長期レビュー

三洋電機「加湿空気清浄機 ABC-VWK14B」 最終回

~静かに動作させても高い脱臭効果を発揮
by スタパ齋藤

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



三洋電機「加湿空気清浄機 ABC-VWK14B」

 三洋電機の「加湿空気清浄機 ABC-VWK14B」長期レビュー第3回目。最終回である今回は、この加湿空気清浄機を約1カ月使ってみた印象を書いたみたい。なお、第1回目のレポートはこちら、2回目はこちら

 この加湿空気清浄機で、いちばん印象に残ったのは脱臭効果の高さだ。

 脱臭は、本体に装着するフィルターでも行なわれるが、これに加え、本機のウイルスウオッシャー機能も大きな効果を示すようだ。ウイルスウオッシャー機能は、空気中のウイルス/菌などを抑制/除菌してくれるほか、タバコなどの臭いも除去してくれる。

 この加湿空気清浄機を拙宅仕事場で使ってきた。使用期間中、この仕事場では敢えて意識して“あまり換気をしないように”してみた。本機使用開始当初に「あ、ニオイに効果が強いのかも!?」と感じたので、仕事場室内に発生するニオイを本機のみでどの程度除去できるのかニャ? と思ったので何となく実験してみたというわけだ。

 仕事場で発生するニオイは、主に客人が発する衣服や香水などのニオイと、拙者がプカプカする電子タバコのニオイと、あとコーヒー淹れたときのニオイとか拙者自身のニオイとか。それから仕事場階下にキッチンがあるので、そこで魚を焼いたニオイなんかがたまに仕事場へと上がってくることも。ただ、第三者的にこの部屋のニオイを考えると、電子タバコの煙が発するニオイがいちばん強いように思う。

使用中の電子タバコ。カートリッジ(白い部分)に入れた専用リキッドを電気で熱して気化し、その煙を吸い込んで本物のタバコっぽい雰囲気と独特の香りを楽しむという……新しい嗜好品(!?)だ電子タバコのリキッド。グリセリンやプロピレングリコールといった液体に香料などを混ぜて作られているようだ。タバコ風味、果実風味、お菓子風味など、さまざまなフレーバーのリキッドがあるリキッドの自作も可能。電子タバコのフレーバーを左右するのは、各種の香料だと思われる。また、電子タバコを吸ったあと空気中に残る煙には、そういったフレーバーの香りがする

 このような電子タバコを愛用中の俺なんですけど、電子タバコを吸ったあと部屋に残るニオイは独特。多くの場合、基本的には嫌なニオイではない。電子タバコの煙のニオイは、どれも割合うっすらとしたもので、チョコレートっぽいとか、フルーツっぽいとか、ケーキっぽいとか、ミントっぽいとか、そんな感じ。なかにはヘタなアロマよりもずっと上品でさりげない香りのものも。

 さておき、電子タバコを吸いまくりゆえ、拙宅仕事場にはいつもそういうニオイが漂う。てか、この加湿空気清浄機ABC-VWK14Bを使う以前は、電子タバコの香りが漂っていた。たとえば仕事場を後にして数時間後に戻ってくると、決して強くなく刺激的でもないけれどうっすらと、電子タバコの煙の香りがした。

 しかしこの加湿空気清浄機を使い始めてから、この電子タバコの残り香っつーモンがほとんど残らなくなった。実は俺、この電子タバコの煙のニオイかなり好きなのだ───ときには香ばしく、ときにはチョイとおいしそうで、またときにはフルーティであり、しかもいつもほのかで奥ゆかしい強さで漂うこの香りはとってもイイ!! とか思ってたんですけど、それを加湿空気清浄機ABC-VWK14Bが除去!! すっかり消去!! イヤ~ン!!

 結果、部屋のニオイがどのようになったかと言えば……えーと、窓開けて換気した感じ? もしくは郊外に出かけたときのような、なんつーか、人工的なニオイがない空間、みたいな。電子タバコの香りを消し去られるのは微妙にイヤ~ンな感じだが、この清々とした開放感を伴う無臭感、これもまたステキと言えよう。

 この脱臭能力、拙者の印象では、本機を[静音]や[おまかせ]といった運転モードにしている場合でも十分に効果的だと感じられる。

 まず[静音]は、加湿はほぼ行なわない空気清浄運転で、連続運転となる。が、非常に静か。とくに必要性や意図がない限り、拙者的デフォルト運転モードとなっている。

 それから[おまかせ]は加湿空気清浄運転。湿度を50%に保ってくれつつ空気清浄も行なう。湿度が低い状況では若干ウルサめの動作音がするが、湿度が安定してくるとわりと静かな運転音になる。

