているエアコンだろう。自動清掃機能がないものに比べると、奥行きは各社だいたい10cmほど大きく、最新機種だと奥行き30~40cmになる。

フィルター掃除機能のない古いタイプのエアコンは、奥行き20cm程度で角も丸いデザインが多かった
フィルター掃除機能付きのエアコンは奥行きが30cm以上あり、角型のデザインが多い。しかし、霧ヶ峰は室内機の下部に向かってかなり奥行きが絞られたデザインになっているので、あまり圧迫感を受けない

 霧ヶ峰のZWシリーズも、奥行き31cmと大型化している。しかし、最も出っ張るのは上部だけで、下部の吹き出し口に向かうに従って厚みが薄くなるデザインになっている。そのため、照明をつけたときでも影は出にくい。さらに、デザインに丸みを持たせることで、圧迫感を抑えた、洋和室問わず落ち着いたデザインとなっている。非常にシンプルなため、インテリアの邪魔になることもないだろう。

霧ヶ峰はココがポイント! こんな人におススメしたい

 3回に渡り、霧ヶ峰を紹介してきたが、エコムーブアイとスマートアイで、部屋全体の温度を測るだけでなく、人の居場所や体感温度まで考慮して、ムリ・ムダ・ムラのない快適な空間を創り出せるエアコンということが、これまでの連載から分かっていただけただろう。

 霧ヶ峰はさらに、「清潔さを保つ」というキーワードも持っている。お掃除しやすい吹き出し口やリモコン、汚れのつきにくい内部などだ。さらに最新のエアコンにしては、圧迫感の少ないエアコンの一台だ。

 さらにいえば、霧ヶ峰はエアコンの心臓部とも言えるコンプレッサーも、三菱電機が独自に製造しており、室外機から室内機にいたるまで、すべて日本国内産にこだわっている。高い信頼性と技術に支えられているのだ。

 これらを踏まえてオススメしたいのは、次のような部屋に住む人となる。

・南や西側に窓があり、室温にムラができやすい間取り
・L字やコの字、またはワンルームなど、極端に長いI字の間取り
・人がいる場所が2カ所に分かれている家庭
・子どもの送り迎えなど短時間の外出が多い家庭
・無理せず電気代を節約したい人
・エアコンの掃除やメンテナンスをラクに済ませたい人

 今回1カ月ほど霧ヶ峰を使ってみたが、真夏ではないので、1日に掛かる電気代は約20~30円と、節電機能OFF時に比べ約22%の節電に留まった。しかし、あと何十日もしないうちに本格的にエアコンを利用する暑いシーズンになるので、節電効果はさらに高まるだろう。今年は霧ヶ峰のおかげで、電気代の請求額にドキドキ……ではなく、ワクワクできそうだ。

藤山 哲人