長期レビュー
三菱電機「ハイブリッド霧ヶ峰 ZWシリーズ」
三菱電機「ハイブリッド霧ヶ峰 ZWシリーズ」その2
~数々の節電機能で5月でも電気代が22%節約!
(2013/6/4 00:00)
独自のムーブアイ機能に惚れ込んで買った三菱電機のエアコン「ハイブリッド霧ヶ峰 ZWシリーズ」の魅力について、3回に渡って紹介している。
第1回では、三菱エアコン霧ヶ峰に搭載されている「エコムーブアイ」が部屋の隅々まで温度を測定、また人がいる場所を見張って効率よくムラなく快適な空間作りをしてくれることをお伝えした。また、併せて搭載されている「スマートアイ」は、瞬時に部屋の状況を判断し、エアコンのスイッチを自動でONにしたり、風呂上がりにエアコンで涼みに来た人に強い冷気を送るなど、非常に賢い技術であることも紹介した。
第2回は、エコムーブアイとスマートアイを活用した節電機能「スマートセーブ」「スマートオフ」と、第1回で紹介した「ハイブリッド運転」などを組み合わせると、どれだけ電気代を節約できるのかという実験結果を中心に紹介していこう。
1日に2時間は、エアコンの置かれた部屋に誰もいなくなる。だからスマートセーブ
さて突然だが、読者の皆さんに、ライフスタイルについての質問を出させていただきたい。
Q:真夏の暑い日、エアコンがついている快適な部屋を出なければならなくなりました。次の場合、エアコンのスイッチを切りますか?
・宅配便が荷物を届けにきたとき
・トイレに行くとき
・来客があったとき
・お風呂に入るとき
・歩いてすぐのコンビニへ買い物に出るとき
・洗濯物を干すとき
・洗濯物を取り込むとき
・別の部屋を掃除に行くとき
・子どもの塾や習い事の送迎に出るとき
・幼稚園や学校の送迎に出るとき
・倉庫や別の部屋にモノを取りに行くとき
・ゴミ出しに出かけるとき
・別の部屋でメイクや着替えをするとき
・ペットのお散歩に出かけるとき
該当する項目が多かった人は、霧ヶ峰を使うことで、電気代がきっと安くなることだろう。三菱電機によると「1日のうち平均で2時間は、エアコンが置かれた部屋に誰もいない状態がある」という。先に挙げた項目はいずれも1回の部屋の出入りは短いものの、ちりも積もれば山となるのだ。
なぜ霧ヶ峰を使うと電気代が安くなるかというと、エコムーブアイとスマートアイで、人の部屋への出入りを常に見張っていて、人がいなくなると自動的に節電運転に切り替えるから。戻ってくれば通常運転にするので、面倒な操作も一切不要だ。
たとえば来客があった場合、居間に誰もいなくなって3分経つと「スマートセーブ」機能が働き、パワーを絞った運転になる。この3分というのがミソで、他社製エアコンもいろいろチェックしてみたが、筆者が調べた限りでは最短だった。つまり、人がいなくなったことを、どのエアコンよりも早く見極め節電するというわけだ。これは筆者が霧ヶ峰を選んだ理由の1つとなっている。
来客の応対を終え、ふたたび部屋に戻ってくれば、霧ヶ峰は自動的にパワーを元に戻して運転を開始する。しかし話が盛り上がってしまい30分経過すると、今度はスマートストップ機能が働き、送風モードに切り替える。以降の電気代は扇風機とほぼ同じで1時間で1円程度だ。
さらに3時間経過すると、エアコンは電源の消し忘れと判断して、送風も停止する。仮に電源を消し忘れて霧ヶ峰が自動的にスマートストップしたとしても、電気代のロスは10円にも満たない。よくリビングのエアコンを消し忘れて寝てしまうという人は、スマートストップが電気代を大きく節約してくれるのだ。
また冒頭のチェックで、ほとんどの場合エアコンのスイッチを切っているという人も、知らない間に電気を無駄遣いしているかもしれない。エアコンは頻繁に電源のON/OFFを繰り返すと、電源ONの高い負荷(より電力を消費する)の時間が増え、より電気代がかかってしまう場合がある。「30分以内に戻ってくるならエアコンの電源は切らないほうが節電できる」という説もあるほどなのだ。
霧ヶ峰のスマートセーブ・スマートストップは、この説に対して実に理にかなった方法で運転する。人がいなくなってからの30分は、エアコンの電源は切らず、パワーを絞った運転にする。もし手動でやるとすれば、部屋を出るたびに室温設定をプラス数℃上げて、戻ってきたら元の設定温度にするという、面倒な操作が必要だ。
スマートセーブとハイブリッド運転で、5月なのに電気代を22%節約できた!