 これら[静音]や[おまかせ]といった運転モードは、拙者においてはその動作の静かさが魅力。ただし、ほかの運転モードよりも脱臭や除菌や加湿の効果が低いと思われる……と考えていたんだが、ニオイについては、これら静かな運転モードでも、ちゃんと脱臭してるっぽいなぁ、と感じるに至った。

 ちなみに、これら以外に、ニオイやホコリを速攻で除去する[パワーウォッシュ運転]があり、加湿空気清浄運転の[強]や空気清浄運転の[急速]や[花粉]なども脱臭効果が強い。これらのモードは運転音が若干ウルサかったり静かとは言えないレベルだったりするが、もちろん、[静音]や[おまかせ]といった運転モードよりも短時間でニオイを除去してくれる。

ABC-VWK14Bの操作パネル。運転モードは、加湿空気清浄運転が4モード、空気清浄運転が4モード。このほか、短時間で空気清浄するパワーウォッシュモードもある

 てな感じで、やはり脱臭効果が高い加湿空気清浄機だと思う次第。ぶっちゃけた話、本物のタバコ吸ってた頃にこの加湿空気清浄機があったらナと思う。ほかの空気清浄機にも強い脱臭効果を示す製品はあるが、この加湿空気清浄機の場合、静かに運転させておいても十分体感できる脱臭効果があるってのが大きな魅力だと思う。

 それから、空気中のホコリの除去とか、ウイルスウオッシャー機能によるウィルス抑制とかの効果だが……後者に関しては体感できなかった。わかんないですな、やっぱり。もともと風邪とかひきにくい体質(!?)だし、花粉症でもないし、どの程度の花粉/ウィルスに対して効果的かは実感できず。

 ホコリに関しては、ある程度の効果はあったものの、やはり「この機種以上にホコリ除去などに強い加湿空気清浄機が多々存在する」という結論に。このあたりに関しては前回の記事をお読みいただきたい。

 使っていて気づいた点としては水タンク周り。給水は容易だけれど、その頻度が面倒だということ。

 えーとですね、給水作業自体は快適なんですよ。タンクを本機前面から脱着できるので、タンクの脱着作業自体がラクだし、設置した状態から本機を動かす必要もないからだ。

 が、タンク容量が約2.5Lと少ないからか、あるいはウイルスウオッシャー機能により水道水がビシバシ消費されるからか、[おまかせ]などの静かな運転モードにしていても1~2日に1回程度は給水の必要が出てくる。常に[静音]モードなどの“加湿を行なわない空気清浄のみの運転モード”にしておけばグッと給水回数を減らせると思うが、やはりこの時期使いたくなるのが加湿運転。加湿をしていると、静音系運転モードでもこの程度の給水が必要になるので、フツー的なご家庭で使ったら、恐らく毎日1度必ず給水する必要が出るのではなかろうか。

水タンクは本体前面から脱着できる。スコッと脱着でき、ズレることもなく、快適に使える構造だ水タンクをハズして逆さまにしたところキャップをハズして水道水を注水する。容量は約2.5L

 それと、小さなことだが、水を蓄える機構部分にまだ少し水が残っている状態でタンクを取り外すと、たまに水滴が床に落ちることがある。これもちょっとしたストレスですな。上記のように、基本、毎日1度くらいは注水することになるので、水滴が床に落ちる可能性っつーか頻度も、印象のうえでは多いように感じる。「このタンクからよく水が落ちるんだよな~」という印象になったりするわけですな。ま、ティッシュかなんかで拭きゃぁイイんですけどね。

 あとは……操作性も平易だし、比較的にコンパクト&背面に吸排気面がないので設置の自由度が高いし、外見的にもシンプル。イイ感じで使えた加湿空気清浄機となった。

 拙者的独断と偏見で言うわけだが、やはりこの機種、部屋のニオイをどうにかしたいけど、ウルサいのはイヤって人に非常によく向きそうだ。順序は逆かもしれないが、それにプラスして、ウイルスウオッシャー機能のウイルス/花粉/ハウスダストによる影響を抑制する効果も得られる、と考えてもいいように思う。

 2010年2月現在、ABC-VWK14Bの実勢価格は(若干バラツキがあるが)18,000円前後。さらに独断と偏見で言っちゃうと、この価格で、かなり強いと感じられる脱臭効果がある。そしてコレは加湿もできる空気清浄機であり、ウイルスウオッシャー機能からくる各種効果が得られるとすると、けっこーコストパフォーマンスに優れた一台ではなかろうか、と感じたりする。



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2010年2月22日 00:00