それでは、実際にどれだけ電気代が安くなるかを実験してみよう。1日に2時間人がいなくなることがある場合、スマートセーブ、ハイブリッド運転が、どれだけ電気代を安くしてくれるだろう。下世話かもしれないが誰もが疑問に思うことなので、実際に試してみた。実験を行なったのは5月末日。暑くなってきたとはいえ、真夏の暑さには程遠いが、いったいどんな結果になるだろうか。
なお、節電機能がONとOFFの状態を調べる必要があるため、2日に渡った実験になっている。そのため、気温や湿度、人の出入りはまったく同じ状況ではない点にご理解いただきたい。
また、表中にある「節電レベル」とは、リモコンに表示される「どれぐらい節電運転か?」という目安で、節電機能のON/OFFや温度などの設定状況に応じて変化し、最大200となる。節電機能ONの状態は、リモコンの節電ボタンから「おすすめ冷房」を選んだもので、スマートセーブやハイブリッド運転などが有効になった設定だ。一方、節電機能OFFとした場合は、これの設定をメニューからOFFに切り替えた場合となっている。運転時間は、昼の12:00~夜の21:00までの9時間だ。
節電機能 | ON | OFF |
---|---|---|
節電レベル | 135 | 75 |
最高気温 | 26.7℃ | 25.9℃ |
最高湿度 | 53% | 71% |
消費電力 | 0.89kWh | 1.13kWh |
1日のエアコン電気代 | 19.58円 | 24.86円 |
この結果、霧ヶ峰の節電機能のONによって、OFF時よりも節電できた金額は、5.28円になった(1kWh=22円換算)。
筆者の予測では、両日とも普段ならエアコンをつけるレベルの暑さではなかったので、ほとんど差がつかないと思っていた。なぜなら、エアコンの設定を、室温25℃湿度60%にしていたから。節電機能ONを調べた日は、最高気温が若干高いが湿度は設定以下、OFFの日は室温が設定温度に近いが、湿度がやや高めだったからだ。
しかし結果は、電力量にして0.24kWh、電気代に換算すると5.3円の節電ができた。「なーんだ、たったの5円」と思うことなかれ。金額差は真夏日になるほど、冬は寒い日ほど大きくなる。今回は大して温度差がなかったのに、節電機能アリで20%の電気代が節約できたのだ。エアコンで月に5,000円電気代を使っていたとすれば、1,000円以上は確実に安くなるという計算になる。
ただし、これは筆者独自の調査結果であり、全ての人に当てはまる結果ではないことをご理解いただきたい。なお、1日の使用電力量や、運転中の電気代は、リモコンには表示されない。今回は実験のため、市販されている電力計で測定している。
節電レベルや霧ヶ峰の節電機能
霧ヶ峰は使えば使うほど、節電にアクティブに取り組めるエアコンだと感じられた。
その理由のひとつが、先に紹介した「節電レベル」の表示だ。他社の節電機能は、節電モードにするかどうかの二者択一となっている場合が多いが、霧ヶ峰の場合は、節電する度合いに幅を持たせている。
たとえば、スマートオフ機能を使わない、ムーブアイだけをONにする、といった細かい設定ができ、リモコンには「節電タイマーを設定するとレベル135から140になる」といったメッセージも表示される。それぞれの機能をON・OFFした場合の節電レベルを設け、最大節電レベル(最も消費電力が少ない運転)を200とした場合、現在の設定でどれだけ節電できるかが確認・設定できるのだ。
暑い寒いという感覚は千差万別なので、二者択一だと帯に短したすきに長しというような人も出てきてしまうが、このように幅を持たせた節電レベルを設定することで、人それぞれの快適さと節電を両立でき、無理せず節電できるというわけだ。
また、これは筆者が特にハマったこともあるが、節電レベルにはゲーム的な要素も含んでいる。最高レベルは200なので、どうすれば最高レベルになるのか、色々設定を触りたくなるのだ(笑)。筆者もあれこれ挑戦してみたが最高は150止まりだった……。
また珍しいのは、エアコン運転後に電気代目安を表示したり、運転前に「この設定なら1時間当たりいくらかかる」という予測電気代目安が表示される点だ。設定に応じた電気代の概算が表示されるので、「今日は湿度が低くカラッとしているから、いつもより高めの設定温度にしたらいくらになるかな?」という節電意識を大きく後押ししてくれる機能になる。
霧ヶ峰の節電機能を、少しおしゃれな言葉で全体的にまとめると、「デジタルのお仕着せではなく、人それぞれにやさしい節電機能」と言えるだろう。それでいて、節電したくなる要素がいろいろ仕込まれているから、かなりの策士だ。
大きな部屋、複雑な形の部屋ほど性能を発揮する「3D気流フラップ」
第1回では、左右独自に動くフラップを簡単に紹介した。しかしこのフラップにはもうひと工夫が施されている。特殊形状の部屋にも対応できるよう、「3D気流フラップ」という仕様になっているのだ。
一般的なエアコンのフラップは、いわゆる12畳部屋と呼ばれる正方形に近い部屋を想定して作られている。しかし近年は間取りの自由度が高くなり、複雑な形状をした部屋も多い。たとえば同じ12畳部屋であっても、正方形に近い部屋もあれば、エアコンから見て奥行きがかなりある部屋、あるいは幅があるという場合もあるだろう。これは一戸建てに限らずマンションなどでもだ。
一般的なエアコンのフラップは、左右と上下の2軸なので2D(2次元)気流だが、霧ヶ峰はさらに奥行きのコントロールも加わって、“3D”というわけだ。
なぜ奥行きが加わることで、特殊形状の部屋に対応できるのか、疑問に思う人がいるかもしれない。そこで、ホースを使って水撒きをしているところを思い浮かべて欲しい。蛇口を開けばより遠くに水撒きをできるが、それよりもホースの端を指で押しつぶすだけの方が、もっと簡単に遠くまで水撒きできる。霧ヶ峰の場合は、2枚ある上下のフラップの隙間を狭くして、風量を変えずに部屋の遠くまで冷気を送れるようになっている。
同様のフラップを搭載したエアコンも見かけるが、霧ヶ峰の場合は上下のフラップが独立して動く。さらに、エコムーブアイとスマートアイと連動させ、エアコンの近くにいる人にも、また遠くにいる人にも、自動的に風の奥行きを調整する。なので、どこにいても涼しいそよ風が届くというわけだ。
大きい部屋や複雑な形の部屋でも、その機能を余すことなく発揮する。エコムーブアイが人のいる場所や室温のムラを見極めるので、人が居る場所を中心に冷気を送ったり、熱気が滞っている部分を狙い、エアコンから遠い空間であってもムラなく冷気を送ってくれるのだ。実験していないので断言はできないが、理屈として部屋が大きい場合や複雑な形状をしているほど、「3D気流フラップ」+「エコムーブアイ」+「ハイブリッド運転」による省エネ効果が高くなるのではないだろうか。
オススメは「部屋に出入りする回数が多い家庭」
霧ヶ峰を特にオススメしたい家庭は、夫婦の2人暮らしや、夫婦プラス一人っ子という核家族などの少人数世帯だ。家族が多い場合は、必ず誰かが居間にいるということが多くなるが、少なくないと、居間に誰もいない時間が多くなる。これらの家庭で霧ヶ峰を使うと、省エネ効果が発揮され、真夏や真冬は月々の電気代節約として結果が見えてくるだろう。
さらにオススメしたいもう1つの世帯は、大きな部屋やL字やコの字など、複雑な形をした部屋のある家庭だ。とくに、「今使っているエアコンだと、熱気が澱んでしまう空間がある」という場合は、ぜひ霧ヶ峰に乗り換えるといい。霧ヶ峰なら3D気流フラップ、エコムーブアイで、室温のムラがなくなる。それだけでなく、以前のエアコンより電気代も安く済んでしまうハズだ。
最終回は清潔性とリモコンについて
最終回となる次回は「清潔さ」と「リモコンの使いやすさ」というキーワードでお届けしよう。常に部屋の空気を循環するエアコンは、どうしても部屋の汚れを吸い込んでしまいがち。でも霧ヶ峰は、各種のコーティングで汚れを防止するだけでなく、汚れてしまった場合も考慮して、簡単に掃除できるつくりになっている。またリモコンは、一昔前なら電源のON・OFFと室温調整をするだけだったが、現在は部屋のコンディションを表示する情報端末となっている。リモコンの使いやすさや見やすさが、エアコンの使い勝手を左右するのだ。